身の上話
モンスターを倒したり、薬草とニリンソウの他にヨモギ等ランダウが見て分かる範囲での植物を採取し終え、
使い捨てテントの性能を試す為に1度換金してから街の外へとでて来たランダウとミスリルの誓い。
正直今までの苦労は何だったのかと思う程稼げてる。
その額5万8千ガロ。4人で割っても十分黒字なのでホクホクだ。
「ちょっと1つのテントに男女で入るのは……」
「私は構わないわ!」
「男の方からそれを言うのは僕的に信用出来るかな」
「夜間の見張り必要なのよ〜」
どうにかパーティーを組みたいと想いは一致しているけど断られたり断ったりした手前、きっかけを掴む建前は必要。
まずはとランダウが作っている最近お馴染みのニリンソウとスモールウルフの鍋について話してる。
香草はもう少し種類を入れれないか、肉はどの部位が美味しいか。
それでわかったのはロザリンドとバーバラの料理の腕前は良くはないこと。
更に仲良くなる為にも自分達の踏み込んだ事を話し始めた。
「それで私の借金を2人が協力してくれてるのよ」
「僕的にはバーバラがいてくれたから引っ掛からなかったかな。特に僕は弓を使うから人より消費が激しくて」
「ロザリーの弓には助かってるから言いっこなしよ。それよりも最悪なのは3人で魔法袋とか買って、しかも持ち主固定まで全員でやってたら借金3倍よ!」
ランダウはそこまで聞いて、何故借金のない自分が嫌われてたか理解した。
つまり何も知らない子供を使い、借金漬にして各ギルドの小間使いを格安でやらせつつ、返せる位有能な奴は引き取って育てる。
芽が出ない奴はずっと下働きでその内奴隷行き。
そんなプレッシャーがない奴は仲間外れにもなるだろう。
面白くはないがそれを変えるほどの力は自分には無い。
それよりも唯一友好的な彼女達をどうやってパーティーを組もうかにかかってる。
(そうしたら総合ギルドは若手の育成と各ギルドの仲介がメインってことか。それだけで運営出来る?っと今度はこっちが話す番か)
「それじゃあ農場ギルドの受付は優しかったの?」
「僕的には魔法袋を買っていない方が気になるかな」
「でもその布袋には入らない物を出してたのよ。どゆことなのよ?」
「それは追々話してくよ。それよりも今日君達と一緒にいて凄く稼げたんだ」
自分はヒデ達に邪魔されてる事や、1人だと限界はあること、そして彼女達と美少女パーティーと組めば嫉妬でどうなるか分からないことを話した。
その美少女という単語で3人が喜ぶも気が付かないランダウ。
そんなことを話しつつ頭の中で着地点を探してたらいい話題が振られてきた。
「ヒデってアレだよね?ギルドでランダウ君に絡んでた、一期のドロシーに告った奴かな?」
※一期とは10歳から独立するようになった最初の年の人達のこと
「勿論断ったわよ!ガツガツしてて趣味じゃないから」
「アイツ、下に見てる奴には優しいのよ」
(あとドロシーに告る前に私にも告ったのはナイショなのよ〜)
これだ!!ヒデには悪者になってもらおう。
国とギルドの政策で僕達がこんな目にあってるのは仕方がないとはいえ、最年長者のヒデ達はバーバラのように周りの人達に借金を少なくする為の行動をしなかった。
つまり自分と同類を作ろうとしてたんじゃないかと熱弁。
「だから俺は無制限って訳にはいかないけど、矢だったりを提供する代わりに一緒に行動して欲しい」
「パーティーと何が違うのよ?」
「俺だって男だしすぐに信用しちゃいけないけど、だからってサヨナラは寂しい」
「僕的には頭がこんがらがってきたかな?」
「簡単さ、友達になろうよ♪」
「つつつつ、つまりお友達から始めましょうってこと///」
倉庫内の溢れかえった丸太と石から矢を作れる筈だと一応確認。
丸太1つを木材10個に変えて、木材1つと石1つを使って高品質なら5本、中品質の2レベルなら30本、無印のレベル5なら100本。
消費アイテムだしこんな物かと思う。
無印未満は命を預かる物だから無しとして高品質は数として心元ないし、威力が高すぎとかになりそうでなんだか怖い。ということで中品質で取り敢えず作りだした。
「ちょっと原始的だけど30本。毎日必要なら3倍までなら出せるよ」
「ちょっと僕的にこれが原始的とか信じられないかな!」
「どゆことなのよ?」
「確かに木に石の鏃はパッと見原始的に見えるかもしれないかな。けど使ってみないとあれだけど僕的には今日使ってた矢より魅力的かな!!」
「ロザリンドばっかりズルい〜!」
「装備全部頼ったら友達じゃなくなるなのよ〜」
「魔法袋も装備も追々ね。誰にも言わないって約束出来る?」
「貴方と私だけの秘密ってことね!もちろんよ♪」
ゲームの力はいつか出来なくなるかもと思っても、利用出来るうちはしとこうと、とりあえず嵩張らずに役に立つ物を取引に友好関係を結ぶ。
これなら纏めて変換しても魔空庫に入れておける。
時間もすっかり遅いのでまずは自分から見張りを買って出た。
彼女達の装備を作りたいし、魔力特化の装備をして魔空虚の拡張出来るかも試している。
ここで指輪とか送ってどうこうなんて鈍感通り越したアホの所業はしないぞと1人ブツブツ言っているのは不審者だろう。
ロウフリアの物がゲーム内に10:1で送れるかスモールウルフの肉を試して、失敗したところでゲームを楽しみ始めた。
『君といるのが凄くダルい……。だってこんなに胸がドキドキするんだもん』
(くっはぁーー!!俺にはやっぱりアリーだけだよ!)
