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性と日常  作者: moo
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美佳、登校する

高校二年生の美佳は、同級生で親友の美穂に想いを寄せられている。美佳は友情以上の感情はないけれど、美穂との関係を壊したくなくて体の関係を持ってしまう。けれど、それはそれで満更でもないと思っている美佳の日常。

「おはよう、美佳ちゃん」

 学校への道すがら。呼ばれて私は振り向いた。

「おはよう」

 そこには幸せの絶頂に違いない満面の笑みを浮かべた親友の姿があった。きっと、私の後ろ姿を見つけて、駆け寄ってきたのだろう。少し息が上がっているようだった。

「そんなに急がなくて良いのに」

「美佳ちゃんと一秒でも一緒にいたいだけだから」

 美穂は真っ直ぐに熱い眼差しを私に向ける。

「ありがとう」

 私の言葉に美穂が微かに、ほんの一瞬、表情を強張らせたことに気づいた。

『私もだよ』とでも言えば、美穂が頬を赤らめながらも、嬉しそうに笑みをこぼす姿は容易に想像できた。だから、私は言わなかった。

「昨日、どうだったの?」

 昨日、美穂がアドバイスしてくれた通り、児童相談所に行ってみることにした。今から行ってくるね、と美穂にメッセージを送ったきりになっていた。

「美佳ちゃんが何もお返事くれないから、心配したんだよ」

「ごめんね。でも、もう大丈夫だから」

 美穂が心配してくれているのは分かっていた。でも、相談に行ったのに対応してもらえなかったなんて言ったら、もっと心配させてしまうから、何も言わなかった。

「どうなったの?」

「うん……」

 私はどう美穂に説明しようか考えた。本当のことを包み隠さずに言ったら美穂はなんて言うだろう?

「美佳ちゃん、嘘、つかないでね」

 分かっている。美穂は私が嘘を言おうと思っていることさえもすぐに見抜いてしまうのだから、嘘なんてつけるはずがない。

「実はね……」

 私は昨日、お姉さんに拾われたことを正直に話した。

「大丈夫なの?美佳ちゃん、変なことされていない?」

「大丈夫だよ。男の人じゃないんだから」

 普通ならその言葉で少しは安心するのかも知れないけれど、美穂には少しも通用しない。

「お姉さん、大人だから、私のことなんて何とも思っていないよ」

 それは紛れもない事実だった。

 だから美穂も私が嘘を言っていないと分かっているのだろうけれど、不満そうな顔で私を見つめていた。

「どうして私を頼ってくれなかったの?私、美佳ちゃんのためなら何でもするよ」

 私にだって美穂の言葉に少しも偽りがないことは分かっている。

「だから、美穂には言わなかったんだよ」

「どうして!?」

 美穂は周りの生徒が思わず足を止め、振り返るほどに感情を高ぶらせていた。

「美穂は私のためだったら、本当になんでもしちゃうでしょ?」

 美穂は頷いた。

「なんでもするよ」

 諸悪の根源である私の父親だろうと、ついでに母親を纏めて殺して罪を被る覚悟くらいできているような瞳だった。

 私が家出するといえば、美穂も一緒に来てくれるに違いない。お金がないと言えば躊躇わずに下着だろうと身体だろうと売るんだろう。

「美穂は自分のことを大切にして。私のことを思ってくれるのと同じくらい、自分のことも大切にして。私も美穂のことが好きだから、私のために美穂が傷つくのは嫌なんだよ」

「今大変なのは美佳ちゃんの方なんだよ!私のことなんて心配している場合じゃないよ!」

 何時もは大人しい美穂も、私のことになると感情的になる。何時もは耳を傾けないと聞こえないような小さな声で話すくせに、今は周りにまで知れ渡ってしまうほどだった。

「美穂。お願い。私の大切な美穂のことを、美穂も大切にしてあげて」

 そう言って肩を抱き寄せ、頭を抱きしめると、美穂は震えるほどに興奮していた感情を落ち着けてくれる。

「美佳ちゃん、ずるい」

 すれ違っていく生徒たちがみんな好奇の目を向けていくけれど気にしない。

 今はただ、美穂の気が済むまでこうしていたかった。こうしていると、美穂のことが愛おしく思えてしまう。

 お姉さんもこのくらい素直だったら可愛いのに。

 美穂は私のことを突き飛ばすようにして私の胸から離れると、ぷいと背を向けてしまった。

「ど、どうしたの?」

「私、他の女の事を考えながら抱きしめられて喜べるほど人間ができていないもの」

 美穂は本当に私の胸の中を覗き込んていたんじゃないかと思うほどに鋭い。




 今日はタイミング悪く体育の授業があった。美穂とはいつも一緒だから、着替えのときももちろん一緒だ。

 美穂は私のことをいつもよく見ている。嘘をつこうとする素振りさえ見抜くほどなのだから、私の胸にお姉さんの指が食い込んだ跡が残っていることに気づかないはずがなかった。

