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アンメットライフ  作者: ¥$終
〜アンメットフェスティバル〜お祭り騒ぎ編
35/54

取り越し苦労?

実家を後にしたミスリルの誓いが向かうのは総合ギルドである。7級試験をうけるのだ。

と言っても実力や依頼達成から見て問題ないと判断され、筆記テストと講習だけで済む。


そのテストも先に7級に上がった彼女達から聞いてるので問題はない。

忘れてる事があったらタエコに聞いても良いかと思っていたが拒否された。


『私はダァー、マスダァーを甘やかさねーです。彼氏を駄目男にしたくねーですので。1問間違える毎に添い寝1日しねーですので心して取り掛かってください』


(リスクが重いよ!じゃあ満点取ったらご褒美!)


『妥当でやがりますね。マスターのコレクションの1つである本を参考に耳かきしてあげやがります。物を使ったら感覚ねーでしょうから指で。あっ、その先は厳禁でやがりますからね』


(うーん、そのままタイツがいいか生足か迷う)


『何しれっと膝枕前提でやがりますか変態マスダー』


「ねね、さっきから何話してるの?」


「なんかタエコが学科で満点取ったらご褒美くれるって」


自分から言い出したのをタエコからのように言い換えるランダウ。

意図的なものではなく、満点絶対取るぞとの意気込みからくる言い間違い。


「そ、それじゃあ私も何かする!……。ハグ!そうハグしてあげるから!」


「自分のハグがご褒美になるとか中々凄い発言なのよ〜」


「えっ?凄い嬉しいよ」


この発言により3人からのハグも確約出来た。

いままでに内集中力を発揮してあっさりと満点を取ることに成功し、満面の笑みで総合ギルドを出る。


「むむ、あそこの奥にいるのはリャーギン義兄さんかな!隣にいるのはこないだと同じ女性かな!!」


「ロザリーが人の顔覚えてるとか嘘なのよ〜」


「よし、尾行しよう」


ランダウから発した言葉は予想外であり顔を見合わせるが、真剣な表情を察して首肯する。

町外れの方に向かっているのを見て不安が募っていくランダウ。

着いた先は寂れた教会であった。


(あー、教会か。宗教観とかタエコ知ってる?)


『幾つもありやがりますよ。西武諸国は宗教の自由が認められていやがりますし、この国フィーネでは神様?何かしてくれんの?がメインでやがります』


(おぅ……、現実的……)


「レーヴィーお姉ちゃんとリャーギン兄さん帰ってきたぁ!」「リャーギンおかえりぃ」「あっ、ズルいぞ。リャーギン兄ちゃんと遊ぶの僕だ」「おままごとするぅ」

「それもう飽きたよー」


「相変わらずモテモテですね♪」


「皆良い子ですから、それに昔から年の離れた弟と遊ぶの好きで」


「あっ!スパイだぁ!」


5歳位の少年に見つかるミスリルの誓い。人の尾行は初めてとはいえ冒険者が子供に見つかるのはいかがなものだろう。

振り返る女性とリャーギン。目を見開いて硬直したのは1人だけだ。


「だ、ダウ。何してるんだ!」


「あら、貴方がよく言ってたランダウ君ね。はじめまして、レーヴィーと言います。リャーギンさんとは……、その、お友達です」


お友達の言葉に悲しげな表情を見せるリャーギン。

ミスリルの誓いもそれぞ自己紹介を済ませ、"偶然"ここに来たら見つけたと言い訳する。

話の途中に少女がリャーギンによじ登りお帰りのチューと言って頬にキスをした。


「ねぇ、あの優しそうなレーヴィーさんだけど今怖かったんだけど……」ヒソヒソ

「額と首に凄い筋が浮き上がってたね」ヒソヒソ

「僕ちょっと寒気がするかな」ヒソヒソ

「まだお友達なのよ〜」ヒソヒソ


「で、兄さんどうしたの?」


「どうしたのはこっちだよダウ。いや、最近ちょっと知り合ってさ」


「私が困ってる時に助けてもらって、それからリャーギンさんがこの孤児院の手伝いをしてくれてるの」


「おー、兄さんやるじゃん!」


国からの補助金だけでは暮らしてはいけず、リャーギンが売るのにも保存にも困った野菜を格安で売り、(タダは良くないとレーヴィーが断った)余ってる裏庭を耕して種を撒いて野菜を育てるのをしてあげている。


