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アンメットライフ  作者: ¥$終
〜アンメットフェスティバル〜お祭り騒ぎ編
36/54

街巡り

ラトアイルングの町を出て3つ目の所で初めての村。町と村の区分はギルドの有無だ。

○○ギルド△△所で魔道具が出入口に無ければ町。

○○ギルド△△出張所となっていれば村。

出張所は複数のギルドを掛け持ち、職員が正規の人は少なく、マニュアル対応出来れば働かせて貰えるそこの住人だ。

勿論その非正規が無視できない違反をしたら正規も罰せられる。


そうした町を1つの所に一泊ないし二泊したらラムドへ帰り違う場所へを繰り返す。 

思ったより困ってる所は無く、治安も想定よりずっと上だった。

なので冒険者というより、モンスターを倒せる料理人といった活動しかしていない。


町巡りしながら試した結果、モンスターの死体は肥料となり得た。

ただ臭いの問題でゴブリンではほぼほぼ不可能との結論で、コボルトやグリーンウルフの死体を活用することにした。

ではゴブリンの死体は使い道がないかと言うとそれは違った。


リサイクルボックスへと入れたら鞣し終わった皮革へと変貌した。

ゴブリンレザー。臭いもなく子供大の皮革は店へと卸せそうと3人に話す。


「ダウは裁縫道具で凄いのないかな?」


脳内を検索するまでもなく、既に3人にプレゼントしている主人公やNPCの見た目を変えるスキン装備。

これらは店に売られているだけでなく、レシピを入手してアイテムを揃えればミシンを使って自作することも可能だ。

しかも細工レベルが上がると見た目のカスタマイズも出来るのでランダウは全シリーズ好きな女性キャラクターを趣味丸出しの服装に変えていた。


「あるけどロザリー裁縫出来るの?」


「お父さんが仕立て屋で働いてたし、ダウが来る前は服のほつれとか直してたのは僕かな!」


「んじゃ、今日宿屋で渡すよ。足踏みミシンなら煩くないしやり方教えたら自分の部屋に戻るからさ」


ロザリンドは少し焦っていた。冒険者として活動する上で弓矢だけだとアピールポイントが少ないのではないかと。

ドロシーには料理、バーバラには頭の良さと魔道具の夢がある。

ランダウが協力するなら魔道具はきっと凄いものを作れるに違いないと。


いくら稼いでも隠居して悠々自適に暮らす元冒険者は多くない。

むしろその経験を活かしたりして、趣味やら何かを始めるのが普通である。

ミスリルの誓いで冒険者を抜いたら何も残らなくなった時にダウに見捨てられたくない。その一心で普段使わない頭を使って出した答えが裁縫である。


「あのねダウ、裁縫って元々煩くないから」


「突っ込むのもいいけどやっぱりなのよ。あの村長ドロシーにぶん殴ってもらうのよ〜」


「嘘を付いてたのは許せないけどそれは死んじゃうかな」


今現在5日滞在しているネスカタットの村長からギルドを通して依頼で、スモールウルフの亜種2体が最近村を荒らすから討伐して欲しいとの依頼があった。


冒険者ギルドでは荒らされた痕跡から、スモールウルフの亜種よりも上位のブルーウルフとかではないかとの推察もあった。

が、村長が早く退治してくれ、偵察してる間にまた被害に遭ったら保障してくれるのかと食い下がったので、討伐してその2体の現物を持ってきたらそれに合わせた報酬を払うことで折り合いがつく。