「美佳ちゃん、それどうしたの?」

 私が一瞬、まずいと思ってしまったことさえも、美穂は敏感に察知していた。

「ねぇ、どうしたの?」

 最初は心配するように優しい声だったのに、二度目は幾分問い詰めるような冷たい声だった。

 なんて言い訳しようか、つい視線を反らしてしまうと、さらに美穂は不機嫌になる。

「嘘つかないよね?」

 私は観念して、美穂の目を真っ直ぐに見つめ返した。

「お姉さんにされた」

 みんながまだ着替えている教室の中で、美穂は私の胸に両手を添えたかと思うと、そのまま私のブラジャーをたくし上げた。

 お姉さんの指の跡が赤く残る私の胸が、明るい教室の中で露わにされた。

「ちょっと美穂、みんな見てる……」

 まだ着替え中だった他の子たちがヒソヒソと好奇の目を向ける。

 美穂は構わずに、私の胸を包み込むように両手を添えた。そうやって私の胸に刻まれた手の跡と、自分の手を重ねているのだろう。

「随分と小さな手なんだね」

「本当だよ。嘘じゃないよ。お姉さんにされたんだよ」

 私が嘘を言っていないことだって美穂は分かってくれる。

「お姉さんと何したの?」

「別に大したことしてないよ」

「ねぇ、美佳ちゃん。私に言いたくないことがあるの?」

「そんなことないよ」

「じゃあ話してくれるよね?」

 私はコクリと頷くしかなかった。

「お姉さんに何かされたの?」

「何もされなかったよ」

「じゃあ、どうしてこんな事になったの?」

「私が……お姉さんにいたずらしようとしたら怒られた」

「ふ〜ん……」

 美穂は上半身裸のままの自分の体を私にくっつけて、吐息がかかるほどすぐ目の前で、じっと私の目を睨みつけた。

「私には少しもいたずらしようとしてくれないのに?」

「そんなことないんじゃないかなぁ……」

「私から迫らないと、美佳ちゃんは何もしてくれないじゃない」

「美穂のことが大切だからだよ」

「私に魅力がないからでしょ?」

 そんなことないと言いたいけれど、嘘は言えなかった。

「美穂は大切な親友だもん」

「そうだよね……」

 美穂は悲しそうに目を伏せる。

 『彼女』とか『恋人』とか言ってあげたら喜ぶのだろうけれど、美穂は私の嘘を見破ってしまうから。


 私が寄りかかる美穂の頭を撫でているうちに、気づけば教室には私達の姿しか残っていなかった。

「美穂、急がないと授業に遅れるよ」

 そう言っているうちに、チャイムが鳴り響いた。

「もう遅れちゃったね」

 美穂は少しも慌てないばかりか、私から離れようともしなかった。

「ごめんね、わがままで」

 美穂は私の胸を覆っていた手を離すと、私の背に両手を回した。

「しかたないなぁ」

 美穂にそうやってねだられると、授業はどうでもよくなってしまう。

 私も美穂の背を抱き、頭を抱き寄せた。

 美穂は私の腕の中で頭を動かす。そして私の胸の先を口に含んだ。

 悪戯な美穂の舌が私の胸を転がす。

「美穂、止めて!」

 私は慌てて美穂の頭を引き剥がそうとした。大人しくて無垢な相貌の美穂のものとは思えないくらい、その舌ははしたなく動く。ほんの一瞬、気を許しただけで思わず体が反応してしまうくらいだった。 

