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【揺花草子。】＜その2253：上方とも繋がる。＞

　Ｂさん「『ゆるキャン△』によれば、

　　　　　静岡県民と山梨県民の間では富士山の『表』『裏』の帰属を巡って

　　　　　長く確執があるらしいね。」

　Ａさん「出展が『ゆるキャン△』って言うのはどうなんだって感はあるけども。」

　Ｃさん「静岡県民は静岡側の富士山を『表』と呼ぶし、

　　　　　山梨県民は山梨側の富士山を『表』と言い習わすと言う。

　　　　　元しぞーかっ子のなでしこちゃんは

　　　　　『どっちから観てもキレイだしどっちでもいいじゃん』なんて言ってるけど、

　　　　　そんなこと梨っ子に聞かれたら『反梨者』として鳴沢氷穴に

　　　　　一生閉じ込められてしまうでーとイヌ子ちゃんから脅されるのよね。」

　Ａさん「えぇ・・・あきちゃんからツッコまれてましたけどね・・・。」

　Ｂさん「ま、そんなふうに、大きな自然観光資源が県境に存在していると、

　　　　　その帰属を巡って諍いが起こるというのは世の常ですよ。」

　Ａさん「世の常・・・かなぁ・・・。」

　Ｃさん「例えば青森・秋田両県にまたがる十和田湖。

　　　　　県境が確定したのはなんとたった10年前、2008年のことだそうよ。

　　　　　廃藩置県以来137年かかってようやくの実現ですって。」

　Ａさん「137年・・・。それはすごいですね・・・。」

　Ｂさん「そして福島・山形・新潟3県の県境が入り乱れる飯豊山。

　　　　　山頂及びそこへ至る登山道は福島県に帰属しているけれども、

　　　　　その北側は山形県、南側は新潟県に属している。

　　　　　このいびつな県境は福島県がゴネたからと言うことらしいよ。」

　Ａさん「おぉ・・・。」

　Ｃさん「それらと較べると諍いはないかも知れないけども、

　　　　　福島県・群馬県・新潟県の県境に位置する尾瀬なんかもあるわね。」

　Ａさん「あぁ・・・でも尾瀬って言われると群馬県って言う感じはありますけどね。」

　Ｂさん「そんな県境付近に属する観光資源を巡る争いは

　　　　　宮城県・山形県両県に属する蔵王連峰にも存在します。

　　　　　争いと言うか、両県民とも、『蔵王は俺たちの山』みたいに思ってると言うかね。」

　Ａさん「あー・・・。」

　Ｃさん「蔵王連峰で観光客を集める資源として重要なコンテンツであるところの

　　　　　スキー場や温泉の成熟度に関して言えば、どちらかと言うと山形県側が

　　　　　宮城県側を上回っているように思うわ。」

　Ａさん「あー・・・そうなんですかね。」

　Ｂさん「蔵王連峰の東側を『表蔵王』と呼ぶことに関しては

　　　　　割とコンセンサスが取れてると思うけれども、

　　　　　これに関して山形県民は釈然としない思いもあるんじゃないかと思うんだよね。」

　Ａさん「どうなのかな。」

　Ｃさん「そしてややこしいことに、山形県山形市の、上山市との境に位置するあたりには

　　　　　『山形市表蔵王』と言う住所が存在するそうなのよ。」

　Ａさん「そ・・・それはややこしい・・・。

　　　　　まさに『こっちが表だ論争』じゃないですか・・・。」

　Ｂさん「そんなわけで、ソフト的な側面から見ても

　　　　　宮城県側が蔵王連峰を我が手に収めるのは少し無理筋なんじゃないかとも思う。」

　Ａさん「無理筋かなぁ。

　　　　　そこで頑張ってる人たちだって沢山いるんだよ？」

　Ｂさん「それはそれとしてだよ。

　　　　　かつては宮城県の七ヶ宿町と山形県上山市との間で繰り広げられた

　　　　　蔵王にまつわる県境を巡ってのゴタゴタで訴訟沙汰にまでなったと言うしね。」

　Ａさん「はぁ・・・。」

　Ｂさん「そんなわけで、勝目の薄い勝負に拘泥しても仕方がないと思う。

　　　　　逆に考えるんだ。あげちゃってもいいさと考えるんだ。」

　Ａさん「どこのジョースター卿だよ。

　　　　　・・・って、あげちゃうって、蔵王をあげちゃうってこと？」

　Ｂさん「そうそう。

　　　　　蔵王はもう山形県側に差し上げます。

　　　　　その代わりに、蔵王に匹敵する観光資源を宮城県側に下さい、と。」

　Ａさん「あぁ・・・そう言う取引をってことだ。

　　　　　でも蔵王に匹敵する観光資源って例えば？」

　Ｂさん「最上川とか。」

　Ａさん「蔵王の代わりに最上川よこせとかって

　　　　　宮城県横暴すぎるだろ。」

　県境からめちゃくちゃ離れてる。