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アンメットライフ  作者: ¥$終
〜アンメットフェスティバル〜お祭り騒ぎ編
31/54

薬とネタバレ

「薬は飲んだ?毒の確認した?街から出てもうすぐで5時間経つから少しでも具合悪くなったら言ってね」


作業を終えてから何度目になるか分からない確認。いつもならとっくに寝ているのだが、全員で寝てそのまま永眠は洒落にならないので安全確認は厳し目に。


「私は大丈夫よ」


「隅々まで見たのよ」


「至って健康かな♪」


(タエコも大丈夫だよね?)


『私も遂にハーレムメンバーの仲間入りでやがりますか?マスターが死なねー限り大丈夫ですので自分優先に心配しやがってください』


(ハーレムってタエコって俺のことそういう目で見てたの……。否定出来る材料1つもないけど。それにハーレムメンバーとかそんな扱いしたら変態扱いするだろ?3人で飽き足らず美女の私まで手を出しやがりますか!みたいな?)


『けっ!先読んでんじゃねーです。農場に家建てすぎて身動きし辛くて仕方ねーです』


自身が美女と直接言われて舞い上がり、言葉遣いほど怒ってはいない。

むしろ照れ隠しで転送されまくった家について文句を言う。

その他にも古びて壊れた物や死骸等をリサイクルボックスに入れて出来た、プラスチックやクリスタルクオーツと言った素材が手に入り、それをゴミ箱と出荷箱に入れてくれたのも機嫌がいい理由だ。


「それじゃあ今日は交代で見張りしながら寝よっか。ちょっと辛いだろうけど3時間交代で」


「命には変えれないからね」


「今日乗り切れば行動の指針が出来るのよ〜」


「乗り切れなかったらお終いかな?」


一気にテンションが下がることを言うロザリンド。

皆命の危険を理解した上で強がっている。それでも笑っていられるのはランダウならどうにかしてくれる。その信頼があるからだ。


こうして恐怖を紛らわしながらの夜を超えて朝日が昇った。

特に不調を訴えることもなく、むしろレベルアップによって上った能力も馴染み、昨日より万全であった。

直接見たいという気持ちが押し勝ち、食事も取らずに塀へ登るミスリルの誓い。


「1面ディミルの実がいっぱい」


「生える所を増やすために家を消してたのよ?」


「いや、それは副産物っていうかたまたま」


「これは確かめなくても安全かな!」


「一応確かめよ。ここは大丈夫でも安全な範囲を知りたいから」


口ではそう言うが、少なくともディミルの実が成ってる所までは除去出来たという確信があった。

それは当たっていたが、現実はそんなに甘くはない。


「奥に行けば行くほど濃くなってるかな……」


「実が落ちても昨日と違って広がらないのよ……」


「まずは安全地帯を確保しよ。群生地は大丈夫だったし、あれから採れた実で薬を作って地面に撒いたり、必要なら地面を掘り起こして土ごとどうにかするしかないかも……」


街の入口側の毒草は完全に除去されているのでディミルの実を採りつつ整地していく。

ある程度の広さを確保したらゲームを開いて変換した。


「ダウ。この小屋は何?」


「俺達の新しい家だよ。折角一部とは言え綺麗に出来たんだし、わざわざ塀を乗り越える必要ないでしょ、ここなら人の目を気にする必要ないし」


そう。家を転送してクリガラや高級木材で作った補修剤を使って直し、3軒共同じグレードまでリフォームをした一軒家である。

この家ならマジカルファームでのスキルと同じことが出来る作業場や、無限とも言えるタンスが付いている。

一手間も二手間も必要なので緊急での道具の出し入れには向かないが、そうでないなら道具の管理として安全極まりない。

そして風呂やトイレなんかは現代仕様。当然システムキッチンである。


皆を家の中へと招待すると頭の中から声が。


『拠点が確保出来ました。ここをゴホムの自宅に設定しますか?』


(むー……)


『どうしたでやがりますか?念願の魔法でやがりますよ?』


(前回から思ってたんだけど、ゲームの内容じゃないのにタエコ以外の人が対応ってなんかヤダ)


『システムエラーみてーなので私にはどうしよーも出来ねーですし、そんなこと言っても私は堕ちねーでやがります』


(まぁ、そうだよね。ただのワガママだし、もしこの人も人工知能とかだったら失礼か……。まぁ、はいっと)


『『今まで行ったことのある街から行き先を1つ選べます』やがります!!』


急な2重音声に驚き、シレッと何かありやがりましたか?