 美穂は食い下がった。私の胸から引き離されないように、文字通り、食い下がった。私の胸の先にしっかりと歯を立てて、噛んで、食らいついた。

「痛いっ!」

 乳首を噛み千切られるか、引きちぎられるかしたんじゃないかと思うほどの痛みだった。

 美穂はゆっくりと口を開いて、私の胸から顔を離すと、申し訳なさそうな顔を作って私を上目づかいで見つめる。

「ごめんなさい。私の大切な大切な美香ちゃんの綺麗な体に、こんな酷い傷をつけさせただなんて思うと、何だか許せなくて、つい……」

 つい、わざと噛んじゃった、とその目が訴えていた。

「どうしよう、美香ちゃんの可愛いおっぱいに私の歯形がついちゃった」

 困ったような口ぶりではあるものの、優しい指使いで、歯形の付いた胸の先を刺激する美穂の表情は嬉しそうに笑みを漏らしていた。

「しばらく消えないのかしら?」

 美穂は私の目を見つめながらも、私の胸を弄る指は少しも休めない。

「そうだといいな……」

 もしも、お姉さんに付けられた痕よりも早く治ってしまったら、また美穂に噛みつかれそうだし。

  美穂はまた私の胸に顔を近づけようとする。

 また噛まれるんじゃないかと思って、思わず美穂の頭を押しとどめてしまった。

「待って……」

「何?」

「何するつもり?」

 美穂の火照って微かに紅潮した頬と、熱を帯びた瞳を見れば、美穂が私を求めていることは分かった。

「ここじゃまずいよ」

「どうして?」

「誰かに見られるかもしれないし」

「いま授業中だから平気よ。あと四十五分くらいはあるでしょ?」

「でも、ここ、教室だし」

「うん、ドキドキする」

 美穂は大人しい外見に似合わず、意外に大胆だった。

「ほら、ドアも開いてるし」

「静かにすれば平気」

「私、シャワーとか浴びてないし!」

「美佳ちゃんの体に汚いところなんてないよ」

「そんなわけないじゃない!」

「平気。美佳ちゃんの体から出るものだったら、何だって受け入れられる。何だって平気だよ」

 美穂の、その少しも嘘を言っていない真剣な眼差しが、返って怖い。

「ごめんね、私、気持ち悪いよね」

「そんなことない……」

 と言ってみたところで、美穂に嘘は通用しない。

「……こともないけれど……」

 私は小さくつぶやいた。

「ほら、やっぱり、美穂だって綺麗な体でしたいじゃない?」

「私、朝からシャワー浴びてきたもの」

「なんで?」

 朝が辛い私には信じられない行動だった。

「私、いつでも美佳ちゃんとできるように、いつでも準備できているのよ」

「え?何?ひょっとして、毎朝シャワー浴びてるの?」

 美穂は静かに頷いた。

「私と……するかもしれないから……?」

「美佳ちゃんのこと、大好きだもの」

 美穂は、いつだって驚くほど大胆に私に想いをぶつけてくれる。

 そうやって美穂に迫られると、私も拒み切れなかった。だって、美穂は大切な親友だから。美穂の言ってくれるものとは違う『好き』だけれど、私も美穂のことが好きだから。

 美穂は私のそんな想いに気付いているはずだった。美穂はそんな現実から目を背けるように、キュッと目を閉じる。そして、ゆっくりと私に顔を近づけてくる。

 私も美穂に応える様に目を閉じて、美穂の頭に手を回して、そっと引き寄せる。

 美穂の唇と私の唇が触れる。

 

 私は壁際に追い詰められたまま、床の上に座らされていた。まるで獲物を追い詰めた肉食動物のように、美穂は私に這い寄ってくる。

 美穂との体格差もあるけれど、いつだって美穂は下から私にキスをする。私の唇の感触を確かめるように啄む。美穂は私の胸を探り当てると、さっき噛みついたところを優しく愛撫する。

「ふぅっ……」

 美穂に唇を塞がれていても、思わず息が漏れてしまう。

 私の唇が少しでも緩めば、すかさずに舌を捻じ込んでくる。美穂はいつだって積極的だった。

 私の後頭部は壁に押し付けられて逃げ場がないのに、美穂はぐいぐいと迫ってくる。私の口の中に入り込んできた美穂の舌が、私の舌を追い詰める。唇を押し付けて、更に私の中に入り込もうとする。その間も私の胸を優しく愛撫する指を少しも緩めようとはしない。

 美穂の柔らかい舌の感触を、私の舌で感じる。何度も舌で擦られる度に、ぼんやりと思考が鈍っていく。

「ちゅぅっ……」

 思わず緩んだ私の口から溢れそうになる涎を、美穂は躊躇わずに吸う。

『汚いよぉ』

 そんな言葉を漏らしそうになる私の口をまた、美穂の舌で塞がれる。

 美穂は手も、舌も離さないまま、もぞもぞと姿勢を変え、床の上に放り出していた私の両足の間に体を割り込ませる。膝を私の股の間にすべり込ませて、足を広げさせようとする。美穂の柔らかくてすべすべの太ももが、私の太ももと触れ合う。

 美穂に促されるまま、私も足を開いて美穂を受け入れていた。

 美穂の鼻息が荒い。私の顔に、夢中になっている美穂の息がかかる。

 パンツの上から、美穂の反対の手の指が触れる。指先でつぅっと私の体を確かめるように撫でる。

 ピクリと、恥ずかしくなるくらい私の体は震えてしまった。

 美穂が気付かなかったはずはないのに、何事もなかったかのように私の体をパンツの上から指先でなぞる。

「うぅ……っ……」

 私の恥ずかしい声は唾液と一緒に飲み込まれる。

美佳の指がパンツの中に入り込んでくる。パンツの上から狙いを定めていた指が、布を押しのけると、ズブリと私の中に入ってくる。

 美穂の指が体の中に少しずつ侵入するのに連れて、ピクリ、ピクリと私の太ももが震えてしまう。ピタリと体をくっつけた美穂にまで私の体の反応をつぶさに知られてしまう。

「ちゅっ……」

 音を立てて美穂の唇が離れる。

 美穂は恍惚とした表情でしばらく私の顔を見つめていた。その間も美穂は私を責める指を休めない……。

「はぅっ……」

 私は慌てて唇を噛みしめて、思わず漏れそうになった声を押し殺す。

「美佳ちゃん、すごく綺麗だよ」

 美穂は私の恥ずかしい顔をうっとりと見つめて言葉を漏らした。

「恥ずかしいから見ないで……」

 美穂がゆっくりと私の中から指を抜き、そして私の顔色を伺いながらそっと差し入れていく。

 隣のクラスから授業をする教師の声が微かに聞こえる程度の静かな教室に、私の下腹部から耳を覆いたくなるような水音が微かに響く。美穂の耳にだって聞こえていないはずはなかった。

