地球最強の男
うおおおおおおぉぉぉぉぉ―――――――――――――!!!
地下深くの会場が歓声で溢れかえる。空気が震え、観客の熱気で会場が揺れている。地上のラスベガスでは、地震を観測しているかもしれない。
そんなどうでもいいことを考えながら、俺は右腕を下ろした。目の前では、さっきまで戦っていた好敵手が気絶している。「切り裂き魔」とも呼ばれる相手だったが、何とか左腕を犠牲にして勝つことができた。
「試合しゅーりょーーう‼最強の格闘家を決める『 Festival of Violence』‼優勝者は…トウマーーーー!!!!!」
ああ、やっとここまで来た。俺の技術がすごいことを証明できた。それだけで満足だ…。
「ええ~、表彰式はトウマ選手の怪我を手当てしてから行います。観客の皆さんは座ってお待ちください」
司会の声を聞きながら、俺は救護室まで向かう。アドレナリンが切れて、斬られた左腕が痛み出した。
「それにしても…、肘で筋肉を斬るとかどんな鍛え方してるんだよ…。さすがにビビったわ…」
ぶつくさ言いながら救護室に向かっていると…。突然、廊下が光り出した。
「あ?なんだよこれ。何で地面が光ってr…」
「待ってください、トウマ選手!大怪我なのでうごかないで…あれ?どこに行ったんだ?」
さっきまで輝いていた廊下には、誰もいなかった…。