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アンメットライフ  作者: ¥$終
〜アンメットマネー〜借金返済編
9/54

前もって

宿に入り明日の予定を考えながらゲームを始める。

マジカルファームの他にランダウやりたいことは3つ。3人の7級昇格と実家に種と便利アイテムを渡すこと。

後の1つは別に明日じゃなくてもいいかと後回し。


(おっ、チタンの鍛治と錬金の成功率38%か。でも在庫が心許ない……。おっ、ディミルの実が集まってきた。これの設定好きで意味もなく専用の簡易収納箱作って、それに入れまくるんだけど今作は収納箱無いっぽいなぁ)


簡易収納箱とは、家の中にある無限に入るタンスとは違い、1種類999個入れることができ、一箱30種類までの容量を持つアイテムで、主に農場へ置いておき、畑や畜産で使うアイテムを家から持ち運ばなくても、持ち物を入れ替えするためのシリーズ恒例アイテムである。


ダンジョン近くに設置して料理なんかを入れて置く小技も存在するが、NPCの通り道に置いてしまうと中身ごと壊されてしまう悲劇が起こる。


前に金を使って全員分の装備を作ったが、出来るならより良い装備を作りたい。

気が付いたら銀以下の在庫が溢れてるし、鍛治と錬金スキルを使って素材をランクアップさせればチタンもかなりの数に出来そうだと踏んだ。

作るのは時間がかからないし採取をしてたらメッセージの表示。


『創作ショートカットで作った石の矢が999個になり10:1用倉庫が開放されました』

(えっとなになに?変換した物を取り出さないでゲームにそのまま保存しておけるのか)


まあそこそこ便利だなと流してチタン製装備を作り始める。

弓に槍に……。バーバラは魔法と解体のナイフしか使ってないことを思い出す。

一応MGAが上がるようにしたナイフは持たせているが、ナイフを持つときは大抵戦闘が終わっている。


魔法使いの武器と言ったら杖だが、マジカルファームでもロウフリアでは違う。こっちでは魔法は武器によって威力は上下しない。

魔力を流すと、専用の魔法が使える魔道具なんかもあるが、精々苦手な属性の補助程度にしか使えず、そもそも戦闘に使えるのは高価だ。


(あとゲームで作れる魔法使いっぽいのって、チタンで鞭とか無理だろ!)


1人で突っ込みをしながら変換しつつ、あと少しで全員分のアクセサリーを作れるってところでチタンがなくなった。

元々一杯あっても1つ変換するのに10個必要で成功率38%は失敗もそれなりだ。

途中スキルレベルも上がって42%までに上がったが誤差の範囲。


ここまできたらと金を買えるだけ買い込み、チタンまでランクアップさせ作りきる。

代わりにゲーム内資金とランダウの気力は底を尽きかけてる。

失敗作の粗悪品やゴミ品質を売ろうかと思ったが、それをする前には完成させることが出来た。

(俺が金持ちになったらお前は貧乏か。実家用に小麦の種とトウモロコシかオリーブ悩むな……)


そうして初日に決めたゲーム時間は守られることもなくのめり込んでいく。


いつ寝たかもわからないで起きた次の日。ドアを開けると3人が待っていた。

ちょっと服とかボロボロになっているのに堂々とした立ち姿が扇情的でドキッとしたのを心の中でアリーに謝っておくランダウ。


「3人共どうしたの?」


「べっつに〜♪それでダウのしたいことってなーに?」


「最近お世話なりっぱなしだからそっちを優先しようかな♪」


「後は年1回の税金を収めるだけでいいのよ〜」


「ありがとう!そうだね、まずは俺の実家に顔だそうかな」


((つまり両親に挨拶)なのよ!)

