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隣の空き家。
当時三歳だった私は、その空き家に何があるのか知りたかった。
外から見ても分かる広い敷地、春になると花の甘い香りが漂い、その中心には綺麗な古い洋館が佇んでいる。
でも、これは自分の家の二階の窓から見えたほんの一部。
大人に聞いても、何も知らないと言った。子どもをあしらう為では無く、本当に知らないという事を私は直感で悟った。
だからこそ、何があるのか見てみたかった。美しい洋館に何があるのか……
親が出かけた日、婆やの目を盗み隣の空き家に入ってみることにした。
私の親は、毎週水曜日に三時から六時まで出かけて行ってしまう。婆やが遊んでくれるけど、私はその時間が、退屈で退屈で仕方がなかった。
私は、三日後の水曜日に空き家に忍び込む計画を立てた。
とても、三日後が楽しみだった。