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アンメットライフ  作者: ¥$終
〜アンメットマネー〜借金返済編
2/54

ハマる

(1は祖父の遺産で、2は記憶喪失の旅人が村長に与えられた土地で農業を始める、3は仕事に疲れて田舎でスローライフ。4は農業メインじゃないとか大丈夫かな?)


マジカルファーム4のストーリーも至極簡単である。

夢であった店を開くために店舗兼自宅を借金をして手に入れた主人公。

借金を返すために色んな物を売りながら裏庭で農業をしつつ、売るためのアイテムを手に入れる為ダンジョンに潜ったり、材料を手に入れて料理や鍛冶もする。

一部の材料やアイテムはスキルを使って1つ上の素材にランクアップさせることも出来る。


レベルは主人公やスキルに限らず、殆どのアイテムにもある。

種や野菜、装備品や食べ物まであるのだ。

(恒例とはいえ腐ったキャベツLV10とか美味しいのか不味いのかって話なんだよな。体力減るのが大きくなるし不味いんだろうけど……)


数少ないレベルのないアイテムは基本的に農具ばかりである。

それらは他のRPGでいうと、初期の棒から銅で出来た剣へ、そして鋼の剣へとグレードアップさせるような感じで高級な農具や調理や鍛治道具へと変貌させる。

違いがあるとすれば店売りではなく、自分で作らなければいけないということであろう。


(小爆弾5個と調合スキルで中爆弾1個だったり、ボロのクワ5個と鍛治と細工スキルで木のクワ1個とかゲームに突っ込んでも仕方ないけど、何故にって仕様だよな。好きだけど)


種は全てばら撒き型で統一していて、悪天候の雷や、カラスに食い荒らされない限り発芽率100%なので初心者でも取っつきやすいという売り文句。

ゲームの単語を説明するメニューモードでは、実際に野菜を育てる方法が載ってるなど、力の入れ方が明後日を向いてるのもある。


そんな中で街の人や、ダンジョンでのライバル達と友情や恋愛を育み、家畜を育てたりモンスターをペットにして冒険に連れてったり、3から備わった友達システムで小屋を建てたり、住んでる家をリフォームも出来る。

その為にはスキルを上げなきゃいけないけど、歩くだけでも何か行動する度にスタミナや体力が消費される。

スキルレベルを上げると成功率や品質に補正がかかる他、スタミナが増えたり、消費が減ったりするので満遍なく上げる方が効率がいいのがシリーズ恒例である。


(最初は野菜や花を育てながら売ったお金で食べ物を買ってスタミナを回復するのが定石っと。序盤で出来れば釣りがしたいなぁ。そらと果物が落ちてたらそれを食べつつ残ったのも売るのが定石……。おっ、前作で削られていたメモシステム復活してる)


メモシステムとはゲームの出来事を書き記して忘れないようにするシステムだが、昨今のナビシステムやメニュー画面の進化によって3では削除されていた。


ランダウはゲームは1日2時間と決めた。やり過ぎると仕事に差し支えるし、子供の身体に寝不足は身体に良くない。

初日にそう決めたとは言え、既に2日目の今日は3時間もしている。

ゲーム内の時間の他に現実の時間も表示されているので過ぎているのは自覚している。


理由はメインヒロインの1人アリーである。

気怠気な話し方をする茶色のセミロングにウェーブでつるペタな少女とのイベントが始まり辞め時が分からなくなっている。

マジカルファームでは共通してNPCと結婚も出来て、昨今の世論よろしく独身であれば同性とも結婚出来る仕様になった。

オンライン機能が付いた3では他プレイヤーとも結婚出来るが、関浩二はもっぱらソロ専門だった。


ランダウは店の方針を青果と日用雑貨系に決めて経営をしていた。

そこに面倒くさがりのアリーがまとめて買い物出来ると言うことで来店し、面倒を見ているうちに仲良くなったのだ。

店と農場を後回しにして。


近くに年の近い女の子がいない生活をしていたせいで色々と飢えているのだ。

今は買い物が終わり歩くのがダルいと言い始めた彼女がおんぶを要求してきた。


(あとちょっと……。このイベントが終われば。おっ、アリーと少し仲良くなれた)


『これならダルくない』

「うひやぁあああ!」


横向きに寝ながらゲームをやっていたら急に囁かれた。

アリーの声で吐息が耳にかかり温かさまでも感じる。

むしろ腕を首に回された感触まで残ってるくらいだ。


「どうしたダウ!?」


「ごめん。変な夢見てた」


「驚かせんなよったく。俺はまた寝るぞ。明日は魔力測定だ……、いい結果でると良いな」


「ありがと」


「くー、くー」


あからさまなたぬき寝入りをする兄にもう一度お礼を言ってゲームを再開する。

イベント以外はボイスが付いていなかったのに、アリーは仲良くなって以降はフルボイスとなった。

意味もなく話しかけては、ダルいと言って出るため息が自分に当たるのを楽しんでいる。


「ダウ!起きろって。いつまで寝てんだ?」


「あっ、ビーグ兄さんおはよう」


「ったく。誕生日に寝坊するとか。ほら母さんと父さんはもう用意してるぞ」


昨日の優しい言葉は夢だったのかと思うくらい呆れられた感じの兄を見て少し笑う。

すると更に頭大丈夫か?と追い打ちで言われた。


(関浩二の記憶を思い出してから2日間子供の振りをしてるみたいだったけど、俺はランダウだしこれでいいのかな)


