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【揺花草子。】(日刊版:2018年)  作者: 篠木雪平
2018年06月
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【揺花草子。】<その2329:市場の変化。>

 【揺花草子。】<その2329:市場の変化。>


 Bさん「円盤ビジネスはもはや崩壊していると言われるよ。」

 Aさん「あぁ・・・まあ、そう聞くけど。」

 Cさん「阿部さん前提を含めて解説を。」

 Aさん「えっ・・・。

     だから、毎クール40本から作られる TV アニメだけれども、

     地上波等で OA されるのはどちらかと言うと作品の PR の意味合いが強く、

     その OA を観て作品を気に入ってくれたファン層が

     BD/DVD 、俗に言う円盤であったり関連書籍であったりリリース物であったりを

     購入してくれることで制作費の回収を図ると言う形のビジネスだよね。」

 Bさん「さすが、良く分かってる。」

 Aさん「そりゃもう。そのロジックの一部に収まっている自覚があるからね。」

 Cさん「いわゆる円盤の理ね。」

 Aさん「円環の理みたいに言わないで下さい。」

 Bさん「少し前にノイタミナのプロデューサーさんだった方が

     この辺に関して見解を述べていて、

     『パッケージビジネスは1万人の人が10万円払ってくれることで

      成り立つビジネス』

     みたいなことを言っていたの。

     1クールのアニメ作品だとだいたいパッケージが6巻出て、

     1巻当たり¥6,000〜¥8,000くらいが相場だから、これで半分ぐらい。

     あとは関連グッズ類やリリース物の売り上げを合わせれば、

     1人が1作品に対して10万円って言うのはまあいい数字かなって気がする。」

 Aさん「確かにね。

     話を簡単にするために切りのいい数字を使っていると言うのもあるだろうけど、

     そこそこ理に適ってるとは思う。」

 Cさん「だからパッケージが686枚しか売れなかったりすると

     壮絶な爆死と言う事になるわけだけれどもね。」

 Aさん「そう言う具体的な数字を出すのはやめて下さいよ。

     なんだかんだ言ってその作品は華麗な復活を遂げていますよ。」

 Bさん「近年はそう言うリスクを分散する目的で

     いわゆる製作委員会方式を取る作品がほとんどで、

     何億円もかけて作った作品が大ゴケした結果制作会社があっさり倒産、

     みたいなことは基本的にはないよね。」

 Aさん「その分末端のクリエイターまで適切な分配がされていないのじゃないかと言う

     批判はあるけど・・・。」

 Cさん「そこはとても由々しき問題だし、コンテンツ業界の健全な発展のためには

     絶対に何とかしなければいけないところなんだけれども、

     今回は少し置いておこうと思うわ。」

 Aさん「はぁ。」

 Bさん「で、冒頭に戻って、『円盤ビジネスは崩壊した』と

     半ば自虐的に言われるテーゼです。」

 Aさん「うん。」

 Bさん「もちろんアニメ業界もただ滅びるに任せているのではなく、

     新たなビジネスを模索している。」

 Aさん「ふむ。」

 Cさん「それが、コンテンツ配信プラットフォームとの提携よ。」

 Aさん「あぁ・・・ TV からの脱却と言うわけですね。」

 Bさん「その通り。

     視聴は基本無料で本質的には作品の PR でしかない TV での OA を諦め、

     配信プラットフォームを利用して『視聴の時点でお金を頂く』と言う形の

     ビジネスだね。

     有名どころでは、もう名前出しちゃうけれども、

     ネットフリックスとか Hulu とか amazon プライムとかああ言うやつ。

     良作を作り評判になって視聴者が増えればその時点で制作費の回収ができ、

     不安定なパッケージビジネスに頼らざるを得ない現状を

     打破できると目されている。」

 Aさん「うんうん。」

 Cさん「もちろん配信オンリーになって TV での OA をやめてしまうと、

     『知らない作品だけど何となく観てみようかな』と言う

     作品ライト層に訴求する入口が失われてしまう事にもなるわ。

     だから配信ビジネスが魔法の杖と言うわけではないんだけれどもね。」

 Aさん「それは、そうですね。

     今までも

     『#01 を観たらすっごい面白くてハマってしまって

      パッケージも原作も揃えることにした』

     って事は何度もありますしね。」

 Bさん「それでも、やっぱり配信は未来ですよ。

     諸外国ではもはやパッケージは売れないと言うのが常識だからね。

     モノを所有することに強い欲求を持つ日本市場は割と特殊と言われているね。」

 Aさん「まあ、それは CD の時も言われた話だしね。

     パッケージの場合は封入特典とかが購入の大きな動機になっている側面もあるし。」

 Cさん「確かにそうね。

     阿部さんも全巻購入連動特典お風呂ポスターとか欲しいタイプだものね。」

 Aさん「イヤなんでそう言う例を出して来るんです!!?」

 Bさん「ただ、決して批判する意味ではなくて言うけど、

     CD がほぼ絶滅に瀕している現状を鑑みれば、

     早晩アニメのパッケージビジネスも下火になって来そうな気配は感じている。」

 Aさん「うーん。」


 Bさん「その時こそぼくら【揺花草子。】も・・・」

 Aさん「配信に打って出ようとでも言うの?」


 夢は大きく。

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