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【揺花草子。】(日刊版:2018年)  作者: 篠木雪平
2018年10月
288/365

【揺花草子。】<その2453:お前は何をやりたいんだ。>

 【揺花草子。】<その2453:お前は何をやりたいんだ。>


 Bさん「世界征服と言うのは魔王の野望としてはテンプレですね。」

 Aさん「えっ・・・なに?」

 Cさん「魔王よ。悪しきものの首魁。」

 Aさん「いやそれは解りますけど・・・。」

 Bさん「最近は魔王として転生したのがポンコツ幼女だったみたいなのもあるよね。

     逆に魔王と戦う勇者がポンコツ幼女って言う例も。」

 Aさん「うーん。ラノベ感たっぷり。」

 Bさん「ともかく、そう言う魔王の活動目的として第一に挙げられることが多いのが

     『世界征服』であると言う話ですよ。」

 Aさん「まあ・・・確かに、そうだねえ。」

 Bさん「具体的に世界征服って何かね?」

 Aさん「えっ? えー・・・。

     だから、世界でいちばん偉い存在になって、

     まあ典型的には世界を力で支配して、

     世の中のすべてを意のままに操ると言うか・・・。」

 Bさん「そうだよね。字義的にはそう言う感じだよね。」

 Aさん「う・うん。」

 Cさん「けれども阿部さん、よく考えて欲しいの。

     世界を意のままに操ると言っても、

     世界にはたくさんの国や地域、たくさんの人々や種族が共存していて、

     彼らには彼らの文化圏と言うか生活圏、エコシステムが存在する。

     それらをすべて破壊して魔王の意のままにって言ったらそれはそう言う

     長い歴史の中で積み重ねられて来た安定したサイクルを破壊する事になるわよね。」

 Aさん「それは・・・そうでしょうね。

     でもそれが人間が魔王と戦う理由になるんじゃないです?

     人間たちの暮らしを、世界を守るために悪しき魔王と戦うと言う・・・」

 Bさん「もちろんそれはそうだよ。

     世界が魔王の手に落ちてしまう事を防ぐために勇者は戦う。

     けどその妨害をはねのけて世界征服を勝ち取る事こそが魔王の本懐だよね。」

 Aさん「まあ・・・。」

 Bさん「さっきも言ったように、世界と言うグローバルな見方をすると

     魔王が支配していると言う構造は成立するかもだけど、

     国とか地域みたいなローカルなコミュニティにその支配権を

     貫徹するのは容易じゃないよ。

     彼らには彼らが自分たちの暮らしを営むための知識や経験があり、

     それを取っ払ってしまえばコミュニティは崩壊する。

     そしてそれは早晩世界そのものの崩壊に発展するに違いない。」

 Cさん「つまり魔王が世界征服を成し遂げ、そしてその支配構造を維持していくためには

     ローカルなコミュニティと『うまくやっていく』必要があると言う事よ。

     彼らの存在と価値観を許容し、彼らとともに世界の幸福を目指さなければならない。」

 Aさん「はぁ・・・。」

 Bさん「世界征服を成し遂げる事よりも、それを維持し続ける事の方が遥かに大変だよ。

     一般に頂点に君臨し続け下から上がって来るものを潰し続ける事よりも

     下から上を追い落とす方が簡単だしね。

     いつまでも頂点のままでいられる事なんてない。

     栄枯盛衰と言うやつです。

     それでもなお頂点に居続けようとするのであれば、

     それはきっと往々にしてものすごく大変でものすごく疲れる事で、

     ものすごい強い意志とか心の強さとか、

     そして何より人徳が求められるのだと思う。」

 Aさん「うーん・・・。」


 Bさん「だからぼくは世界征服を目論む魔王たちに

     征服を成し遂げた後の苦労を想像しろと

     言ってやりたい。」

 Aさん「魔王を論破するタイプの勇者!!???」


 征服を成し遂げた先に何があるんだ?と問いかける。

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