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貸出の檻  作者: メタル
第七章 愛人形-ラブドール
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第三節 赤の兆候(しるし)

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// 第三節 赤の兆候しるし

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――彼女との生活にも少し慣れてきたなと思いだしたそんなある日。


帰宅後のルーティンとして女を脱がせると、いつもと違う異変に気づいた。

パンティが真っ赤に染まっていたのだ。


「……っ!」


血の気が引いた。

焦りで頭が真っ白になり、しばらく何が起こったのか理解できなかった。

だが、冷静になって考えれば答えはすぐに出た。


――月経。


この体は、生理を止める処理を受けていなかったのだ。


本来、フェミナやライセアの中古ボディは、返却・再流通前に必ず「月経停止処置」を施される。

妊娠を防ぐため――いや、もっと言えば、戸籍に存在しない子供が勝手に生まれるのを防ぐためだ。


もしそんなものが生まれれば、

親権、権利、責任所在……すべてが法のグレーどころか“真っ黒”になる。

国家レベルで大問題になるからこそ、月経機能は必ず封印される。


それがされていない、ということは――


この個体は正式な処理を経ていない“ヤバい代物”であるという動かぬ証拠だった。


幸い、購入してから妊娠に繋がるような行為はしていなかった。

だが、これからは注意が必要だと痛感した。


出血は待ってくれない。

俺は恥を忍んでコンビニへ走った。

さすがにいつもの店で買う勇気はなく、少し離れた店で生理用品を手に取った。


帰宅後、処置をしながらふと思った。

――この体は、数日前、あるいは数か月前までは確かに“普通の女”として生きていたのだ。

新しい体に乗り換えたのだろうが、それでも。

おっさんに下の世話、生理の世話までされるなんて、きっと屈辱だったに違いない。


やがて出血は収まり、周期は通常へと戻った。

つまり、この体は“子を産む準備ができている”ということに他ならない。


そう考えた瞬間、胸の奥で何かが弾けた。

なぜか今まで無意識に避けていた衝動が、一気にあふれ出してきた。

――抱きたい。

ただ、抱きしめたい。


そして、気づけば一線を越えていた。


相手は人形。

意識も返事もない。

本来なら、一方的な行為にすぎないはずだった。


それなのに。


抱きしめた瞬間、なぜか“お互いに求め合っている”ような錯覚にとらわれた。

その感覚に、俺は抗うことができなかった。


ただの生理的反応にすぎない――そう頭では分かっていた。

それでも、女の体のかすかな反応が、まるで俺を求めているかのように錯覚してしまう。


声を上げることもなく、焦点の合わない瞳はただ天井を映すばかり。

それでも、その奥底で自分を必要としてくれているのではないか――

そんな期待が、どうしようもなく膨らんでいった。


少なくとも、俺はこの女を愛していた。

それだけは確かだった。

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