「ごめんなさい。美佳ちゃんのパンツを汚してしまって」

 そう言いながらも、美穂は指を少しも休めない。

「うるさい、ばか」

 うっかりと口を開けばまた声を漏らしそうになる。

 そうやって唇をギュッと閉じた私の表情を楽しむように、美穂はずっと私の顔を見つめている。

「可愛い」

「ばか……」

「パンツ、脱がせてもいい?」

 私がコクリと頷くと、美穂は私のスカートの中に両手を差し入れて、パンツのゴムに手をかけた。

 美穂に促されるまでもなく、少しお尻を浮かせたすきに、美穂はスルリとパンツをずり下げた。そのまま私の両足から抜き取っていく。

 私はスカートを抑えて、白昼の下に露わにされた下腹部を隠した。

「恥ずかしい?」

「教室で裸になるなんて変な感じ」

 美穂は私の両足を押し広げると、太腿の間に両膝ついて正座をした。

「ほら、美穂も脱ぎなさい」

 美穂のブラジャーの両方のカップの間を指で摘んで強引に引っ張ってみた。

「止めて、乱暴にしないで」

 しないでと言っているくせに、美穂は嬉しそうだった。

 美穂のブラジャーは前にホックがついていたから、そのまま指で外すと、私のよりかは小ぶりな胸がちらりとのぞいた。

 美穂は自分で肩紐を下ろして、ブラジャーを脇に置いた。

 美穂の胸は小さくもなく、大きくもなく程よい大きさで、きれいな形をしていて、何度見ても羨ましくなる。

「美穂の胸が良かった」

「美佳ちゃんの方が大きいのに?」

「大きいとジロジロ見られるし、可愛い服が着られないし、肩こるし、いいことなんてないよ」

「あら、ジロジロ見られるのは美佳ちゃんが美人なんだから仕方ないよ。美佳ちゃんは綺麗でスタイルもいいからどんな服だって似合っているでしょ。肩がこったら私が何時でもマッサージしてあげる」

 美穂は私の胸にキスをした。愛おしそうに何度も何度もキスをしてくれる。

「あう……」

 舌先で擽られて思わず声を漏らしてしまった。

 美穂は舌を伸ばして、私の胸の先を愛撫しながら、私の顔色を伺うように上目遣いで見上げる。きっと、私にしかみせない、扇情的な仕草だった。

 美穂はそのまま舌先で私のお腹を撫でながら、ゆっくりと体を屈めていく。スカートを捲りあげると、その中に頭を潜り込ませてしまった。

 私が恥ずかしがるから、見えないようにそうしてくれているのだろうけれど、スカートの中に頭を突っ込ませている姿は、それはそれで恥ずかしい。

「美穂、ダメ。汚いよぉ……」

 自分で耳を覆いたくなるほどに、はしたなく媚びた声を漏らしていた。ちっとも嫌がっていないどころか、早くして欲しいって言っているような声だった。

「あっ!」

 美穂の舌に触れられた瞬間、私は思わず一際大きな声を漏らしてしまった。慌てて口を塞いでも、出てしまった声はもう戻らない。

 周りの教室には聞こえなかっただろうか?私の不安を他所に、美穂は私の体に舌を這わせる。昨日の夜にお姉さんの家でお風呂に入ったきりの体を、躊躇うこともなく何度もべっとりと舐めていく。

「ふぐぅっ……」

 私は唇を強く噛み締めた上から両手で強く口を塞いで、必死に声を押し殺していた。

 膝を立て、床を蹴り、美穂から逃げるように腰を引こうとする私の両方の太腿を、美穂は抱き抱えるようにして捕まえて、執拗に私の体を舐め続ける。

 美穂の頭を退けようと、片方の手で押してみても少しも力が入らない。

「ダメ……っ」

 私は慌てて両手を口に当てた。

「ちゅっ……」

美穂は小さく音を響かせて、私に吸い付いた。私の一番敏感な蕾が美穂の口に吸い込まれ、柔らかい唇に包まれる。剥き出しにされた無防備な蕾が美穂の舌で愛撫されるたびに、私は叫びそうになる声を必死に噛み殺しながら、身体を震わせていた。

