【揺花草子。】<その2523:激流。>
【揺花草子。】<その2523:激流。>
Bさん「クリスマスイブですよ。」
Aさん「クリスマスイブですね。」
Cさん「神浜を絶望で覆いつくすわよ。」
Aさん「それは違うイブですね。
ホメーミャン!!ですね。」
Bさん「今年は昨日23日が日曜祝日であった関係で
今日24日が振替休日です。」
Aさん「そうですね。」
Cさん「サンタさん色ね。」
Aさん「そう言う訳ではないのでは。」
Bさん「サンタさんが赤い服を着ているのはなんでだろうね?」
Aさん「なんで・・・とは?」
Bさん「施錠された家屋の煙突から侵入し、
子供たちの部屋に忍び込んでプレゼントを置いて帰ると言うミッションに対し、
あの赤い衣装は不要に華美に過ぎると思う。」
Aさん「んんー・・・。」
Cさん「つまり任務を安全裏に遂行させるための適切な装備があるでしょうと言うわけよ。」
Aさん「えー・・・つまりもっと闇夜に溶け込めるような衣装が
良いんじゃないかと言う事ですか?」
Bさん「それもある。赤よりも濃紺とか濃緑色の、肌を出さない衣装のほうが
隠匿性能も向上するしミッションの成功率は上がると思うよ。
もちろんあの豊かなヒゲも目立つから、きちんと剃り落として、
顔を覆えるマスクをして暗視ゴーグルを付ければ万全かな。」
Cさん「あとあの白い袋も目立ってダメよね。
あれはウェストバッグみたいなものに、潜入する家で配るプレゼントだけ入れて
状況を開始すべきよ。
いちいち全てのプレゼントを運ぶのは非効率だもの。
お歳を召したご老人には難儀な仕事だわ。」
Aさん「状況開始って言っちゃった。」
Bさん「ぼくらみたいなサンタ業界に特段明るくない素人の目線から見ても
改善すべき点はいくつも見いだせるよね。
それでもサンタさんたちは伝統とか前例に縛られて
旧態依然とした体制とやり方で毎年この日を迎えている。
これはもはや組織が硬直化していると言うべきなんじゃないかな。」
Aさん「きみサンタさんに随分辛辣だな。
クリスマスを向こうに回して大立ち回りでも演じるつもりか。」
Bさん「そんなわけじゃない。
時代は移り変わっていくんだ。
サンタさんも時代に合わせた働き方を模索していくべきだって言いたいの。
さもなければこの先サンタさんのなり手がいなくなって
クリスマスプレゼントと言う風習が廃れてしまうかも知れないよ。」
Aさん「いやー・・・うーん・・・。」
Cさん「けれども、それも無理からぬところかも知れないわ。
今これだけ物流業界が大きなターニングポイントに立っている時代、
サンタさんもずっと昔から変わらない訪問宅配を維持し続けるのは難しいわよ。
物流コスト削減の流れに取り残されかねないわ。」
Aさん「いや・・・別にサンタさんは
物流コスト削減を目指しているわけではないと思いますけど・・・。」
Bさん「近い将来
『AI宅配ドローンサンタさん』
に取って代わられるかも知れないね。」
Aさん「ラストワンマイル!!!!!」
筐体は赤い。




