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彼は考えた。

作者: 虎藤

彼は机に向かって考えていた。勉強をしろと母親に言われ、自分の部屋の椅子に座ってふとある考えが浮かんだのだ。


 なんで勉強をする必要があるのだろうか、と。


 当たり前の話である。多くの人が疑いもせずに(いや、少しは疑っているかもしれないが)勉強というものをする。


 しかし、私たちは勉強というものに毎日多くの時間を溶かしている。そんな中なぜ勉強をするのかも考えずに勉強をするのはどうなのか。むしろ勉強してない奴と変わらないのではないか。


 そうなのだ。勉強をやらない自分もやってる奴らも変わらないのだ。


 そこまで考えて、彼は明日テストであることを思い出し。慌てて算数のノートを開いた。


 時刻は8時である。


 彼は五分ほど算数の宿題をやって、あることに気づいた(決して宿題をやるのが面倒くさくなったからではない)。


 こんな風にやっているから私たちはなぜ勉強をするのかを考えないのではないかと。


 要するにである。私たちは皆、勉強について考える機会があったはずなのだ、しかし、毎日の宿題や明日のテストなどに追われなぜ勉強をやるのかを考える時間がなかったのだ。


 ここで、勉強をやらないといけないせいでなんで勉強をやらにといけないのかわからないという矛盾が発生している。


 要するになぜ勉強をする必要があるのかを考えるには1回勉強をやめて考えてみるしかないのだ。

 しかし多くの人はこの考えにたどり着けずに勉強してしまう。


 この考えにいたって、彼は自分の頭の良さに満足するとともに、ただ勉強をしている奴らより俺のほうが勤勉だという優越感に浸った。


 彼はしばらく優越感にひたると気を取り直して、なぜ勉強をするのかという思考に戻った。


 彼はしばらく考えていたが行き詰ってペン回しを始めた。

 彼はペン回しが得意である。


 ちなみに時刻は8時10分である。


 彼はペン回しをしばらくやって、ふとあることに気づいた。


 なぜ学校は勉強をする理由について教えないのだろうと。


 いや、確かに将来の可能性を広げるためだよ、とか、大人になればわかるわ、とか、大人になったときに勉強をやってたほうが幸せになれるからみたいなことをいう。


 しかしである。今の幸せを削ってまで未来の不安定な幸せに投資する必要はあるのだろうか。

彼は自分の言い回しに少し感動すると、もう少し考えた。大人たち(彼にとっての先生や親)は大人になって勉強をしていたから得だったのでそんなことをいうのではなかろうか。だけど実際は『勉強によってへずられた幸せ』から『大人になって勉強をしなかったことで損をした幸せ』を引いたら結構な量の幸せが残るのではなかろうか。彼はこの考えに幸せから幸せを引くってなんだよとつっこんだあと。少し眠くなってきたなと思った。


 時刻は8時30分である。


 彼は少しボーっとした後でも勉強はそもそもなぜ始まったのだろうと考え始めた。


 彼は勉強により僕たちの時間を奪うことで何か得をする人がいるだろうかと考えた。


 そして彼は一つの大きな結論にたどり着いた。


 もしや政府は勉強をさせることで自分たちの命令をきかせやすくさせているのではなかろうか。


 勉強をみんながやっている環境を作り出すことで子供たちから考える時間を奪い、みんな国の言う通り勉強をやっているという環境を作り出すことで国には従うものだという意識をもたせるに違いない。


 そうだ、そうにきまってる。彼はひとり興奮してシャーペンを落とした。


 こうやってそれテストだそれ宿題だと学校に管理されているからなぜ勉強するのかという大切なことに気づかないのだ。


 彼は明日友達にもいってみようと考え、でもそれに気づいたことが国にばれたらと考えを改めた。


 そうか国は僕たちを学校に行かせることで子供時代の大半を奪い、管理しているに違いない。


 彼はそう考えると明日学校に行くのをやめようかと思うも友達と遊びたいのでやめた。


 そこで彼はテストのことを思い出し勉強をしようとするもとどまった。


 そうだ、ここで勉強をしていては国の思うつぼなのだ。


 彼は危なかったと安堵し、勉強をやめた自分をほめた。

 

 「勉強をするのはえらいけど、そろそろ寝る支度をしなさい」


 突然、母の声が聞こえてきてもうそんな時間かと思った彼は

 

 「わかった」


 と返事をすると寝るための支度を始めた。


 こうして勉強をしないことを正当化した彼は、

 次の日昨日勉強しなかったことを悔いた。


 



 


ノリで書いたら主人公に愛着が出てきたので、一応投稿しました。

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