 ピクン、ピクンと小刻みに震える私の反応を見て、美穂は察してくれる。

「あぁ……」

 美穂の唇から解放されて、全身の力が抜け、気も緩んだ私の口から声が漏れた。

「美佳ちゃんの表情、凄く素敵だよ」

 美穂の手が私の頬に触れる。

 キスをしたそうにジッと見つめる美穂の顔は、口の周りまで濡れていた。それが私の下半身から溢れたものだと思うと、美穂には悪いけれどキスはしたくなかった。

 何時もハンカチを持っている美穂だけれど、それを使わずに口の周りを手の甲で拭った。

「見ないで」

 きっと緩みきっているに違いない顔を美穂から背ける。

 そうしている間に美穂は自分のカバンからウェットティッシュを取り出していた。

 私の体を拭こうと手を伸ばす美穂の腕を掴んで強く引き寄せると、美穂は崩れるように私に抱きついてきた。

「美穂、気が早い」

「まだ足りなかった?」

「次は美穂の番だから」

「でも、私、声出ちゃうから……」

「だぁめ、逃がさないよ」

 美穂は少し強引に意地悪をすると、すごく喜ぶ。

 私はスカートのポケットからハンカチを取り出して、美穂の口元に差し出す。

「これ噛んでたら平気じゃない?」

「でも……」

「でもじゃない、口を開けなさい」

 薄く開いた美穂の口の中にタオル地のハンカチを押し込んでいく。少し美穂の口には大きかっただろうか。けれど、そのくらいがちょうどいい。口の中にぐいぐいと押し込んでいく。わざと少し乱暴に押し込んだ方が、返って美穂は喜ぶ。

 美穂は少しも抵抗することもなく、私にされるがままになっていた。

「まるで、美穂がこれから犯されるみたい」

 言いながら、美穂のスカートのホックを外す。

 美穂は首を横に振っているけれど、少しも嫌がっているようには見えなかった。むしろこの雰囲気を楽しんでいるくらいだった。

「立ちなさい」

 美穂が立ち上がると、するりと腰からスカートが落ちて、美穂はパンツ一枚だけの姿になった。

「座って」

 美穂が机の端に腰かけると、そのままそっと体を押し倒した。

 私が美穂のパンツに手をかけると、美穂は腰を浮かせて、私に素直に従った。

 こうして全裸に剥いた美穂を誰もいない教室の机の上に寝かせると、えも言われない背徳感に包まれた。

 私はそうやって、しばらく美穂の裸を眺めていた。

 言葉を話すことのできない美穂は、恥ずかしそうに両手で胸を隠し、もじもじと太ももを擦り合わせながら、私の視線に耐えていた。

 机の脇に立つと、美穂の両腕を捕まえて、胸から引き剥がす。仰向けになって少し盛り上がりが低くなった胸元から、美穂の顔へと視線を移す。

「恥ずかしい?」

 美穂は頬を赤くしたまま、コクリと頷いた。鼻息が荒いのは、口を塞がれて苦しいというだけではないはずだ。

 美穂は時折誘うように、太腿をもじもじと擦り合わせる。

 従順な美穂の姿を見ていると、ついつい意地悪をしたくなる。

 捕まえていた美穂の腕を放しても、美穂は胸を隠そうとしなかった。

 首を浮かせ、私の顔を見つめていた美穂の口を手で塞ぐようにして頭を机に押さえつけ、仰け反らせるようにして喉を露わにさせる。

「ふぅ……」

 無防備になった美穂の喉を指先で触れるだけで、美穂の口から息が漏れる。

「静かにしないと駄目だよ」

 美穂は喉をさらけ出したまま、小さく頷いた。

 ゆっくりと喉を指先でなぞりながら、ゆっくり、ゆっくりと身体を下に下っていく。喉から胸の谷間を通って、窪んだみぞおちを突いて、脂肪の少しもついていない張りのあるお腹を撫でて、お臍に指を潜り込ませて、更にゆっくりと下に進めていく。