「それは大事だね!」

「すぐ行くのよ〜」


「ぼ、僕は遠慮した方がいいのかな?」


「(種を渡して近況報告するだけだけど、素敵な仲間を紹介したいし)来てくれると嬉しいよ」


「君ってば欲張りじゃないかな!?」


すれ違いと勘違いをしたままランダウの実家があるラムド外れの田舎へと話しながら向かっていく。


唐揚げが普及すれば、油と小麦の需要が高まるので実家にその種を渡したいと話したらがっかりしたようなホッとしたような表情をされた。

ついでにブルースライムが出たら核をギルドに納品しないで自分で使いたいことも話したら流石に驚かれる。


「ポーションの作り方は薬品ギルドのトップシークレットでしょ?!」


「僕的にはダウが知ってても不思議はないかな」


「私達なら精々素材をポーション用に精錬する小間使いしか出来ないのよ〜」


「いや、そうじゃなくて、取り出した後すぐか倒す瞬間に壊したいんだ」


余計に意味が分からないと詰め寄られたが、ランダウ自身も壊したいという欲求があるだけなのだから困ってる。

結構壊すのは大変そうなので(核壊しの依頼が薬品ギルド8級にある)変換してからまだ1度も使っていないアイアンソードで破壊を試みようと決める。


自宅の畑が見えたところで作業中のリャーギンを見つけた。

あちらもすぐに気が付いたみたいで笑顔で走って来る。


「ダウ!元気だったか?お前が自立してから20日くらいか。もう少ししたら様子見に行こうと思ってたんだよ。こちらのお嬢様方の誰かはもしかして彼女かい?」

「「「ふつつか者ですが」」」


元気そうな弟の姿にテンションが上がり、距離が近い女子が3人もいれば恋仲か疑うのは当然だろう。

もしかしたらダウは抜けてる所があるから手助けしてやろう。そんな気持ちがリャーギンにはあった。

そして帰ってきた答えは期待と予想を遥かに越したものだった。


(えっ?確かにドロシーは僕に好意を持ってくれてる事は知ってたよ。けど恋に恋するって感じで付き合ってもないし、そもそもバーバラとロザリンドは友達感覚だったじゃん!でもそんなことを言える雰囲気じゃないよな……。ていうか断ったら関係が拗れる)


一方3人はというと。


(これで家族公認よ!)

(否定しないところを見ると満更でもないのよ〜)

(別に僕は2人と違うけどダウならまぁ別にいいかな)


リャーギンに義妹扱いをされながら家へと通される。

父とビーグは出荷に行っており母であるフェイしか残っていなかった。


「街ではそのうち小麦粉とかもっと売れると思うからさ、仕事で手に入れた小麦とかオリーブの種を渡そうと思って」


「そんなことよりも早く将来の娘を紹介してよ。全く、本当はその為に連れて来たんでしょ?」


(違うけど……。言い出せないし皆挨拶し始めちゃった。確か結婚は15からだっけ、重婚はありなのか?)


「でもまだ私達告白された訳じゃないですし、こちらが勝手に思ってるだけかもしれません」


「そうなのかい?こんな可愛くて礼儀正しい娘達にここまで言わせて」


「ダウは真面目だし何か考えがあるんだよ母さん」


「アンタも彼女の1人でも連れてきなさい。末っ子が1番先に孫を見せることになりそうだね」


ダウを除き凄い盛り上がりをみせている。

今は兄リャーギンの恋バナが中心に変わってきたのでどうにかして加わろうとするもきっかけが掴めないでいた。


「でも俺適齢期過ぎてるしなあ」


「街に行かないでダウに構ってばっかりだったからでしょ」


「5連並べとか楽しいこと思いつくダウが悪い!」


水をかけられる前からぼんやりと前世の記憶はあったことを思い出すランダウ。

バーバラが五目並べ改め5連並べに興味津々にルールを聞くと、隣で聞いてたロザリンドは覚えるのを諦めた。

実際にやってみようと外へ行き地面に方眼紙のような升目を書いていく。


「で、この交点にマルとバツを書きあうんだ」


「枠内じゃないのはなんでなのよ?」


「なんでだっけかな?」

(だって囲碁が始まりだからとか言えないし)


