【揺花草子。】<その2393:ふたりが暮らした。>
【揺花草子。】<その2393:ふたりが暮らした。>
Bさん「引き続き連載企画の『冷蔵庫の吸血鬼問題』。」
Aさん「はぁ・・・。」
Cさん「昨日は阿部さんが首尾よく金髪幼女を自宅に連れ込んだところまで
お話ししたわね。」
Aさん「命題のストーリーの主人公としてぼくを据えるのはやめてくれませんかね?」
Bさん「そこはリアリティのためにどうしても避けられないかな。
命題の条件として必要な部分でもあるし。」
Aさん「えー・・・。」
Bさん「と言うわけで、改めて状況説明。
自分を吸血鬼だと名乗る金髪幼女がある日突然阿部さんの家を訪れた。
その幼女は阿部さんの家に入りひとしきりおなかを満たした後、
自分は阿部さんの血を吸うのが目的だと明かした、と。」
Aさん「はぁ・・・。」
Bさん「今日はいくつかの追加条件を論じていくよ。」
Aさん「追加条件。」
Cさん「知っての通り、吸血鬼に吸血されたものも吸血鬼になってしまうと言うわ。
阿部さんはまだ人間に未練があるので、血を吸われるのは断固拒否したい。
つまり幼女の目的は阿部さんの吸血、阿部さんの目的はその阻止となるわね。」
Aさん「はい。」
Bさん「分かりやすくするために、阿部さんが吸血されて吸血鬼化してしまう事は
人間としての死と同義と言う事にしておく。
つまり幼女は阿部さんを死なすことが目的、阿部さんは死を回避するのが目的とも
換言できるね。
ここまではいいよね?」
Aさん「うん、大丈夫。」
Cさん「大切な条件として、阿部さんは逆に幼女を返り討ちにして
死なせてはいけないと言う事を追加しておくわ。」
Aさん「えっそうなんです?」
Bさん「もちろんそうでしょ。
死なせてしまったらその遺体をどうするつもりなのさ。
幼女の遺体とともに日常を送るつもりなの? とんだ猟奇殺人犯じゃないの。
こっそりどこかの山奥に捨てる? バラバラに切断する?
そんなの早晩足が着くに決まってる。」
Aさん「えー・・・そこは煙になって消滅とかしてくれないんだ・・・。」
Cさん「その幼女は金髪美女と吸血鬼の間に生まれた半人半妖だからね。
そこらへんは仕方ないと割り切ってもらうわ。」
Aさん「新しい設定出て来たなあ。」
Bさん「それに阿部さんは幼女との暮らしに幸せを感じつつあるから
それを失うのは惜しいと早くも思い始めているよ。」
Aさん「情にほだされるの早すぎるな!!!」
Cさん「半妖の幼女はこれまでとても辛い境遇を送って来たのよ。
たまたま転がり込んだ家とは言え、優しくされて彼女も嬉しかったの。
彼女もまた、阿部さんとの暮らしに幸せを見つけつつあるのよ。」
Aさん「いや・・・もう困るなそれ・・・。
うーん・・・じゃあ、死なせるのはアレとして、
家から追い出すってのはどう?
こっちの勝利条件にならない?」
Bさん「行くあてのない幼女を放り出したら
ネグレクト的なアレで
阿部さんは社会的に死にます。」
Aさん「敗北条件だった!!!!!」
もし追い出しても1度入ったところなら自由に出入りできる。




