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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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媚びなんて売らない方がいいと思う

誰かに媚びて評価を集めても、そんなものはちょっとしたことで崩れ去る砂の城だと思う。だって、媚びた部分を評価されたんだから、ほんの少しでもそこから外れれば『がっかりした』とか『変質した』とか言って手の平を返されるんだから。


だったらいっそ、媚びなんて売らない方がいいと思う。自分のままでいた上で噛み合う相手を見付ければいいと思う。


でも、その前提として、他人の存在を否定しないことが大事だと思うけどね。意見を述べるのはいいけど、悪態とか罵詈雑言とか誹謗中傷とか『死ね』とか『消えろ』とか、誰かの存在そのものを否定するようなことをしていたら、そんな危険な人とは僕も関わりたくないよ。


妻は、男勝りで自分の意見をはっきり言うけど、そういうことは殆どしない女性だった。たまに感情が昂りすぎてついということはあっても、そういう自分を恥じることのできる人だった。だから僕も彼女の前では素直になれた。


この場合の<素直>っていうのは、社交辞令で対応しないっていう意味だ。自分の言葉で、素の自分を出せるっていう意味だ。だから彼女もそうしてくれた。彼女と一緒にいるのがこの世で一番安心できて癒された。この幸せを知ってしまった今では、猫を被って仮面を被って媚びを売って誰かの慰み物として生きることに意味を見いだせない。


少なくとも、僕はね。


そしてそれは、美智果も実感してくれてる。お行儀の良い、大人から見て都合のいい扱いやすいお人形のような子供じゃなくても大丈夫だっていうのを分かってくれてる。だから家ではパンツ一丁でゲーム三昧でも平気なんだ。


アキちゃんっていう子との間で何があったのか、結局、まだ何も分からない。ただ、美智果自身の様子がこれといって変わってないから僕はそんなに心配してない。この子は僕の前で猫を被る必要もないし仮面を数る必要もないから、気分や思ってることがすぐ表情や態度に出るんだ。


アイドル好きのリンちゃんとの間でいろいろあった時は、しばらく暗い顔をしてたりちょっと情緒不安定なところがあったりしたのに、今回はそこまでじゃなかった。


それは、アキちゃんって子との間であったことが本当に大したことじゃなかったのか、それともリンちゃんとのことで経験を積んだこの子が自分の中で上手く処理できるようになったのかも今はまだ分からない。だけどそれがどっちにしても、僕はこれからもこの子を見守っていきたいと思う。


アキちゃんやリンちゃんの前で猫を数って仮面を被って媚びを売っていればそういうトラブルは回避されたのかもしれない。でもその代わりにストレスを溜め込んでそれが原因で別のトラブルを作ってたら意味がないと思うんだよね。



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