しろいよる
しろい しろい まっしろなよるに
あたしはたっていたの
しろくて しろくて ずっとしろいよるのなかで
まいごになった
ずっとしろいの
ずっとしろいの
はるかとおくまで しろいの
おかあさんも おとうさんも だれもいなくて
さびしかった ちょっとふあんだった
おわりをさがして あたしは がんばった
がんばってあるいたの
ずっとあるいたら おとこのこがいた
あたしとおなじくらいの おとこのこ
あたしをみたら わらって
「いっしょにくる?」っていった
あたしはしかたがないから ついていった
さっきみえなかったものが みえるようになって
たくさんのとびらがみえた
おとこのこは ひとつのとびらに まっすぐすすんでいった
なんにもまよわなかった
あたしがそのこに「あなたはだぁれ?」ってきいたら
うれしそうなかおをして 「ぼくのなまえはくれん」っていった
とびらのなかは しらないせかいだった
もどろうとしたけど とびらがなかったの
いつかかえれるかな あたしのおうちに
おかあさんとおとうさんに あえるかな
「懐かしいね」隣の半猫はほほ笑んだ。
「昔のことが思い出されて、恥ずかしいだけよ」あたしはノートを投げ捨てる。
「だめだって!」半猫は急いでノートを拾い上げ、表面をなでるようにほこりを払う。「ぼくの大事な宝物なんだから!」
「でもそれって、あたしの書いたものよね?」
「う・・・。でもグレンはこのノートいらないんでしょ?」
「そうだけど・・・。・・・なんで今どや顔しているのかが分からない」
「えっ?どや顔なんt」
「なにやってるのー?」奈々子があたしたちの顔を覗き込むようにして、聞いた。
「なんでもないけど」あたしは即座に答える。
「あ、なーちゃん!みてみて!グレンと僕が!出会った時の!」
「やめてよクレン!」あたしはとっさにノートを取り上げてしまった。
「グレンのケチ―!見せても減るもんじゃないじゃん!」クレンは口をとがらせた。
「減るのよ!私のプライドが!」
「なんだか楽しそうね」奈々子が楽しそうに笑った。
グレンの過去の話。
病んでるわけではありません。
「猫の世界で」のハッピーエンディング後の話のつもり。