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アンメットライフ  作者: ¥$終
〜アンメットマネー〜借金返済編
13/54

ばったり

デートをしようと決めてから5日が過ぎた。

誰からデートするか。言い始めたロザリンドからと決まっていたのが、ランダウが生まれて初めてのデートだと聞いて3人共最初がいいと争った。


惚れた男の前であろうと、そこは譲りたくないと普段見せない形相をして言い合ったけど決まらない。

その際に、ミスリル製の装備品は例え壊れても、ミスリルが持ち主として相応しいと認めたなら復元するという逸話と、喧嘩しても仲直りしてずっと仲良くありたいというパーティー名の由来を聞いた。

どんなに仲が良くても女3人集まればそれなりに喧嘩もするのはどこも一緒だろう。


ランダウの何気ない一言から勃発した今までで1番険悪なムードは終わりを迎える。


「あ♪あのヌイグルミ可愛い!」


「実はドロシーってば何か抱いてないと寝れないのよ」


「へえ、でも気持ち分かるかも」


「ダウも何か抱いてるのかな?」


「足に何か挟んでると寝やすいよ」


「手を繋ぎたいのよ〜」


「そうなるとまた喧嘩するでしょ?」


「そうよバーバラ、いきなり手を繋ぐとか、そそそそ、その、不潔よ!」


同時デートをすることになった。

普段と何が違うかと言われたら答えにくいが、皆の心持ちが違うと言えよう。

女性が男性にエスコートされ甘えるのはロウフリアでは普通であり、それに応えるのが男の甲斐性である。

デートの為に3人は実家に顔を出し、精一杯お洒落な服を着て来たのがランダウは何より嬉しかった。


ふと露天に目をやると女性物の小物が売っているのが目に入った。


「すいませーん。これとこれとこれください」


「はいよーってランダウ君!こんな所で何してるんだい?」


「あっ、マルケンさんお久しぶりです。彼女達とデートですよ」


「じゃなくって依頼とか受けたりしてないの?!」


「最近はトルーフ街道のモンスターと戦ってばかりですね」


「そっか……。なら明日は依頼ボード見てみてよ。僕依頼でランダウ君達にピッタリの仕事があるんだ」


「分かりました、ってすいません。明日はちょっと実家に顔出したくて」


「それじゃあ2日後ね。これで雇う気のない面接しなくて済むや。なんだかベルズさん最近悲しい顔をしていたよ。顔を出してあげたら?」


頷いて、支払いとお辞儀を済ませて3人に髪留めのプレゼントをした。

お揃いのブレスレットは恥ずかしいしまだ早いとの判断だ。

そしてゲームの能力が消えない事をタエコに確認したランダウは、世界を大きく変えない程度に活用しようと決めている。


「えへへ♪似合ってるかな?」


「うん!とっても可愛いよ」


「私はどうなのよ?」


「バーバラも綺麗だよ。勿論ドロシーも」


プレゼントされ褒められて喜んでいる2人に対してドロシーの表情は余り浮かない。

ランダウだけでなくロザリンドとバーバラも心配する。


「ダウはやっぱり冒険者以外をしてみたいの?」


「やっぱりってどういうことかな?」


「前シュートさんが話したこと気にしてるのよ?」


(もしかして冒険者やるより儲かる仕事を1人でするんじゃないかってことか)