ランダウは以前まで口うるさい兄が苦手と感じていたのが、大学生の記憶を取り戻し、細かいことを見て注意してくれるのに気が付き、前よりも少し好きになっていた。


用意を済ませて兄2人に見送られながら両親と農業ギルドへと向かう。

農家は臭いや土地の問題で、街の中心部から少し離れた所に住んでいて徒歩で60分少々。

荷物を運ぶ訳でも無いので馬車や荷台は使わずに徒歩だ。


「そういえばアナタ。何年か前に魔力測定の変更点みたいなお触れが来てなかったかしら?」


「あー、あった気がするが覚えてないな。あの頃は色々とあったから」


「大事なことだったらギルドで説明してくれるよきっと」


それもそっかと父ドミトリに髪をぐしゃぐしゃされ、フェイからはしっかりしてるわねと褒められた。

ゴツゴツとしたおっきい手で身体が揺さぶられるけどランダウはこの手が大好きだ。

(日本の両親は元気にやってるかな?俺ってやっぱり死んでるんだろうな……)


そして自分達が住んでる街ラムドの農業ギルドへと到着し、受付の女性へ身分証明書のお願いをする。

恰幅のいい肝っ玉母さんみたいな人で、別に綺麗な女性を期待してた訳じゃないぞと心の中で言い訳をするランダウ。

すると変わった鉄の箱に水が入った物を出され、魔力測定をここでするように言われた。

確か魔力測定は冒険者ギルドでするはずだと3人は首を傾げる。


「もしかして知りませんでしたか?お触れは出てた筈なんですけど……」


大陸西側にある、フィーネやカポーダ等の国を纏めるケスオトラ。そしてそのケスオトラが治めている国を纏めて西部諸国と呼ばれることが多い。

そのケスオトラの第1位皇太子殿下が7年ほど前から国政に意義を唱えて税の仕組みが少し変わった。

魔力測定で強さはA〜Hまで8つがあり、それぞれにプラスとマイナスの評価が付く。

そしてD判定以上は個人事業主となり、例え10歳であろうとも親の扶養から外れてしまう。


そしてランダウはD判定。良くも悪くも普通。

鉄の箱の頂点8個は各属性を計るための物で木、火、土、金、水、光、闇、無と分かれている。

風や回復、身体強化等目に見えない物が無属性として扱われているのだが、ランダウは折角の西洋風な世界にいるのに、なんだか陰陽五行説もどきみたいでなんだか納得がいかない様子。


ただ普通のD判定と言っても全ての属性がほぼ均等に普通なのは珍しいと言われた。

(希少であって貴重ではないそうだ。泣ける)


「えーと、ドミトリさんは家業を継ぐリャーギンさんと、そのサブとしてのビーグさんは扶養として認められています。どちらも全ての魔力がDマイナス以下ですしね。どちらか片方が自立すればランダウさんは扶養に入れますけど?」


(見た感じ中世中期程度だけど戸籍制度とかはしっかりしてる。井戸のポンプだってしっかりしてたな。なんか変な文字が受付の後ろにあるぞ。日本の変態かなみたいな、それとも違う)


思考が寄り道したのを自覚したランダウは取り敢えずは自分の事が優先と切り替える。

仕方ない。今日から俺は自分で生計を立てなきゃいけなくなるのか。

漫画でよく見る冒険者生活。現在は不安よりも期待が勝っている。

まぁ、家で寝泊まりして稼いでいけばどうにかなる。その気楽な考えはすぐさま否定された。


(年間360日中30日しか実家に帰れないだと!)

「ギルドの人間が抜き打ちで見に行きますからね?詳しいことはこの小冊子に書いてるんでよく読んでくださいね。後で知らなかったは通じませんので」


そう言って手渡されたのは大量の紙を渡された。小冊子とは一体?と首を傾げる。

(製紙技術も中々だ。日本の物と比べると粗雑だけど、十分実用的だな)

そしてそのまま総合ギルドへの加入を勧められ説明を聞くと物凄く阿漕な商売であった。


農業ギルドの他に冒険者ギルドや商業ギルド等等、色んな商売や依頼をしやすくなる。

土地も何もないランダウが農業ギルドだけに入っても旨味は余り無い。

収穫の手伝い依頼を優先して受けれるかここで買える野菜や種を街の出店で買うより少しだけ安くなる程度。


そこで初心者お勧めの各ギルドが発行してる常駐依頼を纏めたのを扱っていて、駆け出し同士手を組んだり情報を共有するのに最適だそうだ。


冒険者ギルドは護衛や討伐任務等の難易度が高かったり、商業ギルドは街から街への転売が最低ライン。

それに比べて総合ギルドなら薬草採取やペットの世話、露天の店番と簡単な物が揃っている。


ただルールが複雑な為この小冊子があるのだが、この世界の10歳は識字率が低い。

なので両親が読み聞かせるかギルドの人に依頼して読んで貰うことになる。この100枚を越す紙をだ。


両親だって仕事はあるし、家に泊まるにしても最初から30日しかない権利を使うのも躊躇われる。

そうすると宿屋に泊まるとしてもお金がかかる。

経済を回すと言えば聞こえは良いがむしり取ってるの方が正解だと言えよう。

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