 美穂はもどかしそうに太腿を擦り合わせる。

「どうしたの?」

 意地悪く聞いてあげると、美穂は小さく首を振った。

「嬉しいの?」

 今度は美穂は何も応えなかった。

 なだらかな丘を越え、お手入れの行き届いた控えめな茂みの中に指を進める。

「むぅっ……」

 敏感なところを指の先で優しく撫でてあげるだけで、美穂は身体を震わせていた。

「気持ちいいの?」

 顔を覗き込めば、仄かに潤んだ瞳で私を見つめ返して、小さく、でもハッキリと頷いた。

 さっきまでもじもじと太腿を擦り合わせて恥ずかしがっていたはずの美穂の股が僅かに開いていた。

「指、入れて欲しいの?」

 美穂は顔を真っ赤に染めて、もう一度小さく頷いた。

「ちゃんと声を我慢するんだよ」

 と言いながら、私は一層強く美穂の口を押さえつけた。家の中でしていたって外に声が漏れるんじゃないかって不安になるくらい美穂の声は大きい。

 ゆっくりと美穂の体のあわいに中指を沈めていく。美穂の目を見つめながら、じわり、じわりと指を美穂の身体の中に入れていく。

 今にも涙がこぼれそうなほどに潤んだ瞳で美穂は真っ直ぐに私を見つめ返していた。

「気持ちいい?」

 美穂は素直に頷いた。

「美穂のエッチ」

 言葉でいじめると美穂の身体が反応する。ぎゅっと奥まで押し込んだままの私の指を、美穂の身体が締め付ける。

「美穂が気持ちよくなっちゃったせいで机が汚れちゃったよ」

 ゆっくりと美穂の中から指を引き抜くと、私の指に纏わりついた雫が溢れ出る。お尻まで伝った雫が机にまで滲んでいた。

 恥ずかしがる美穂の顔を見つめながら、また指を美穂の身体に押し込む。

「ふぅぅ……」

 もどかしそうに美穂は声を漏らした。もっと激しくして欲しいのだろうけれど、叫ばれても困る。私と欲望に身を委ねる淫らな美穂の姿は他の誰にも見せたくない。

 時計に目をやると、こうやって美穂を焦らしていじめるだけの余裕はありそうだった。

「もっとして欲しいの?」

 美穂は素直に頷いた。

「どうしようかな。美穂のエッチな声はいつも大きいから」

 中指を美穂の中に奥まで差し入れたまま、親指でそっと美穂の敏感なところを輪を描く様に撫でる。

「ふっ……うくっ……」

 指が触れるたびに美穂の声が漏れる。

「ねぇ、本当にちゃんと我慢できるの?」

「ふっ……ぅっ……くぅぅ……」

 わざと親指を小刻みに震わせると、美穂の口から立て続けに押し殺した可愛い声が漏れる。

「ちゃんと我慢しないと、最後までしてあげないよ」

 美穂は相変わらず声を漏らしながら、小さく首を振る。

「もっと気持ちよくなりたいんだったら自分でおっぱい触ればいいじゃない」

 美穂は少し躊躇い、恥じらいながらも、素直に両手を自分の胸に伸ばした。親指と人差指で胸の先を挟んで刺激する。

「変態」

 冷たい声を浴びせてあげると、美穂の身体がキュンと私の中指を締め付ける。

「やだ。美穂、変態って言われて喜んじゃってるの?」

 蔑むように言ってあげると、美穂は首を何度も振って否定してみせるけれど、身体は素直に反応していた。

「ふっ……」

 美穂の中からゆっくりと指を引き抜くと美穂の声が漏れる。ゆっくりとまた差し入れても、くぐもった声を漏らす。

 少しずつ、指を出し入れするペースを早めていく。

「ふぅっ……ふっ……っ……ぅぅ……」

 私の指のリズムに合わせて美穂が悶えるように声を漏らす。

「静かにしないと美穂のエッチな声を聞かれちゃうよ」

 言いながらも、美穂を苛める指のペースを上げていく。美穂の声に混じって、美穂の身体から溢れる雫が微かに音を立てる。

「こんなに濡れちゃうなんて、美穂は淫乱だねぇ」

 美穂がどんなに首を振ってみても、身体は正直だった。

「あれぇ、美穂イキそうなの?淫乱だなんて言われて興奮してるの?最低ね」

 罵ってあげるほどに、美穂は私の指に反応してくれる。

 口にハンカチを詰め込まれて、その上から口を押さえつけられながら、自分の両方でおっぱいを玩び、股を開いて私に弄られて乱れている姿は、普段の大人しい美穂の姿からは誰も想像できないに違いない。

「変態」

 そう言ってあげたとき、美穂は一際喉を仰け反らせて、身体をビクビクと痙攣させた。

 でも、美穂を苛める指の動きを止めない。美穂が私の腕を掴んだってやめない。ついに目から一筋涙を溢れさせて、私を見つめながら必死に首を振ったってやめない。

「むぅっ……ぅぅっ……」

 美穂は何かを訴えるように呻いていた。

「何言ってるか分かんない。もっとして欲しいの?」

 美穂は首を振る。

「美穂は変態だから一回じゃ満足できないんだよね」

 私だって、悶る美穂を押さえつけて、嫌がりながら乱れる美穂の姿を見ていると興奮する。自分で自分が抑えられなくなりそうになる。

「むぅっ……うぅっ……」

 美穂の漏らす声が一際大きく、激しくなる。

「静かにしなきゃ駄目でしょ」

 美穂は掴んだ私の腕をぎゅっと強く握りしめて、また身体を痙攣させた。ガタガタと音を立てて机が軋む。私の指を拒むように、美穂の身体がギュッと締め付けるのも構わずに続ける。

 美穂はもう一筋の涙を零して、懇願するような顔で私を見つめる。そんな表情を見せられて、私の胸はきゅっと締め付けられて、快感が溢れ出す。

「もうやめてほしいの?」

 美穂は何度も頷いた。

「やだ」

 そう言っている間も、美穂を苛める指を緩めない。

 一層強く美穂の口を押さえつけて、美穂から立て続けに漏れる呻き声を塞いだ。

「気持ちいいでしょ?美穂は虐められて興奮しちゃう変態だものね」

 涙を流す美穂の顔を見ていると、もっともっと意地悪をしてあげたくなる。美穂の可愛い顔を、もっと涙でぐちゃぐちゃにしてしまいたくなる。

「泣いている美穂の顔は凄く可愛いね」

 くちゅくちゅと美穂の身体から漏れる小さな音がさっきよりも響く。

 美穂のおっぱいにそっと口づけをする。プクリと膨らんだ先端を唇で包み込んで、舌の先でそっと突く。

「ふうぅっ……」

 美穂は声を漏らしたっきり、身体をカタカタと痙攣させはじめた。

 いつまででも美穂をいじめ続けてあげたいけれど、今日はこのくらいにしておいてあげようかな。そう思って、美穂の中に入れていた指を止めた。

 痙攣が止んだ美穂は、苦しそうに胸を上下させながら、余韻に浸るような甘い声を微かに漏らしていた。私は、美穂の胸にピタリと頬をくっつけたままでいると、美穂は私の頭を包み込むように両手で抱きしめた。