先手の禁じ手を説明したところで必勝法があるのが信じられず、ランダウ先手のゲームが始まった。

が、やり慣れたランダウが反則を使ったら勝てるわけもなく、禁じ手の有用性をあっさりと理解できた。


「ダウすっごい!」


「それでも5回に1回は俺が勝ててたんだぜ?」


「かなり悔しいのよ〜!」


「昔は白黒サンドって遊びがあったんだけど、母さんが子供の頃に先手有利が広まって誰もしなくなったのよね」


(それって多分オセロっぽいやつかな。ボードゲーム長者か、マヨネーズ位定番だし、商業ギルドの人と仲良くなったらリャーギン兄さんを矢面にして流行らせたいな)


「これは後攻が先手の人に禁じ手を打たせるようにする戦法もあるからね」


「そうしたらどなるのかな?」


「後攻の反則させ勝ちだよ」


「うっわ、それって卑怯じゃない?」


「卑怯者でゴメンな」


「義兄さんに言ったわけじゃないんです!」


リャーギンは後攻の時ランダウにはそうやって勝ってきたのだ。

そしてドロシーはサラッと兄呼ばわりして外堀を埋めていく。

そうこうしてると父ともう一人の兄ビーグが帰ってきた。


ビーグには魔法の才能よりも女の子を引っ掛ける才能があるなとイジられ、父は昔のモテた自慢をしだして母にコッテリと絞られてた。

最近は忙しく、こんなゆっくりとする機会が無かったのでランダウは思いのほか羽を広げる事が出来た。


「しかしダウ。お前の気持ちは嬉しいが作物をこれ以上増やすのは厳しいぞ」


「土地はまだ余ってるけど人手がなー」


「なんだよビーグ、ダウがいなくて寂しいならそう言えばいいのに」


「別にそんなこと言ってないだろ!まぁ夜寝る前物足りないのは認めるけど……」


突如としてデレる兄ビーグに改めて来てよかったと思い、何かいい方法がないかと思案する。

結局話し合うもいい案が出てこず気が付いたら夕方だった。

泊まっていくには狭すぎるし使い捨てテントを買うだけのゲーム内資金はない。


「1人なら一緒のベッドって言えるけど3人だもんなぁ」


「気が早いよビーグ兄さん……」


「認めたなダウ?聞いたんだぞ告白もしてないって」


ハメられた!そう気が付いた時は遅かった。今のはそう言う意味ではない。

けど周りから見たらどう捉えられるだろうか?

そんなの顔を真っ赤にした3人を見れば明らかだ。

結局は兄リャーギンの部屋で兄弟3人で、ビーグの部屋で女子さんにが寝ることとなった。


「それにしても流行りそうな物を予測して予め作るのってズルいことしてるみたいだなぁ」


(インサイダー取引とは違うか、ゴリ押しの雷通案件でもないし)


「やってみりゃ分かるだろ兄さん。と言っても育てるのに必要な知識を農業ギルドから買うところからだけどさ」


(ちょっと待てよ。ゲームを開いてメニューモードから単語帳っと)

「大丈夫。ちゃんと教えてきてもらってるからさ」


リャーギンの部屋にはベッドは1つしかなく、兄弟3人川の字になってランダウが寝るまで会話は続いた。

寝付きのいい男兄弟3人とは裏腹に、ミスリルの誓いは盛り上がりをみせていた。


「ロザリーっでば本気なのよ?」


「ううん、嫌いじゃないけど恋愛感情はないかな。ただ皆と一緒にって感じかな」


「それよりバーバラこそ本当にダウのことすきなの?バーバラみたいなスタイル良い子がライバルだったら私勝てないよぉ」


「頭いいのにお人好しで抜けてて、それでいて私の身体をやらしい目で見ないとかいい物件なのよ〜。ドロシーから奪おうとか考えてないから大丈夫なのよ」


「僕らのことチラチラと恥ずかしそうに見てるけど、1番はドロシーのこと照れながら目線いってるから安心していいかな♪」


「えっ?!ホント?」


「ミスリルの誓い索敵担当だからね!視線とかには敏感かな♪」


こうして友達同士で同じ人を好きになるという日本では惨劇不可避な状況は、雑談で和やかなものへと変わっていく。

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