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ベゴニア

作者: 庚午澪

 好きな人の隣を歩くのは私だけであって欲しい。

 私は好きな人のことになると、信じられないくらい独占欲が強くなる。

 友達に彼氏が出来ても、嫉妬も何も感じなかったはずなのに。

 好きな人の前だと私はおかしくなる。

 連絡をするのにいくらでも言い訳は出て来るのに、好きって気持ちは恥ずかしくて簡単には声に出せなかった……


 ああ、もう不幸になっても構わないから、好きな人に『好き』って想いを伝えよう。

 この気持ちを秘めて抱えたまま、生きて行かなければならないなんて辛すぎる。

 どうせ不幸になるなら、私が幸せになる不幸を振り撒いてしまおう。

 それで誰を悲しませることになっても、好きって気持ちをもう隠さない。

 どうせ私の死にたい衝動はなくならないのだから、せめて周りを不幸にさせても好きな気持ちを告白する。

 狡くても卑怯でもヤりたいって泣きついて、唇を奪って抱き締めて体温を感じて、好きな人の全部を余すこと無く全身で感じたい。

 片想いに絶望して、思い出すだけで汗が噴き出て、匂いを嗅ぐだけで悲しさで締め付けられ、目にするだけで寂しくなる感傷が、全部の季節に刻まれてしまって、もう一年中フラッシュバックして(死にたくて)仕方ない。

 好きな人と出かけた景色や季節、好きな人が隣に居ない時の雨や辛い時に嗅いだキンモクセイの香り、一日が始まる朝焼けの絶望感、セミの大合唱の中に一人放り出された時の焦燥感、やるせなくて悔しい想いをしながら食べた好物、いくら好きな人と楽しく過ごしても、自分の物にならないと足跡を辿る雪道ーー

 目に映り、鼻で嗅ぎ、温度を感じ、何を食べても、もう私には痛みしか与えられなくなった世界に未練なんて無い。

 自分の死により好きな人を悲しませてしまうのは嫌だから、気持ちを伝えることにより、これで死んで喜ばれる私が生まれる。


 イヤ……嫌っ……! フツーの○○になんて戻りたくないッ!!

 不幸でも、死にたくても、恋人同士が良いの!

 ○○に戻ったら、私の恋心はどうすれば良いの! もう渇いた恋が満たされることを知ってしまったから、フツーの○○に戻ったら寂しくて苦しくて死んじゃうよ!

 どうせ死ぬなら恋人のまま死なせてよ! 絶対○○なんて嫌だ!!

 ずっと誰かに取られるんじゃないかって怯えて、いつ私の知らない顔になっちゃわないかってビクビクして、会わない間に私じゃない別の誰かを好きになってしまうんじゃないかって怖かったんだから!

 もうこの手も唇も目も耳も胸も身体も、心も全部! 他の誰かじゃ嫌なの!

 だからお願い! ○○に戻ろうなんて言わないで!

 もう私が安心出来るのは、貴方の胸の中だけなのに……


 好きだからそんな顔をさせたくないけど、嫌われないと死んだ時に喜んでもらえないジレンマに私はーー灼かれている。

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