【揺花草子。】<その2292:エアメール。>
【揺花草子。】<その2292:エアメール。>
Bさん「選手を代表に呼ぶ際に『招集レター』なるものが出されるじゃないですか。」
Aさん「あぁ・・・うん。サッカーの話ね。」
Cさん「他のスポーツではどう言う仕組みか分からないけどね。」
Bさん「ともかくこの招集レターと言うものは、
その選手が所属するクラブに対して、
『来たる〇月●日の△□との試合におたくの選手を使いたいので
選手を貸してちょんまげ』
って内容なんだよね。」
Aさん「貸してちょんまげではないと思うけどな。」
Cさん「『貸してクレヨン』かしら。」
Aさん「クレヨンでもないです。」
Bさん「ともかく、こう言うレターが所属クラブに対して出されるわけだけれど、
これってさ、どうやら物理的なお手紙の模様だよ。」
Aさん「え・・・なにどう言うこと?」
Bさん「ぼくこの招集レターって表現はなんと言うか比喩だと思ってたの。
例えば『W杯本戦への切符を手に入れた』みたいなやつとニュアンスは同じで。」
Aさん「あぁ・・・物理的に切符を手に入れたわけではないけど
比喩表現としてそう言われるって言うこと?」
Cさん「つまり『招集レター』って言うのも『代表に招集しますよ』と
クラブ側に連絡を入れたことを以てそう表現してるのではないかと言うことね。」
Aさん「ああ・・・まあ、あり得る話ですね。」
Bさん「でもさ、そこらへん関連の記事を見ると、
『サッカー協会は**クラブに招集レターを発送したと発表した』
なんて記事があったりする。
と言うことはこれはもうはっきりと
物理的にお手紙をポストに投函したって言う意味であると解釈できるじゃない。」
Aさん「ポストに投函はしてないと思うけど、まあ、確かに、
『発送した』って言うのは比喩表現としてはそぐわない言い方だね。」
Cさん「そしてさらに言えば、メールやメッセージなど
電子的な情報のやり取りではないと言うことも見て取れるわね。」
Aさん「まあ・・・発送したって言ってますからね・・・。」
Bさん「でしょ?
やっぱり筆耕の人がすっごいきれいな字で
『青葉若葉の好季節、**クラブの皆様におかれましては、
なお一層ご活躍のことと拝察いたしております。』
なんて始まりでステキなお手紙を書いてるんじゃないかと思うの。」
Aさん「いやそんな時候の挨拶とかはないんじゃないかな・・・。」
Bさん「そうかな。
今やお手紙なんて電子化されたビットの集合体として
世界中どこにだって一瞬で送れる時代なのに、
代表レターは頑なに物理媒体にこだわってるんだよ。
これはきっと手書きの温かみで相手に好印象を与えようと言う
協会サイドの策略だよ。」
Aさん「いやー・・・そんな意図はないと思うけど・・・。」
Bさん「だから住所不定の阿部さんのところには
招集レターが届かないんだね。」
Aさん「住所不定ではないですよ!!???」
だとしても阿部くんのところにレターは来ない。




