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ザワザワと騒がしくなった玉座の間に、隣りに立っていた渋い男性魔族は一喝した。
「魔王様の前であるぞ!静まれ!」
あんなに煩かった玉座の間がピタリと静かになった。
渋い男性魔族は玉座の間にいる全ての魔族を下がらせた。
玉座の間には、渋い男性魔族と私だけになった。
「魔王様」
「なんだ?」
「本当に記憶喪失なんですか?私のこともお忘れで?」
「ああ。まずはあなたの名前を教えてくれないか?」
「最初に知るのが私の名前とは光栄でございます。私の名前はローファと申します。魔王様はご自身のお名前はご存知ですか?」
「忘れた。なんて名前だ?」
「ジョニー様です」
「へ?」
「ジョニー様です」
「・・・そうか」
ジョニーか。なんというか外国人によくある名前っぽいな。
しかし、この今の私の外見には似合わない気がバンバンする。
まあ、それはともかく、私の立ち位置を明確にしないとね。もう分かりきったことだけど。
「ローファ、私は魔王なのか?」
「はい。我々全ての魔族の頂点に立つ偉大なる魔王様でございます」
はい。私魔王決定しましたー。