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Living Dead  作者: Ali
3/3


 JDは列の最後尾を歩いていた。別にイヤじゃない。なんたって好きな女のケツが見れる。しかも今日は新入りのかわいい子ちゃんもセットだ。気付けばもう溜まり場に付いていた。「ここだ」と言い放つブラッドにおれは目をやった。おれもあれくらいビジュアルが良ければモテモテなのによ。黒人だって理由だけで人を貶す。困った世界だな。

 ブッラッドはニッキーの近くに寄ると一言言った。

「よし、おれは隊長にこの事を伝えてくるから、それまで頼んだぞ」

「はいよ。早めに来いよ」

 ニッキーは一息付くとゆっくりと振り返り、話し始めた。

「まあ、そこに座れ」

 ニッキーは地べたにどかりとり込む。他のものもそれに習い、次々と腰を下ろした。

「そうだな…。自己紹介でもするか?アタシはニッキー・パルシャン。よろしく」

 続いてその横隣にいたJDが話す。

「えーと、ジャック・デップだ。頭文字を取ってJDって言われてる」

「それから、脳足りんだ」ニッキーはニヤニヤしながら口を開いた。そんな会話を横目に大柄の男が口を開いた。

「おれはバン・パラリスだ。お二人の名前は?」バンはにっこりと微笑む。

「わたしはアンジェラ・ソマーズ。彼は…」

「コリン・ダブリンだ。よろしく」アンジェラの後にコリンは上手く繋げた。

 それを見届けるとバンは先程の微笑みを崩さず言った。

「さっきまで一緒に居たのが、ブッラド・ショーネシー。それからおれ等の良き隊長……」

「君たちかね?」

 バンの後ろから声がした。東南系の顔で歳は30代後半から40代前半ぐらいだろ。その男は力強い口調で話し出した。

「わたしはこいつ等の隊長ザグ・ライマンという者だ。君たちにはいろいろと協力してもらいたいのだが…。そうだな、まずは”何故ここに居るのか”というところから始めるとしようか?」

 ザグが言い終わるか否かコリンがすかさず口を開いた。

「彼女は記憶喪失で覚えてないんだ。おれでよければ全て話す」

「記憶喪失?」

「ああ。それについても話すよ」

 ザグはそれを聞くと「ついて来い」とだけ言い奥のテントの方へと進んで行った。それをコリンがそして先程まで腰を降ろしていた物達をも後に付いた。

「ニッキーは行かないの?」

 アンジェラはゆういつ行かなかったニッキーに問いかけた。

「お話し会は苦手だ。たいていはブラッドが簡単にまとめて教えてくれる」

「そう……。あそこに誰かいるの?」

 アンジェラはちょうどテントの中の人影を見つけた。

「あいつはコンピュータープロフェッショナルのテリー・ハーカーだよ。他にはにコルベット兄弟のベンとブラディ。マーク・ヘルウィン。それから治療係のターニャ・サリヴァンがいる」

「それにしても随分隊員が多いのね」

「いや、普段は5人程で行動するけど今回はちょっと大掛かりみたいだよ」

 ニッキーは先程自分が置いたリンゴを手に取る。

「どういう意味?」

「まあ色々あるって事だ。リンゴ食べるか?」

「ありがとう」

 ニッキーは持っていたナイフでリンゴを捌きとアンジェラに手渡すと、火の近くまで彼女を誘導した。「今夜は冷えそうだ。でもここは暖かい」

2人は微笑みながらその場に座った。

「なぁ、アンジー」

 ニッキーが自分の名前をニックネームで読んだ事に対して少し驚いたが、友達になろうと言われた時の気持ちと似ており少しばかし嬉しかった。そして何より懐かしい気分になる。アンジェラは今まで以上の笑みを浮かべ頷いた。

「なに?」

「銃は好きかい?」

 ニッキーは右手に程よくかかる重りに満足しながらアンジェラを見つめた。奇妙な質問をしてくるものだ。

「さあ、使った事無いから」アンジェラの答えにニッキーは驚きをあらわにした。

「びっくりだね。頭ごなしに否定されるかと思ったよ」

 ニッキーは気分がいいのか嬉しそうに手元の銃を見つめた。そして小さな灯り火に銃を向け、引き金に指をかけた。

「――パンッ!」

「ニッキー。今のって」

 一発の銃声が森の中を反響する。

「この銃、まだ弾入れてないよ?」

 ニッキーが言い終わか否かアンジェラは銃声の聞こえた方に走り出した。

「おい、アンジー!」

 追いかけようと立ち上がったとき目の前に光る物があった。宝石によって豪華に装飾されているロケットのようだ。

「たくっ! 面倒な事になったな」

「何事だ?」

 隊長のザグがニッキーの近くに駆け寄った。

「わかりません。ただアンジェラが森の中に……」

「本当か?」

 ニッキーはザグから目をそらさず小さく頷いた。それが嘘ではないと確信したザグはぞろぞろとテントの中から出てくる隊員に言い放った。

「わたしとニッキー、それからテリーとターニャはここに居ろ。それ以外の者はアンジェラと発砲した者を今すぐ見つけ出せ!」

 誰がいないのかを即座に判断したテリーはザグの元へ駆け寄った。

「隊長! どうやらマークがいないかと……」

 テリーの言葉を聞いたバンは血相を変えて森の中へと走り入った。今までも、これからも良き相棒であると思っていたマークに危険があったかもしれないと思うと落着いては居られなかったのだ。

