第一節 迎撃の時代
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// 第一節 迎撃の時代
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司令部への巡航ミサイルの到達は、この戦争に残された時間が、もはや多くはないことを示していた。
日本は専守防衛を掲げ、防衛兵器の開発には抜かりがない――そのはずだった。
発明以来、ミサイルは各国軍の主力兵器であり続けてきた。
だがここ数年、急速に発達した防衛システムによってその価値は弱体化し
もはや火縄銃と大差ない旧式兵器へと成り下がっていた。
AIが統合制御する防空コンピュータ。軌道上から監視を続ける衛星群。
それらによって高度に制御された極音速迎撃ミサイル。
巡航ミサイルは、目標へ到達する以前に、その存在そのものが無効化される
――そんな世界だったはずなのだ。
にもかかわらず、それは司令部に届いた。
それは、敵国が保有する兵器の高度なステルス化が、防衛技術を上回り始めていたこと。
そしてそれ以上に、高度な防空網を維持するだけの“体力”が、この国にはもう残されていなかった。
兵器がどれほど高度化しようと、勝敗を決めるのは結局“国力”である。
それが、現在の戦の理だった。
北方戦線では本土への上陸を許し、激しい地上戦を強いられている。
南方は台湾との連合でなんとか戦線を維持しているが、中国という大国のとめどない物量に
現場の兵士たちは絶望の淵で喘ぐ日々を過ごしていた。




