【揺花草子。】<その2454:覇権争い。>
【揺花草子。】<その2454:覇権争い。>
Bさん「秋もだいぶ深まって来ましたね。」
Aさん「来ましたね。」
Cさん「今年は10月になっても暑い日があったりしてなんだか良く解らない気候よね。」
Aさん「確かに・・・。」
Bさん「阿部さんはもうあれですか、こたつとか出しましたか?」
Aさん「いやさすがにこたつの季節はまだ早くない?
いくらなんでも朝晩そんなに寒くないだろ。」
Cさん「阿部さんは年中こたつを出しっぱなしだと思ってたわ。」
Aさん「いやそんな事はありませんけども。」
Bさん「こたつと言えばミカン。
この組み合わせが最強とされています。」
Aさん「それは・・・そうだね。」
Bさん「しかしながら昨今は、
こたつとアイスの組み合わせも最強の座を虎視眈々と狙っています。
ミカン追い落としを画策しているよね。」
Aさん「ミカン追い落としを画策してるんですかね・・・。」
Cさん「ミカン農家の皆さんは歯噛みしている事でしょうね。
アイスにポジションを奪われつつある現状を酷く嘆いていると思うわ。」
Aさん「うーん・・・どうなんでしょう・・・。
でもミカンとアイスでは食べる気楽さが違うからな・・・」
Bさん「おっ、それは興味深い見解。もう少し詳しく。」
Aさん「え、だからさ、ミカンは、こたつの上置いたカゴにがっさーって入れといて、
食べたい時にこたつから出ることなくついっと手を伸ばして
いつでも手に取ることができるじゃんか。
一方アイスは食べたいと思った時には
こたつを出て冷凍庫まで取りに行かなきゃいけないじゃない。
だから気楽さではミカンの方が上かなーって。」
Bさん「なるほどなるほど。それはいい考え方だ。」
Cさん「そう言う勢のためにこたつのそばに置いておける
ハンディタイプの冷蔵庫とか開発したら売れるかしらね。」
Aさん「あなたたちはちょいちょい商売っ気出して来ますねえ。」
Bさん「まあそれはそれとしても、阿部さんのその見解に拠って立てば、
まだまだミカンのアドバンテージはアイスを大きく上回っていると言う考えだね。」
Aさん「まあ、そうなるね。」
Bさん「そう言っていられるのも今のうちだ。」
Aさん「うわ怖っ! なに突然!!?」
Bさん「そう言う安穏としたミカン勢を絶望の淵に叩き落す
素晴らしいアイスを考えたんだよ。」
Aさん「きみアイス勢なんだ?
と言うか考えたって何?」
Bさん「あのね、見た目は一見するとミカンそのものなの。」
Aさん「えっ・・・つまりミカン型のアイスって事?
でもアイスである以上こたつのカゴに無造作に置いておくことは出来なくない?」
Cさん「そこが今回のイノベーションの核よ。」
Aさん「えっ・・・はぁ・・・。」
Bさん「あのね、ミカンの皮とアイス本体の間に、断熱のための真空の層が設けられてるの。
魔法瓶とかと同じ感じだね。
アイス本体はその真空の層の内側のビニールのシールドに守られている。」
Aさん「はぁ・・・。」
Bさん「で、ミカンと同じように皮を剥こうとするとその真空のシールドが破れて、
常温でも冷たいまんまのアイスを美味しく頂けると言う寸法だよ。」
Cさん「ミカンのお手軽さとアイスの魅力を兼ね備えた完璧な商品よ。」
Aさん「まあ・・・確かに実際にあったらけっこう売れそうですけど・・・。」
Bさん「ただし製造コストがめっちゃ高い。」
Aさん「じゃあ無理だ。」
軌道に乗れば1個¥200くらいまでは下げられるかもね?