 

 アンジェラはひたすら走っていた。何故こんな事をしだしたのか解らないが走り出してしまった以上引き返すのは気が引ける。そもそもそんな事をする気はない。

 ふと前を見ると人影が見えた。相手は自分の存在に全く気付いてないようで、ただかかしのように突っ立て居るだけだった。アンジェラはゆっくりと近づいた。

「あの、さっき発砲したた方?」

 アンジェラは更に詰め寄った。

「ねえ、聞いてるの?」

 相手との距離がわずか5メートルとなった時だった。土や草の匂いで気付かなかったが強烈な悪臭がした。まるで生ものが腐ったようなそんな匂いだ。アンジェラは嘔悦をもらし後ろに下がった。しかしどんなに下がってもその匂いは鼻から取れず、唾液が絶えずこみ上げてくる。先程まで立っていた者の方に目をやるとあきらかに”それ”はこちらに近づいてきていた。そしてゆっくりだか確実に彼女との間を詰めてゆく。その間、腐敗物の匂いが耐える事はない。アンジェラは直感的に”危険”だと思い逃げようとするが、身体が縮こまってしまいコントロールが全く利かない。

 アンジェラ走って! お願いだから走って! 私の身体なんだから私の言う事聞いてよ!――その時アンジェラは石につまずき後ろ向きに倒れ込んだ。続けざまに"それ”も自分の上に覆い被さってきた。アンジェラは反射的にそれからよけると側にあった石ころを投げつけた。

「この変態やろう! くたばれ!」しかし"それ”はうめき声1つ漏らさずにゆっくりと立ち上がった。そしてちょうど当たった月光りによって"それ”の姿が一目瞭然となった。全身血によって光沢帯びたそれは、顔の半分は人間の面影が全く見られなく、何より裂けた胸から見える心臓らしきそれはぴくりとも動く気配はなかった。あまりにも衝撃的な光景を目の当たりにして頭の中が真っ白になった。"それ”は絶えず獲物との距離を狭める。

「――パン」

 一発の銃声とともに”それ”の頭は吹っ飛び、同体はどさりと音を立てて倒れた。アンジェラは音のした方に顔を向けるとそこにはいかにもたくましいという言葉がぴたりと合う男が居た。だぶんS.W.A.Tの誰かだろう。それらしき服を着ている。

 アンジェラは張りつめていた物がすべて解けその場に座り込んだ。

「お嬢さんお怪我は?」

「ええ、なんとか。ありがとう。わたしはアンジェラ」

「おれはマークだ。宜しく。こっちは奴に腕をかじられちまった」そう言った男の腕は確かに深くえぐられていた。

「おい!」森の奥から一人の男の声が聞こえた。バンだ。銃声の音を聞きつけやってきたのだろう。

「お前達怪我はないか?」

「マークが腕を……」

「誰にやられた?」

 その質問にマークは先程の死体を指差して言った「こいつだ」――その指し示された場所を見たバンは驚愕した。いったいぜんたいなんなんだ? コイツが動いたとでもいうのか?

 硬直しているバンにマークが問いかけた。

「早く戻って隊長に知らせよう」


                        *


 PM.7:00

 あの奇妙な事件から30分ほど過ぎた今、ザグの命によりアンジェラ達は"館”に向かおうとしていた。"館”というのは、この"無人島”にゆういつ有る人間の住める場所だった。

 アンジェラはうっとおしい程の木々に飽き飽きしていた。

「ねえ、本当にあるの?」

「なにが?」

 アンジェラは隣を歩いていたコリンに話しかけた。

「だから"館”の事よ」

「彼らが有るというなら、有るんだろう」

「でもここは無人島なんでしょ?」

「昔は人が住んでたのかも」

 やうやく木々の迷路から抜け出し大きな広場に出た時ぴたりとコリンの足が止まった。

「どうかした?」

「あったよ、ほら」コリンははるか遠くをさすように腕を高く上げた。そこにはまさに館という言葉がふさわしい不気味な建物が立っている。

 わたし達は今からあそこに行くのだ……。

 アンジェラ達はその圧倒間に興奮をあらわにした。

読んで下さりありがとうございました。

何かご指摘がありましたら、優しくお教え下さい(笑)


*今回のように大分たってからの更新は

当たり前だと思ってもかまいません。

ちょこちょこ書いて行くので、宜しくお願いします。

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