日光浴
今日は天気がいいというので合コンで出会った女・未知瑠と日光浴に出かけることにした。
春の陽気に包まれて、ぽかぽかと暖かい日の光に照らされる。
公園には同じ目的で日光浴をする人たちがいるなかで、
僕らもシートを引いてごろごろしていた。
未知瑠は何かを思い出して少しそわそわしていた。
「どうしたんだい?」
僕はそっと語りかける。
「……うん」
未知瑠は何か言いにくそうだった。
これ以上聞き出していいものか迷いに迷ったのだが、僕の好奇心が増したので少ししつこく問いかけた。
すると、未知瑠は青ざめた顔をして言った。
「昨日ね、研究所の実験室からガスが漏れちゃって大変なの。
あのガスを人間が浴びると、人間はゾンビになっちゃう。
このままだとこの街はゾンビタウンになってしまうの。どうしよう……」
あまりに現実感のない話に僕はhahahaと笑って済ませたが、
確かに公園に行く道中、顔色の悪そうな人間が噛み付いてきそうになった。
僕は危険に感じて、反射的に頭をかち割ったのだったが、あれがゾンビだったのかもしれない。
まあ大丈夫だろう。
心配することはない。
ゾンビで街が溢れたって、僕と未知瑠との愛は壊れない。
合コンで出会っただけの浅い付き合いのように思うかもしれないが、
極限の状態になればある種の吊り橋効果で僕らの愛も深まるというものだ。
僕はもってこいの状況だと思って、とりあえず近くのホームセンターで火炎放射器を入手することにしたのだった。