『店の規模が一定以上になったので従業員を雇えます。人件費がかかり利益が少なくなる代わりに他の作業も営業出来、その時間は別行動出来るようになりやがりました』
「なりやがりました?」
『スキルレベルの合計が一定を越したので創作ショートカットが出来ます。プログラムを組むことで在庫から決まったアイテムを自動で作ることが出来りようになりました。こちらを使うと本来得られるスキル経験値95%減です』
(よっしゃ!開放条件と可能になったオプションの関連は不明だけど、これで朝一農業して、素材を集めてモンスター倒すだけで色々と捗るな。店の利益が人を雇って1.5万ガロ以上だとテント生活も夢じゃない♪)
こうしてスムーズに出来るようになったゲームにのめり込み、ロウフリア初の徹夜ゲームをした。
あくまでも自分がゲームしてただけなのに、女の子をぐっすりと寝かして見張りを請け負ったと見られ、好感度が鰻登りになってるのに気が付いていない。
「それじゃあ昨日言ってた装備渡して1日俺は寝るね。分前は何も今日はしてないからいらないよ」
「欲しいとは言ったけどこんな良い武器貰って……」
「これ使ったらきっと手放せなくなるのよ〜♪」
「まさか矢だけじゃなく、それぞれにグローブと解体用ナイフまでくれるなんてホントにお人好しかな」
(((分前は絶対私達と彼で半分よ)かな)なのよ〜)
「それじゃあ気をつけて」
3人を見送り宿屋の部屋に入るとゲームをやり始めるランダウ。
廃人という訳ではなくこれには理由がある。
1つ目は今寝ると昼夜逆転になりそうだから後で寝ようとしてること。
2つ目はもしもの時に備えて便利品を作ったり買ったりしておくため。
3つ目は昨日試した魔空虚が拡張出来てるかの確認だ。
それらの作業が終わると自然に意識を手放したランダウ。
目が覚めると日が沈む頃だったので外へと赴き3人が来るのを待っている。
単眼鏡を取り出しドロシーを探して見るとあっさりと発見。
服を捲りお腹を出しながら額の汗を拭ってる現場を見てしまった。
(わざとじゃないぞ!覗きでも浮気でもないからな!)
それから1時間もしないうちに笑顔で帰って来たので結果は上々だと分かった。
性能が良くなった武器の数々に手入れが簡単なナイフ。
それだけで狩りの効率が上がり、より索敵に力を入れれたという。
「それじゃあ換金を済ませたら……。宿屋は良くないか。ちょっと外れで話をしたいんだ。昨日の疑問にも答えようと思う」
周りに人がいないことを確認して3人の借金がいくらかを聞くと残り約30万と、プラス払い切るまでにかかる利息。
自分がそのうち9級に上がれそうなのと、借金を返せばすぐに7級に上がれるミスリルの誓い。
頭の中でアレコレ計算してお願いすることを纏めるランダウ。
「実は俺にはちょっと人には言えない事がある。それは決して悪いことじゃないんだけど上手く説明出来ないんだ」
装備品や食べ物はちょっと訳有で用意出来るけど、自分の実力以上の物を持つのは成長を阻害すること。
けどそれはいつ出来なくなるか分からないから当てにしないで欲しいことをまず始めに言った。
そしてそんな自分だけど今共同戦線を張っているのを借金を返しても変わらずに続けて欲しいことをお願いする。
何故なら3人がいなくなったら稼ぐのがまた大変になるからだ。
バーバラがちょっと相談するのよ〜と言ってきたのでソワソワしながら待っている。
「なんで相談するのよ!即答でこっちがお願いでしょ!」
「僕的にもそう思うかな」
「あの子自己評価低いのよ〜。秘密にって言ってるから武器の凄さは自覚してても、彼自身の知識とかは甘くみてるのよ」
「甘く見てる知識ってなにかな?」
「最初に親の助けがあったにしても、魔法袋無しで最年長チームに邪魔されながら1人でやれてるのよ」
「つまり?」
「武器の有る無し関係なくあの子を私達で囲ってしまうのよ」
「つまり独り立ちの手助けじゃなくて、将来を見越した仲間になりましょってことかな?」
「正解なのよ」
一致団結した3人の出した答えは共同戦線のつもりはなく、もうミスリルの誓いのメンバーだと伝えた。
するとランダウは喜び何度もお礼を言って感謝を伝える。
「俺はさ、自分だけが知ってる情報って好きな人とか仲間内だけで共有したいタイプなんだ」
好きな人に反応するドロシーとバーバラ。ロザリンドは異性の友人程度にしか今は思っていない。