 美穂の心臓の高鳴りが聞こえる。美穂が息を整えるのが伝わってくる。

「ふぅぅ……」

 ゆっくりと美穂の中から指を引き抜くのに合わせて美穂の声が胸の中から響いてくる。ピクリ、ピクリと身体が震えた。

「ねぇ、美穂。そろそろ着替えない?」

 そう言うと、美穂は素直に私を開放してくれた。

「苦しくなかった?」

 美穂の口に押し込んでいたハンカチをゆっくりと抜き取る。幾筋もの糸を引いて美穂の口から離れたそれは、思いの外よだれをたっぷりと吸い込んでいて、すっかりと重くなっていた。絞ったらよだれが溢れそうな程だった。

「ごめんね、美佳ちゃん。ハンカチを汚してしまって。買って返すから」

「良いよ。洗えば平気だから」

 そうは言っても、洗うまで何処に置いておこうかと、指で摘んだまま悩んでいた。

 ガタンと机が音を立てる。

 私は反射的に美穂の身体を抱きかかえていた。

「駄目だよ、無理しちゃ」

 いじめすぎたせいか、美穂はまだ身体に力が入らないらしく、床に足をついたものの、立つことができずに崩れ落ちようとしていた。

 ゆっくりと美穂を椅子の上に座らせる。

「あぁ……机、汚れちゃったね」

「見ないで!」

 授業中だということも忘れて美穂は叫び、自分が汚したところを体で覆い隠そうと立ち上がろうとして、またその場に崩れ落ちそうになった。

「私が拭いておくから美穂はじっとしていて」

 美穂の身体を抱きかかえたまま、諭すように言う。

「嫌。美佳ちゃんに見られたくない」

「何言ってるの?散々乱れていたくせに」

「乱れてないもん……」

 美穂は真っ赤に染まった顔を隠すように私の胸に埋めた。

 美穂の身体を抱きしめるように両腕を背中に回したまま、美穂の背中で、さっき美穂から取り上げたウェットティッシュを一枚取り出していた。

「ひゃぁっ!」

 美穂は声を抑えるのも忘れて叫んでいた。

 美穂がお尻まで濡らしていたから、拭いてあげようと思っただけだったのに。

「エッチ!」

「何よ、今更お尻触ったくらいで」

「自分で拭くから」

「そう?してあげるよ?」

「要らないわ」

「どうして」

「だって……美佳ちゃんに触られちゃったら……」

 そのまま美穂は口ごもってしまった。

「感じちゃう?」

「ばか!」

 私を突き飛ばそうとする美穂を椅子に座らせてあげると、手にしていたウェットティッシュを奪い取られた。

 美穂が自分の股の間を拭いている姿を私がじっと見つめていることに気づいた美穂は、慌てて私に背を向けると、床に落ちていた美穂のスカートを拾い上げて、私の顔に投げつけた。

「見ないで!」

 美穂は紛れもない美少女だけれど、やっぱり、股の間を拭いている姿というのは少し抜けて見える。けれど、そんな普段は絶対に見せない様な、美少女の準備中な抜けた姿というのも、それはそれで興味深い。