子供の懐きようや、経営的に詐欺グループとは違うようだと胸を撫で下ろす。

話を聞く限りここでも野菜の育ちは早いようだ。

これは種のおかげか、リャーギンのスキルボーナスなのかは分からない。


「それじゃあ兄さん、俺達は宿屋に戻るね。ケンタウロスに殺されたくないしー」


人の恋路を邪魔する人を揶揄する慣用句であるが、ほぼ日本のものと変わらない。


「こら!レーヴィーさんに失礼だろ!」


「べっつにぃ。レーヴィーさんとは1言も言ってないじゃん?兄さんその女の子にモテてるみたいだし?」


兄の幸せと安心感からうざ絡みをし始めるランダウ。


「ランダウ君ったら!こんなおばさんなんてリャーギンさんにはもっと良い人が」

「3つしか変わらないですし、その、レーヴィーさんより素敵な人見たことないですよ」

「リャーギンとは私が結婚するのぉ!」


これ以上は本当に邪魔だなと駆け足で宿屋に向かうミスリルの誓い。

途中ビーグにも会い、話を聞くと宿屋の部屋で1日いっぱい話をして手作り料理を食べさせてもらったと聞く。

幸せそうだが、昨日まで手を繋げてたのに部屋だと恥ずかしがってたらしい。


「義兄さん、その気はなくても密室だとがっついてるように見えますよ?」


「あっ!そうか。そうだよな……。ありがとう♪気をつける」


(ビーグ兄さんの方はまだワンアウトツーストライクってとこかな……)


『しまっていこうを彼女に言わせるとかセクハラでやがります』


(いや、そんなつもりないよ!)


宿屋に到着し、部屋を取ってご褒美のハグをそれぞれ貰ってから部屋に入る。

バーバラが料金的に2人2部屋が安上がりなのを提案するがランダウとドロシーによって却下される。


(流石に我慢出来る自信ないしロザリーとはヤバい気がする。っと、まずは耳かきだ!)


早速ゲームを開始してベットに乗って寝ますか?の表示を出す。

これでいいえを選べば日にちは進むことはない。流石に丸一日無駄にするのは勿体ないからだ。

口では暴言を吐きながらも正座してるタエコの膝に頭を乗せるランダウの耳を触るも違和感を覚えた。


『ダァー、マスター、何か隠してやがりませんか?』


「な、なんのこと?」


『心の中を読めば分かりやがるんですけど使いたくねーです』


「実は農場と農場内の施設に限ってだけどフルダイブ式を選べるようになった……。今現実にいるのは俺のアバターが寝てるように見えるみたいで、意識して戻るか、どっちかに強い衝撃があったら元通りだってさ。タエコに告白した辺りで神様の秘密メモとかってのが開いて……」


そう、何か太ももに当たるのだ。それがランダウの鼻息だと気付くのに時間はさほどかからなかった。

自然を装っているが手も脚に置いて少しさわさわ動かしてもいた。

ドンッ!タエコに突き飛ばされて現実に戻ったランダウは未だにゲーム内にいるタエコに話しかけようとした。


『ヤベーです。今のは本物のダーリンでやがります!とうとう触れ合えたでやがりますか!?幸福感ヤベーです!ダーリンの中に私のが直接入るとか、んほー!ふたまんねーです♪心の準備必要でやがります!ていうかまずシャワー浴びねーとダーリンに臭いとか思われたら自殺でやがります。で、でもこの指洗うとかありえねーです……。!そうでやがります、なんだか指が熱くて火傷したに違いねーですから急いで舐めねーと……。頂きやがります』


「タエコ?」


『人の身体クンカクンカして喜んでる変態マスターでやがりますね。ちょっと耳かき棒作ったりする必要あるので待ちやがってください。あと恋人は意味ねー隠し事するもんじゃねーですから』


