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【揺花草子。】(日刊版:2018年)  作者: 篠木雪平
2018年01月
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【揺花草子。】<その2195:ローリング。>

 【揺花草子。】<その2195:ローリング。>


 Bさん「口喧嘩ですけど。」

 Aさん「口喧嘩?」

 Cさん「喧嘩するほど仲がいい仲になりたいと仰せです。」

 Bさん「ちがう!!!////」

 Aさん「(一方的に糾弾されるのはしょっちゅうだけど・・・)」

 Bさん「あ・あのね、子供同士の口喧嘩でさ、良くこういうシチュエーションがあるじゃん。

     『お前このまえそう言ったじゃん!!』

     『言ってないよ!! お前の勘違いだろ!!』

     『いや絶対言ったって!! おれ覚えてるもん!!』

     『言ってないっての!! いつ言ったって言うんだよ!!

      何時何分何十秒地球が何回回った日!!?』」

 Aさん「あぁー・・・確かに、小学生ぐらいの頃に

     そんなこと言ってたやつがいた気がするなぁ・・・。」

 Bさん「このさ、『地球が何回回った日』と言うのは非常に深遠な問題だよね。」

 Aさん「深遠・・・とは?」

 Bさん「単純に、例えば今日が、地球が何回目の回転かを知る術はないと言うことですよ。」

 Aさん「え・・・あぁ・・・?」

 Bさん「そもそもこれは、じゃあ1回目の回転はいつだったかと言うところから

     明かさなきゃいけない。

     地球はよく言われる通り太陽を取り巻いていた塵や岩石が集まって集まって

     最終的に一つの天体になったわけだよね。」

 Aさん「あぁー・・・。」

 Cさん「大まかには46億年くらい前と言われているわね。」

 Bさん「でも、それだってある日を境にいきなりガシーンと惑星が誕生したわけじゃなくて、

     ちょっとずつちょっとずつ大きくなっていった。

     そのどの段階を『地球の誕生』と見做すかと言う問題がある。」

 Aさん「はぁ・・・。」

 Bさん「さらに言えば、地球が誕生してから今日まで、

     自転の速度は必ずしも一定ではなかった。

     短期的には自転のスピードは少しずつ遅くなって来ていると言う観測結果があるし、

     有史以前の自転速度なんてもう知るべくもない。」

 Cさん「もしかしたら昔の1日は今で言う3時間くらいだったかも知れないしね。」

 Aさん「・・・。」

 Bさん「そしてもっと言えば、この『地球が何回回った日』の『回った』って言うのは、

     地球の自転を意味するのではなくて公転を意味するのかも知れない。

     そうだとしても、太陽系の成長の歴史が完全に明らかになっていない以上

     今年が何回目の回転かを算出することは現実的には不可能と言えるでしょう。」

 Aさん「・・・。」


 Bさん「そう言う意味で、答えのない質問をするこの行為は

     円滑で円満なコミュニケーションを阻害する

     重大な問題と考えるよ。」

 Aさん「口喧嘩してる時点で

     円滑で円満なコミュニケーションではないだろ。」


 ロジックで攻めるタイプ。

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