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アンメットライフ  作者: ¥$終
〜アンメットフェスティバル〜お祭り騒ぎ編
21/54

手作り

ベットに腰を掛け、まずは説明がよく分からなかったこちらの物をマジカルファームへと送る能力、転送からだ。

タエコの言われるがまま焼鳥を念じて送り、ゲームを開く。


「なんだかダウンロードコンテンツみたいだ」


『似たような物でやがります。それを私用の家屋にあるタンスへと入れやがって下さい』


「これでいい?」


すると突如ゲーム内に薄い紫色の髪をして、赤い縁の眼鏡をかけたリクルートスーツのミニスカ黒タイツなキャラが現れる。

なんとなく前世の隣のお姉さんのような格好だなと思うランダウ。流石に髪は黒であったが。

このキャラはどう考えてもタエコであろう。

タンスに近づき焼鳥を取り出したら早速食べる。


『うめーでやがります。マスターの味がします!』


「ちょっ、怖いこと言わないでよ。ていうか味覚あるんだ」


『これで豚肉から焼鳥を調理出来るようになりやがりました』


「えーと、共有ゴミ箱で転送出来るのを増やして、転送したのをゲーム内で消費したら作れるようになるの?」


『出荷箱でも構わねーです。これで転送枠は元に戻って1つ出来やがります。あとマジカルファーム内に存在しない材料の物は作れねーです』


「つまりこっちで鉄やらで車とか作れてもガソリンとか強化プラスチックが無いから無理と」


『まっ、作れるのは表示されて、そうじゃねーのはされねーですから』


「それじゃ試しにまずは色々と共有ゴミ箱に入れてみるかな」


そうして分かったのは、ゴミ箱に入れた種類が2の階乗の度に転送枠は増え、4種類捨てたら2つ。8種類捨てたら4つになった。

きっと次は16で8個だろうと当りをつけるがゴミ箱に入れるものが無くなった。

そして今の持ち物で増やしたい物を転送する。

爪楊枝と串と、魔核である。


『木材1個で爪楊枝999個、木材1個で串400個、各種金属5個と魔結晶1個で魔核を作れるようになりやがりました』


「イエス!イエス!!魔核は期待してなかったからめっちゃ嬉しい♪爪楊枝はちょっとあれだけど」


転送に使った爪楊枝にカーソルを合わせると出てくる説明文がこれだ。

【バーバラ作のツマヨージ低品質LV1:バーバラが魔法で大量生産した物。使用には問題ないが、商品としては今ひとつ】


『結構柔軟に対応しやがりますね。都合が良いというか』

「出来る事に文句言ったらバチが当たるよ!これでアレコレ作って転送してマジカルファームで量産出来れば出来ることが増える!」


『普通にゲームするのも忘れねーでくれやがりますか?』


「大丈夫だって。あとはこっちでなんか作ってゴミ箱入れて転送枠増やしたいんだけどタエコはどうする?」


『私がいるとマスターが操作してなかろうと、メニュー開いても時間が進むみてーですね、けどもしマスターが嫌じゃ無ければ自由に動いてみてーです』


「このゲームの何年目とか表示上だけだし気にしなくて良いよ。1なんてやり込みすぎて40年間新婚やってるNPCとか普通にいたし。そっちで感触あるなら農業を無理にしなくてもいいからね?」


『出来ねーと感じたら言います。取り敢えずはなんでも触りたいでやがります』


こうしてランダウは乳鉢と乳棒を取り出し、更に魔空庫から色んな物を出してはすり潰しては混ぜてゴミ箱へと入れていく。


残念なことに、そのすり潰した物は再度作り直し、転送して出荷箱に入れても作ることが出来ず、マジカルファームの世界には無いものだと諦めて魔空庫へとしまう。


その他にもリサイクルボックスも変換して、出店や屋台を作る時に出たゴミを入れてみると、実家にある機械と同じように低い音を立てているので実験の結果は上々である。


『マスター、取り敢えず店に出て人件費を安くしたらどうでやがりますか?』


「あー、確かに。ありがとうタエコ。スタミナ減ったら冷蔵庫に入れてるの好きに食べていいし、料理も作っていいからね」


『本当にいいでやがりますか?』


「スキルレベル1だとなんも出来ないっしょ?ここまで進めれたのはタエコのおかげだし、お金もアイテムも2人の共有財産かなって」


『ありがとうございやす。早速食べ物……、もう1つ我儘言っていいなら、たまにでいいのでマスターがそっちで作ったの食べてーでやがります』


「おけおけ、腕によりをかけて作るよ」


こうして串や爪楊枝を大量にマジカルファームで作りながら、100本単位で変換しつつランダウのすり潰し作業やらは続いた。

そして現時点での準備が終わろうとしてた頃……。


『……めぇ。……めぇ。……じき……やがります』


「明日早いしそろそろゲーム閉じるよ?めぇめぇ言って、もしかしてヤギとか飼いたいの?鶏と牛を1小屋ずつ揃えたらタエコの好きなの飼ってもいいよ」


『何わけわかんねーことマスター言ってやがりますか!めぇだけ聞こえてヤギを連想するとか、猫を飼いたい彼女が彼氏に猫耳着けてアピールして致す青年コミックを中学生から宝物みてーにしてるマスターならではの発想でやがります!!』