切り替えの速さに舌を巻くが、部屋を出ようとしてるのを黙って見過ごす男ではないランダウ。

即座にゲーム内に入り捕まえそのまますることを熱望する。

後ろからしがみつかれたタエコは力なくしゃがみ込みベットまで連れられて行った。

言葉では抵抗しているがフニャフニャなので座ることもままならず腕枕の姿勢となり、タエコの頭の重みがランダウの鼓動を早める。


「ねえ、もう恋人なんだから主人であるマスター呼びは止めてほしいんたけど」


『じゃあなんて呼びやがればいいでしゅか?』


「名前でもなんでもいいよ。俺にしか聞こえないんだしバカップルみたいでもいいじゃん?」


『バカップルみてーのが好みでやがりますか?』


「そう、俺のためにお願い」


『仕方ねーダーリンでやがります』


「俺もハニーとか呼んでいい?」


せっかくだからバカップル的なことをしてみたいランダウ。


『ハニーはダメでやがります』


「なんでさ!」


(『こっちが持たねーのと、ダーリンから貰ったタエコで呼んで欲しいに決まってやがります』)


『タエコは妙子でやがりますから』


ご褒美だから寝るまでしてあげやがります。そう言って寝かしつけたが、実際は起きるまでランダウの耳や頬を起きるまで触ったりしていたタエコ。

唇を触ろうとしては止めたのは何度したか分からない。

ご褒美なのはどちらなのかわかんねーです。その呟きは誰にも聞こえることはなかった。


朝日が昇り、早速近くの町まで行くこととなる。最寄りはラトアイルングの町。

大きさはラムドの1/4程度で人口は1/8。大きな特産物はなく、近くに森があるので人が出入りしづらくモンスターが出やすくなっている。


「このグラス凄いよね、水滴付かないし持ってて冷たくない」


「でしょ?タエコ自慢の作品だよ」


「ちょっと待つのよ〜。そう言えばダウの魔空庫には金属の素材入れてないのよ〜?」


しまった。ルンシバで夜中にこっそり集めていたのがバレてしまう。

けど鉱石はマジカルファームに転送してあり、既に発掘場所から採れるし、割高になるが店からも買えるようになっている。

素直に隠れてやったことを謝り素材を渡した。


ラトアイルングに着いたらまずは町の視察である。

治安や貧富の差がどうなってるかを見てから行動を決める。

何も問題ないと判断したら次の所へ。


ラムドと比べたら治安は良くないが、生活に困るレベルではない。これと言った特産物はなく、畜産と農産も問題なさそうに見える。


バーバラ曰く、歩いて半日で大きな街へと住めるのにも関わらず、こういった犯罪履歴を調べる魔道具が無い所に住んでるのは訳ありの人が多いと聞いていたランダウは、前に襲ってきた奴らみたいなのがいると気を張っていたが特に何も無かった。


モンスターの血肉肥料作戦も、困っている様子もないのに試す訳にもいかない。

何しろ少なくとも異臭という壁があるのだから。


(肥料になるか転送鑑定でどうにかわからないかな?)


『説明文の法則性は私にもわからねーのでやるのが1番でやがります』


「ゴブリンを土に埋めたらどうなるか実際に離れた場所でやってみない?」


「確かにやらないと意味ないのよ〜」


「でもそれだけじゃないんでしょ?」


「えへへ、これから町や村で格安で料理を振る舞おうかなって」


これには先を見越した目的がある。将来的にモキンの毒はなくなるし街として復活も出来るはずだ。

だが毒で荒廃した街が復活したからといって誰が住みたがるだろうか?

それを考えたランダウはミスリルの誓いの名前を出して美味しい料理を売り印象つける。

それを複数の場所で行って、モキン復活の際にフローレンスを誘ってまた屋台とかやったら何人かは来てくれるかもしれない。

それが口コミで広がればまた数人とモキンを訪れる人が増えてくれる筈。

これなら危険もなく自分達が出来る活動だと考えた。

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