人と、機械と、炎と、敵 ─プロローグ─
───此処は、どこか地球と似た、しかし地球とは関連性が見いだせない惑星。大地の形は違うものの、発展した文明は似ている。
その惑星の中で、最も広い面積を有する大陸『アルトゥム』。そこでは、草原の国『ヴィーゼ』と、山の国『フォディーナ』が戦争状態にあった。原因も定かでない、国境の街で放たれた一発の銃弾が引き起こした、長く続く、しかし戦闘そのものは散発的でしかない戦争……いや、だからこそ長く続くのか。
ヴィーゼの辺境とも言える位置に存在する、中規模の街『ジルエス』。
───歴史は、ここから動き出す。
「……ええい、キリがない!一体どれだけ来るんだ!?」
「後部座席のキミ、レーダーの赤い点を数えて!」
「ええと、1、2……レーダーの範囲内には5つあるよ!」
街の中の開けた場所で、燃え盛る炎を背に、漆黒の装甲を持つ鋼の巨人が、銃を持った機体と戦っている。
漆黒の巨人が、対峙する二機の片方に接近し、左右の拳で頭部を打つ。続けて左のボディブローから、打ち下ろすような右のパンチ。
この連撃で、相手となった機体は倒れ、機能を停止したようだ。
「ってことは、今倒したから目の前の一機、さらにあと三機相手にしなきゃならんのか……!くそぉっ!どうしてこんな事に……!」
メインで操縦していると思しき青年は、こうなった経緯を思い出す───
とうとう始めてしまった新作、最初のいくつかは短間隔で投稿します