「ちょっと!なんでそんなこと知ってるんだよ!!」


『出来ればヤギじゃなくて羊でお願いやがります』


「ねえ!俺の個人情報どうなってるの?!」


昼間に行った宣伝活動が上手くいけば混む予定だから早く寝たほうが良いとタエコに諭され、腑に落ちない感じでゲームを閉じてから目を瞑る。


それから数分後に眠りについたランダウ。そして既に眠っていたミスリルの誓い3人は同じ夢を見る。

手のひらサイズの羽が生えた妖精が自分のことを褒め、頭の上で飛び回り粉を落とされる内容だ。


朝日が昇る前に起き、早速能力に関係してそうなので質問をする。

今日は準備やらで早めに行動しなければならないので最低限のことだけ。


「タエコ。夢の内容についてなんだけどさ」


『もう少し待ちやがってください。ていうかなんで知ってやがるんですか?』


「いやだって、俺の見た夢を俺が知ってるのは変じゃなくない?」


『そっちでやがりましたか。ピロリロリンとチープな音が何回もなってやがりましたからね。明らかにスキルボーナスでやがりましょう。マスターがランダウ時代に積んだ経験が、マジカルファーム内のスキルレベルとリンクしやがったんだと思います』


「前世のは入んないのか。となると料理は5までいってないな。きっと戦闘と細工と農業系か……。鍛冶錬金当りをレベル上げ出来ればなぁ」


『ゲーム内のスキルレベルを変換しやがればいいでやがります』


「それってゲーム内に影響ある?」


『今のマスターの能力なら1回するごとに、今のレベルが3下がる他に、上げれる最大レベルが5下がる程度のデメリットでやがります』


「ずぇっっったいにやらない!!」


『ゲームと違ってスキルボーナスは選べねーですが、どうなってるかは私が把握出来そーです。後で纏めて教えやがります。取り敢えずマスターが喜びそうなのは調合の、名付けてカスタムでやがりますかね』


タエコにお礼を言って、ゲームのやりこみ要素が減るようなことは避けなければと決意したところでドアがノックされた。

ゲームには無いボーナス、カスタムの説明を聞きたかったが仕方ないとため息を漏らす。

そして扉の向こうから聞こえた声の主はヤマナであった。

そして手に持っているのは爪楊枝であるが、上に小さなこけしのような物が掘られていた。


「ちょっとこれ上手くないっスか?あとマルケンさんと話したんスけど、うちで売る商品にツマヨージと串追加したいっス!」


在庫は大量にあるので即肯定したが、問題は値段だった。

日本でなら百均に腐るほど置いてある。しかも1つ買えば100本が最低ライン。

丸太は拾えばタダではあるが、木材は店で買うとなると100ガロである。


(売りたいってことは勝算あるだろうしちょっとボってもいいかな……)

「爪楊枝100本200ガロでならいいですよ。串は倍の値段で」


「こっちも商人っスから無償で寄越せとは言わないっスけど、料理組にはオークをあげてるんスからなんかもうちょい取引するっス」


「使い捨てに出来るし嵩張らない、ってことは食べ物を売る際にこれを持ってればお客さんの確保がしやすいってのは利点じゃないですか?」


「でもそれだけだとこんな小さい使い捨てにお金をって人もいると思うんスよね」


「食べ終わったら先が尖ってるし、歯の間の食べかすを取れるから衛生的!串は家庭で使っても色んな物を刺せるから見栄えや料理自体のバリエーションが増える!」


「よし買ったっス!100ずつ注文するっスよ」


やり取りの割に最小ロットに肩透かしを食らったランダウであったが、どうやらヤマナは100セットずつを希望で言っている。

と、そこへ賑やかな声が。


「あっ、ヤマナさんの持ってるツマヨージ可愛い♪」


「これ自作したとしたら器用なのよ〜」


「へへん。こういう細かい気づかいをすると女の子に喜ばれるっスからね〜。出来る男ってことっスよ」


「おー、大人な感じが凄いかな!」


「"夜のお店の"女の子にだろ?ヤマナ」


にこやかな感じとは裏腹に、無慈悲とも言える言葉を発するマルケン。

言われた本人は気にせずに、様子見は終わったんスか?と、話を切り替える。

ミスリルの誓いはジト目である。


「あっ、ヤマナさん。失礼ですけど私になるべく近づかないで下さいね」


「ドロシーは相変わらず潔癖なのよ〜」


「ちなみにダウがそういうお店に行ったらどうするのかな?」


「「ちょん切る!」のよ〜」


玉がヒュンっとなるが、行かなければいいだけだと自分に言い聞かす。


「ははっ、大丈夫。ランダウ君、僕も2人の奥さんいるけど上手くいってるし、そういうお店を利用しようと思ったこともないからね」


今回のメンバーで唯一の既婚者であったマルケン。

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