そんなことを平然と言ってのけるタエコ。

何を言うか見極めて同時に被せることでランダウの要望に応えた。


『ほら、私に惚れるのは後で構わねーですから可愛い彼女が家で待ってやがりますよ』


ロウフリアどころか地球であろうとも再現不可能な、現代日本の家屋とファンタジーを融合した匠の家をまじまじと見て回る。

特に下水など、どこにも繋がっていないのはもはやファンタジー通し越してホラーに近い。

そして明らかに小屋の大きさと中の広さが釣り合っていないが、もはやそこに突っ込みを入れるほど関係は浅くなくなっている。


1つ難点があるとすれば、部屋はいっぱいある割に、赤ちゃん用のベットがある部屋以外はキングサイズのが1つしかないことだ。


『マスターは意外とトイレには不満とかねーですか?』


(ランダウとしてここで10年過ごしたし、小学生の時キャンピングカーで山へキャンプって聞いて楽しみにしてたら駐車場から山に登って着の身着のままサバイバル生活3日とかしてたんだよ。当然トイレは野ざらしでさ)


母方の叔父さんとの思い出を遠い目をしながら語るランダウ。

でも割と癖になり、その後も年に1回はしていた。


(うわっちゃあ。後でベットも変換しとかなきゃ。それとどんなのがいいか聞いてから用意しようと思ったって言わないと。あのベットを執拗に触ったり乗ったりして確認してるし、チラチラこっち見てる……)


ひとしきり家を堪能した後はこれからどうするかだ。

現状はディミルに頼り切っていたので毒との一進一退を待つしかないか。

そこでランダウは1つも試せることを思い出す。


種を握りしめて毒素が濃い場所へと向かい、3人も後に付いてきてサポートの準備をした。

大量の薬をドロシーに投げてもらいどうなるかを確認。薬が地面に触れた瞬間は毒草が枯れるが、毒そのものが薄くなった感じはない。


次にロザリンドには鏃にディミルの種を取り付けて、山なりに射ってもらい、もっと奥から育てて挟み撃ちの作戦。


そしてこれが本命であるカスタムを使い、他の毒とかどうでもいいからこの毒に対してだけの特性を持つように念じ、そして成長速度も1/4になるようにもして地面に植えた。カスタムが種に効果があるかは賭けであった。


「バーバラ!あの種に成長するように木属性の魔力ありったけ注いで!」


「わかったの、よぉ……」


バーバラが魔力を注ぐ前に成長しきるディミルの実。

どうやらカスタムはそこまで万能ではなく、がっくりと肩を落とす。

と、そこへロザリンドから報告があった。


「毒とは関係ないんだけど、モンスターとの戦いでも、今のでも矢が勝手に動いた気がするかな」


「私もなんだか魔力の消費が少なく済んでる気がするのよ〜」


「ちょっとロザリー、魔力に味がするとか話しかけてくるとかは私達の年齢だと許されないわよ」 


ドロシーが言ってるのは霊感がある、前世がわかるとかのファンタジーバージョンである。


「そんなこと言って!料理してると増えるドロシーには言われたく無いかな!」


「増えてる物は仕方ないじゃないの!妖精のせいよ」


「僕だってその夢だったら見たかな!」


「それって手のひらサイズの羽が生えた小人で、アナタは頑張ったヨォ!サービスだヨォ!とか飛びながら喋る夢なのよ?」


3人が同じ夢を見る不思議に、説明が付かない現象。

つまりは……。同時に同じ答えに行き着いた3人は同じ方向を向いた。


『マスター、どうしやがります?』


「まずは俺達の家に行こう!それからでもいいんじゃない?話せば分かる」


『それはリアル死亡フラグでやがりますよ……』


「その前に手前は私達、奥はダウとドロシーで薬投げとくのよ〜」


そうすることによって道が出来上がるのと、動物実験はするが、枯れた草花で膨らまし粉を作れないかという発想だ。

そして先程の家に行き妖精の心当たりを聞いてみる。


「えーと、これは魔空庫のあれでさ、不思議な道具とか使って、一部の動作が一定以上の上手さになるとこうなるっぽいんだよね」


『魔力の消費が減るのもスキルレベルでやがりますか?』


(ううん。魔法だけは熟練度ってシステムで、使い込むほど割合でMPが減ってって、消費MPが1になったらリセットされてから威力が上がるんだ)


『なんでそこだけ別システムでやがりますか……。ちなみにマスター。推測でやがりますが、今の説明でマスターの楽しみネタバレしやがってもいいですか?』


(うん?なんだか分かんないけど別にいーよ)


『例えばでやがりますが、ゲームから取り出した種や農具を使って、マジカルファームの根幹である農作業を毎日何年もしてる人達が、ゲーム内にもある食べ物でゲーム内の機械を使ってお酒飲んだり、チーズやマヨネーズで調理した物を食べたりなんかしてる人に心当たりとかスキルレベル開花しそうとかありやがりませんか?』


家族の顔が頭に浮かぶのと、額と背中に汗が浮かぶのはほぼ同時であった。

言われてみればであるが十分に条件は整っている。

だけど今この状態のモキンから離れるのは惜しい気が……。


(あと一週。それまでに目処が立つか、どうにもならなかったら一旦諦める。10日位ならそんな変わんないだろうし、そうしたら実家に顔出そう)


『そんな変わらないと言うか手遅れ感半端ねーです』


「それじゃバーバラの作戦通り朝は薬投げ作戦、昼は修行で夜は薬作りでいい?」


「いいかなー!」


「10日位したら一回ラムドに戻らない?マルケンさんやシュートさん達がどうしてるか気になるし」


「そうね、その方がいいかもね。ここの毒が無くなったらどう説明するの?」


「それはもう予め言い訳考えてるから!」


『マスターが1番伸びてるスキルって実は言い訳とかなんじゃねーですか?』

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