「ブルーウルフとグリーンウルフの番かな」


「番とかまで分かるの?」


「ほら、2匹の距離が僕とダウみたいかな!」


「ちょっと信用性が落ちたのよ〜」


「そんなことないかな!屋台に最近来るあの顔隠した人は女性だし、ダウのことずっと見てたりしてるの僕は気づいてたかな!」


「大工さんにビーって呼ばれてた人?それなら当然よ。熱い眼差し送ってたから警戒してたよ」


「むしろダウが気づいてなさそうなのよ〜」


「あの人僕の聞き間違いじゃなかったら、ダウのこと見てランダウって言ってたから要注意かな!」


タエコ含めて4人が警戒心を1段上げた所で標的に意識を向けた。

このウルフの名前は体毛の色ではなく瞳のことを指している。

スライムだと体液の色で間違いない。

下から青、緑、紫、赤、金となっており、モンスターによって角だったり爪だったりと様々だが身体の一部にその色が出る。

金より上もいるが、ダンジョン以外ではフィーネには存在は確認されていない。


草陰に隠れながらランダウは風魔法を使い匂いでバレないようにしている。


「弓矢で威嚇してから魔法で狙撃、逃げるようなら単眼鏡で追いかけよう」


「襲ってきたら?」


「俺が引きつけるからドロシーが止めをさして」


「ねね、威嚇じゃなくてもいいのかな?」


「倒せるに越したことはないのよ〜」


言うが早いかロザリンドは2本の矢を同時に構えて射る。

ブルーウルフは矢が腹部に刺さり数歩歩いて倒れた。

グリーンウルフは身を翻して掠っただけである。


飛び道具を危惧したグリーンウルフはジグザグに動き、狙われないようにこちらへと向かってくる。

走ると言うより一歩一歩跳ねている感じだ。

魔法での狙撃を諦めて土壁を出して激突させる作戦へと切り替えたが壁が盛り上がりきる前にジャンプして飛び越えられた。


着地点を狙って駆け出したランダウに合わせてロザリンドはもう1度弓を絞った。

ラムドで買った剣で前足を片方斬り落とすつもりが骨に止められる。

思い通りにはいかなかったが深手を負わせることに成功したが、敵わぬと悟ったグリーンウルフは最後の抵抗で首元へと飛び込んでくる。

その牙が届くより前に矢が腹部に刺さるのと槍の穂先で首が斬り落とされたのは同時であった。


大丈夫?ドロシーがそう聞こうと首を動かすとそこにはランダウはいなかった。

下に目をやると深さ30cmの穴が出来ておりそこへ落ちていた。

バーバラの方を向くと氷の塊を飛ばしてる途中だったのを無理矢理止めていた。


「楽勝だったかな♪」


「けど弓を射る前に連携の合図しようね。後、最後は3人共ありがとう」


「危ないって思ったら動いてた」


「頭に血が昇ってドロシーに当てるとこだったのよ……」


「俺は相手が固かったのもあるけど刃筋が立ってなかったかなぁ」


「グッてとこをがっとやれば違ったかな!」


「あー、ちょっと速すぎて相手の脚も動いちゃったかぁ」


反省点を洗いネスカタットへと戻ると複数人の30前後位の男女が待ち構えていた。

どうやら村長はこの村に在中する冒険者の報告でスモールウルフ亜種よりも上位のモンスターがいることを知っていたようだ。

ここにいる冒険者達ではリスクが高く、街の冒険者を雇うのは金銭面で問題がある。

そこへひょっこり現れたのがミスリルの誓い。


本当はギルドに伝えたかったがスネに傷を持つ冒険者。

村長に追い出されたら行く場所が無くなるのだ。

今まで行った町や村は治安が良かった訳ではなく、よそ者のミスリルの誓いを警戒していただけなのだった。

過去に国がおとり捜査をして、旅人の身包みを剥がそうとしたら渉外奴隷といったこともある。


「ワイはな、半分冤罪とは言え確かにもうこのネスカタットしか行く場所がない。けどもう見捨てたりはしない!」


叫んだ冒険者の前に来たのは明らかに上位の冒険者。

身構えるが頭を下げられ面を食らう。


「僕達はチーム金銀財宝。君達のおかげで3年越しに仇が討てた」


リーダーらしき人のありがとうに合わせて他のメンバーも頭を下げる。

当然なんのことか分からないので聞いてみる。


どうやらこのワイ喋りの冒険者の名前はディコス。

昔、斥候ついでに用を済ませて戻って来たらパーティメンバーが盗賊に襲われている所を目撃した。

既にアタッカーは倒れ、残った女性は馬車に積められていた。


被害を訴えるも、荷物も無く馬も殺され最寄りの街へと行くのも命懸け。

時が経ち素性も分からない相手を調べることも出来ず、彼に付いたあだ名は見殺し斥候。

どうせ自分のミスでモンスターに襲われ、女はオークかなにかに連れ去られたのを自己防衛として言ってるだけだろうと。

嘘を見抜ける魔道具を使えば疑いは晴れるが、当時は手持ちのお金も無く利用出来なかったし、彼は敵の接近に気付かず、仲間のピンチに命を捨てなかった事は確かで、黙ってそのあだ名を受け入れた。


そんな人とチームを組みたがる人は自殺志願者か悪意を持った人だけである。

強いモンスターを倒すことも出来ず、斥候が取り柄の彼はこういった訳ありが住み、人が往来しにくい場所へ赴き弱いモンスターしか出てこないようにすること位だ。


「僕達も彼も他国出身でね。彼を探していた」


チーム金銀財宝は冒険者チームと商売チームに分かれていて、将来は大きな冒険者として名を馳せたり、物流を左右する程の店を持つつもりはない。


必死にコツコツとモンスターを倒して依頼をこなし、ダンジョンに潜って珍しい品を手に入れる。

それを売り払ったのを元手にして商売しつつ貯金して、老後は家と土地を持ってスローライフをしよう夢があった。


「そんな僕等の仲間は行方不明。護衛に付いていた仲間ですら痕跡がなかった」


「そんな時ディコスさんの噂を聞いて、もしかしたら同じやつか、その仲間にやられたんじゃないかって思ったの」


「ラムド周辺に来たって噂までどうにか掴んだんだけど見つけれなくてな」


それは当然だろう。街にいれなくなった者を探す冒険者からは余計に身を隠すに決まっている。

ディコスも斥候である。自分を探している人間には敏感だ。


「そこで冒険者ギルドで絡まれている君達を付けている奴らがいたから僕等も付けていた」


「ミスリルの誓いが倒した彼奴等は僕達の仲間を殺した奴の一味だと分かったの」


「死にかけたのを街まで引っ張ってごうも、取り調べした甲斐があるってもんだ。お礼をしたくても戻って来ないわ、来たと思ったら役人とお喋り、ついにはフラフラ出歩いてる」


『ダーリン、今この戦士は笑顔で拷問って言いかけたでやがります。死にかけてるの分かってて更に追い打ちとかエゲツねーです』


ディコスは自分の居場所と子供を見殺しにするのを天秤にかけラムドまで走っていき助けを求めた。

話しをマトモに聞く者はなく、罠だと決めつけ本当なら依頼を出せと言われるがその日暮らしのお金しかない。

偶然いた金銀財宝は探していたディコスと、探しているミスリルの誓いを同時に見つけ助けに来てくれたのだ。


「ここの村長がやったことは立派な犯罪行為だ。ディコスの証言も必要だから街まで来てくれないか?」


「ああ、それにしてもワイの事を必要としてる人を避けてたなんて……」


「ディコスさん!ありがとうございました!」


「いや、ワイがいなくても問題なく倒せてただろ」


「明らかに嘘を付いてた村長を殴ってたかもしれません、バーバラが」


「気持ちは分かるし、僕達も同じ経験あるけどそれはダメだからね?上を目指すなら尚更」


先輩からのアドバイスを受け、近隣の町や村を周ったミスリルの誓いは1度ラムドでゆっくり休むことにした。

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