 私もウェットティッシュで美穂の滴で濡れた指を拭き、美穂に舐められた股の間を拭く。あぁ、やっぱりこんな姿は美穂には見られたくないかもしれない。

 けれど、結局、美穂も私と考えていることは同じらしく、チラリと美穂の方に目を向けたら、目が合った。美穂は慌てて目を逸らした。

「何見てるのよ!」

「わ、私だけ恥ずかしいところ見られてずるいもの」

 美穂は私に背を向けて、自分が汚した机と椅子を拭いていた。

 そんなことよりも先にパンツくらいはけばいいのに、そう思いながら、突き出されてフリフリと揺れる剥き出しのお尻をじっと見つめていた。

「ねぇ、美佳ちゃん。パンツ、どうするの?」

「あぁ、そうだねぇ」

パンツを履いたまま、美穂に弄られたせいで、すっかりと濡れてしまった私のパンツ。そのままはくのは躊躇われた。状況は美穂のパンツだって同じだった。

「美穂はちゃんと着替えのパンツも持ってきているの?」

「美佳ちゃんの分もあるのよ」

「美穂は、いつでもどこでも、私とエッチできるように準備してるんだね」

「美佳ちゃんのこと、大好きだもの」

「私も好きだよ。美穂のことは、大切な親友だと思ってる」

「意地悪」

 美穂は少しだけ辛そうな顔をした。

 私には、美穂のくれる『好き』と同じ『好き』を返してあげることができない。

「美穂には嘘なんて言えないよ」

「嘘だとわかっていても、言ってくれたら嬉しかったのに」

「ごめんね」

 美穂は首を横に振った。

「私の方こそ、わがまま言ってごめんなさい」

「それで、パンツだけど、私予備があるから大丈夫」

「あら、美佳ちゃんも準備がいいのね」

「まぁね、生理用だけど」

 言いながらパンツを履く。そして、スカートを脱いで、美穂に投げつけられたスカートに履き替える。

「美佳ちゃん、そのスカート、私のよ」

「えっ?制服を交換したかったんじゃないの?」

「別にそんなつもりじゃなかったのだけれど……」

 言いながら、美穂は不安そうに私の脱いだスカートを手に取って、履こうとする。

「美佳ちゃんには私のスカートは無理だと思うのよね」

 私のスカートを履いてしまった美穂は、ウエストの間に指を入れて、グイっと引っ張って見せる。

「ほら」

 そこには指が何本も入りそうな隙間があって、手を放すと、すとんと床に落ちてしまいそうなくらいだった。

「馬鹿な!」

 ホックが止まらない!ファスナーが上がらないだと!?

 美穂のスカートは私には無理だった。

「ち、違うの!私デブじゃないから!」

「分かってるよ」

「美穂が細すぎるだけだから!」

 美穂のウェストは五十七センチメートルという驚異の細さだ。

「どう?まだ交換したい?」

「いい。どうせ美穂の制服じゃ、胸のボタンもとまらなさそうだし」

 言い換えれば、美穂の胸は私よりもはっきりと小さい。

「分かっているわ。美佳ちゃんは、デブじゃないのよね。デブじゃ」

 美穂の言葉には明らかに棘があった。

「もうすぐ授業も終わりね」

 美穂は時計に目をやって呟いた。

「どうしようか?」

「何もしないわ」

 美穂は私の手を握って、指を絡めてきた。私もその手を握り返す。

 私が床の上に腰を下ろすと、美穂も隣に並んで座った。まるで恋人のように、美穂は私にもたれかかり、頭を私の肩にのせた。教室の後ろから、誰もいない静かな空っぽの部屋を見渡す。

「美佳ちゃん」

「何?」

「好きよ」

「私も美穂が好きだよ」

僕の好きなものはお金です。寄付はいつでも受け付けています。


 武士道と言う、日本古来の道徳観があります。これには貞操観念、特に女性の貞操観念について厳しく定められています。

 女性は懐刀と言う、小刀を携帯しています。これは、貞操の危機に陥ったとき、つまり襲われそうになったときに使用するものです。その小刀で暴漢を撃退できれば良いのですか……メインの使い方は、貞操を奪われるという辱めを受けるくらいなら、その懐刀で自らの命を断つために携帯しているようです。しかも、自らの膝を着物の帯などで縛った上で死ぬのだとか。死んで意識が失われたあとであろうとも、はしたなく股を開くようなそそうがないようにという配慮である。

 と、言うようなことが、五千円札で有名な新渡戸稲造氏の「武士道」と言う、書物に書かれています。

 そんなわけで、武士道は男尊女卑甚だしい道徳観であるわけです。


 さて、時代は代わって、刑法の話をしましょう。

 レイプが犯罪であるかどうかを判断するためには、強姦罪が適応されます。強姦罪が成立するかどうかを判断するために、被害者がどれほど抵抗したのか、というのが重要な要素になってきます。と、言うのも、「些細な暴行・脅迫の前にたやすく屈する貞操の如きは本条によって保護されるに値しない」という規定が2016年まで適応されていたわけです。だから、どれほど死にものぐるいで抵抗したのか、ということを被害者が、訴えないといけないのですね。

 まるで太古の武士道の道徳観を引きずっているようではありませんか。


 これからの時代は、同意のないセックスは犯罪であるという方向に向かいつつあります。

 嫌よ嫌よも好きのうち、などという戯言は通用しなくなるわけですね。

 いい雰囲気からそのままセックスに持ち込む、などと言う行為は非常に危険なわけですから、これからの時代は、明確にセックスしたいという意思表示をすることが求められるわけです。男性はもちろん、女性もです。

 古い価値観の上では、男性がリードし、女性が受け身と考えられていたわけですが、ジェンダー平等の時代においてはそのような考えは時代遅れになります。

 ジェンダー平等というのは、男女平等などという狭い概念とは異なるものです。生まれ持った性別に左右されず、自分らしく生きる、個性を尊重しようという思想です。

 だから、男だからリードするものだとか、女が性に奔放であってはならないなどという考えは間違いであるということです。

 男が情けなくても構わないし、女が性欲剥き出しでも構わないわけです。それを批判する言動はジェンダー差別と言えるものでしょう。

 もっと言うならば、女子の恋愛相手が男子でなければならないなどと言う、固定観念はジェンダー平等に反するものであり、誰を好きになっても構わないわけです。

 さて、そういう訳ですから、聡明な読者の皆様におかれましては、百合とかやおいというものは、ジェンダー平等という時代を先取りした崇高な思想であるという事はご理解頂けるはずです。

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