健康バイバイ!
●17歳
『また、お前健康売ったの?』
「売ったよ、今金欠だし。一日分だけだし今日寝ればすぐ元気になるからいいっしょ」
『じゃぁ、また放課後遊べないじゃん』
「ごめん、また今度ってことで」
●19歳
『最近疲れてるようだけど大丈夫?』
「今さ、すごく金欠なんだわ。だから1ヶ月分の健康を売ったらさすがにすごく怠くてたまらないよ」
『もうやめろよ。健康売ってばっかだとそのうち病気になるぞ』
「大丈夫、大丈夫。若いんだしすぐ元気になるよ」
『・・・・・・このあとのサークルの飲み会どうすんの?』
「急なバイト入ったって言っといて」
『せっかく卒業した先輩来てくれるのに』
「元気になったら先輩には謝っとくから」
●22歳
『外車買ったの?お金もしかして』
「そのとおり、健康半年分売った。内定決まったし、卒論も出来てたから売って1ヶ月まるまる寝込んでた」
『だから学校で見かけなかったんだ。バイトで忙しいのかと思ってた』
「ずっと親に看病してもらってた」
『親、健康売ってるの知ったら絶対怒るぞ』
「大丈夫だって。就活と卒論で体壊したって騙したし」
『お前学校来ない間にメグちゃん彼氏できちゃったぞ』
「・・・・・・まじか?まぁこの外車あればメグちゃんよりイイ女見つかるって」
『いい感じだったのにもったいないな。急に連絡取れないって相談されたんだぞ』
「・・・・・・しょうがないわ。今しか健康高値で売れないし、今売らなかったらこの外車だって乗れないよ」
●30歳
『結婚おめでとう。可愛い嫁さんじゃん』
「ありがとう・・・」
『どした?元気ないけど。まさかお前・・・』
「健康は売ってない。ただ、生まれた子供難病持ってて今度手術だから心配で」
『そうか・・・何か助けてほしかったらどんな小さいことでもいいから俺を頼っていいからな』
「ありがとう」
(言えないよ。手術代が高額で今度の日曜日に健康1年分売るなんて・・・
でも、これで最後だ。元気になったら健康を大事に生きていこう)
●42歳
(駄目だ。最近全然疲れが取れない。
休みの日もしっかり休んでるのに)
●43歳
(健康を売るどころか買わないと生活できなくなってしまった)
●45歳
(健康の値段がどんどん上がる。もう買えない。でも健康を買わなければ働けない)
●50歳
(夫婦の貯金を使い切ってしまい、妻と娘は実家に帰ってしまった)
●51歳
(娘が健康を買うためのお金を工面してくれた。でも、こんな大金どうやって?)
●51歳
『お父さん、私がこうやって元気でいるのは赤ちゃんの頃、お父さんが手術代を用意してくれたから。
だから少しでも恩返しをさせて』
(私は大馬鹿野郎だ。娘の健康を売ったお金で私の健康を買うなんて)
●60歳
『十年ぶりだな』
「ああ、久しぶり」
『・・・・・・見て分かるが苦労したんだな』
「・・・自分の本来の健康を手にいれるために10年近くかかったよ。
若い頃は減らなくてすぐ回復した健康が、歳とともに
減りやすく回復しないことがよく分かった。
健康がどんなに大切か分かったよ」
『よかったよ。死ぬ前に分かったんなら。
そうだな、俺たちなんかいつ健康がなくなるか分からないし、散歩でもして少しでも健康が減らないようにでもするか?』
「そうするか。話したいこともたくさんあるし話しながらいこう」
『ゆっくりとした時間はたくさんある。のんびり行こうか』
「そうするよ」