「俺ってさ、好きなこといっぱいあるからあれもこれもってやりたいんだ。でも1番好きなのは皆といることだから心配しないで」


「……。うん」


「女だけは目移り許さないのよ〜」


折角まとまりかけていたのをジョークで台無しにするバーバラに、冒険者以外にも手に職を持つことは良いことだと前向きなロザリンド。

ドロシーはそれなら仕事を待たすのは悪いとデートを切り上げて実家に行くことを提案した。


「デート途中で実家に行くのは皆に悪いよ」


「今度は正式な彼女としてダウから紹介してほしいの」


「「賛成かな」なのよ〜」


本人達が望んでいるならと申し訳無い気持ちもありつつ実家へ行くことに。

バーバラはランダウが気にかけるってことは何かあるのだろうという好奇心も込みで了承した。


「この埋め合わせは絶対するから!」


両手を合わせた謝罪を3人は笑顔で受け入れランダウの実家へと向かった。

道中タエコからの進言もあり、前に作ったチタン製のアイテムや、修行中にイベントを進めずに貯めたお金で色んな種類のアイテムを取り出して渡す。


「皆に武器や防具に指輪と、防具の上に着ると見た目が変わるスキンって服もあるんだけど受け取ってくれる?」


「むしろいいの?」


「ヤバい予感がビンビンするかな」


「装備に振り回されないってのはどうしたのよ〜?」


『素直に俺のハーレム要員に何かあったら嫌だと言いやがったらどうですか?』


ウインドウを閉じようと念じてみたが何も変わらなかったので、コッソリ舌打ちをして自分の発言を翻す言い訳を瞬時に考えた。


「お祝いだよ。本当は7級に上がってすぐに渡したかったんだけどタイミングがズレちゃって」


「気を使わなくてもいいのよ〜」


「有り難く頂こうかな!」


「早速使ってみたいわ」


そうしてランダウは前に作ったチタン製の装備を取り出して渡しながら説明をする。

いきなり鞭を出されたバーバラは若干引きながらも、前回貰った物よりも明らかに品質が上等なのを察して期待が上回りお礼をした。

装備の上に着る、所謂コスチューム装備はというと、ロザリンドにはへそ出しキャミソールにホットパンツとニーソ。

ドロシーにはチャイナドレスに網タイツ。

バーバラには黒ゴスのミニスカでガーターベルト。


『マスターの趣味丸出しまくりでやがりますこと』

(いいじゃないか別に……)


『取り敢えず私はそろそろウインドウだけじゃなく声を出しても良いでやがりますか?』


(別に最初から話せるならそうしてよ)


『切っ掛けが行方不明なりやがりまして』


(なんだ、女性的な声じゃん)


『妙子でやがりますから』


(なんだよそれ)


着替えを見ないように後ろを向きながら2人で盛り上がっていると振り返ってもいいよと言われ、話を中断して3人の姿を見た。


「ちょっとこれは恥ずかしいしかな」


「ダウってば以外とえっちなんだ///」


「いや、そもそもどういう理屈で全身隠れる防具の上から素肌が見える服を着れるのよ!」


「似合ってるしいいじゃないか」


「それもそうなのよ。そもそもダウにそんなのを求めちゃ間違ってたのよ」


理解するのを諦めるという理解を示した後は武器のチェックだ。

ロザリンドに渡した弓は弦が無く、魔力を消費して矢に威力を上乗せしたり、矢その物を魔力で代替出来る。

ドロシーの槍はある程度伸縮可能で、距離と突き刺さった状態に比例はするものの、手から離れても魔力で手元に戻ってくる。

バーバラは見るのも初体験な鞭は、チタン製とは思えないしなやかさがあり、先端部分が1番威力が出て尚かつ手持ちに近づくにつれ減退するが、どこに触れてもダメージを与える事が出来る。

そして4人がお揃いで着けている指輪の効果はというと。


「全能力アップは体感でわかるけど状態異常に耐性ってなにかな?」


(ゲームでは毒、睡眠、火傷に盲目に混乱だけじゃなく様々なモンスターが使ってくるのを割合で防いだり、効果時間を減らす能力なんだけど……)


「毒が効きにくくなる位の感じかな」


「王族や貴族に売ったらそれだけで一財産じゃないの!」


「むしろそれ以上出回らないように幽閉なのよ〜」


「僕的には早く試しうちしたいかな♪」


ロザリンドの提案にキラキラした目をして武器を握りしめてモンスターを探し始めた。

思いは他の2人も同じなようで素振りをしている。


『その若さで健忘症のマスターに代わって教えてあげやがりますが、魔物を10:1、今は5:1ですね。それで召喚すれば解決でやがります』


突如指パッチンをしたランダウに3人はビクッと身体を強張らせ心配する。

その後も虚空を見つめ続けているので不安は加速していく。


「よし!ちょっと見たことない生き物が出てくるけど驚かずに新武器の練習でもしよっか♪」


(襲ってくる魔物をどんどん変換しちゃって。タエコ風に言うなら召喚って言ったほうがいい?)


『砂船にでも乗った気持ちでいやがってください。あと呼び名はマスターが決めやがりなさい』


子犬型の魔物や蝙蝠型の魔物を次々に呼び出してはそれらを瞬殺しては喜ぶ3人。

魔力の矢は身体を貫通し、そのまま離れた場所にあった木に突き刺さり消えた。

槍は螺旋の回転を加えた突きを放ったら身体の後ろへと内臓がエグいほど吹き飛ぶ。

鞭は音速を越した破裂音がしたと思ったら半径30cm程のクレーターが出来上がる。


「ダンジョンから発掘される高級武器以上なのよ……」


「以上ってか異常かな」


「ロザリーにしては上手いじゃない。倒したモンスターの身体が消えるのも異常よね」


「喜んでもらえて何よりだよ。倒しながら家に向かおっか」


(後で修行にこれを使おう。これなら狩場で人目をわざわざ偲ぶ必要もないや。適当な場所で出来るな)


『もっと私を頼りやがればいいんですよマスターは』


(うん、そうするから宜しくね)


『甘えやがるんじゃねーです!』


(どっちだよ!?)


道中意味もなく地面に攻撃しては威力にニヤニヤしたり、実家へ辿り着くまでに何度目になるか分からない驚きが皆を襲った。

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