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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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誰かを罵るとそれだけ不幸を呼び寄せる

だけど同時に僕は、好美よしみちゃんが自分のお祖父ちゃんを『金づる』と罵ることが悲しかった。そうやって誰かを罵るとそれだけ不幸を呼び寄せるのになって思うから。


でもそれも、好美ちゃんのお祖父ちゃんがお母さんに対して『家事と育児は女の仕事だ』と言って怒鳴るっていう理不尽な姿を見せてたことの真似なんだよな。お祖父ちゃんがそういうことをしてるのを真似してしまってるんだ。それが悲しい。


美智果がそんな風に誰かを罵ったりしないのは、僕があの子の前でそれをしないようにしてるからだと思う。だからそういうのを真似ようがないんだ。


僕は、美智果に何か伝えたいことがある時は頭ごなしに怒鳴ったりしない。何故そうした方がいいのかきちんと理由を説明した上で納得してもらうことを心掛けてる。


殆どの人は、頭ごなしに自分の意見を押し付けてくる人のことを嫌うよね?。だから僕は美智果にそういうことをする人になってほしくないからやらないんだ。


人の話に耳を貸さない人は嫌われるよね? だから僕は美智果の話に耳を傾けるようにして、あの子が僕の真似をして人の話に耳を傾けるようになってほしいからそうするんだ。


頭ごなしに意見を押し付けない。相手の話には耳を傾ける。これができたらそれだけ嫌われたりする可能性が減る。美智果を嫌う人が少なくなればそれだけ嫌な思いをする可能性も減る。


そう。僕が美智果に対してやってることは、綺麗事でも何でもない。単純にその方が得だからっていうだけなんだ。ただでさえ理不尽で不条理なことが多いこの世の中で、少しでも嫌な思いをせずに生きていけるようになればいいなってだけの話なんだ。一見しただけだと利他的に見えても、実際にはものすごく利己的なことなんだよ。


他人を理不尽に怒鳴る人になってほしくないから怒鳴らない。大事なことをきちんと言葉で説明できる人になってほしいからなるべく丁寧に言葉で説明するようにする。僕がそうなって欲しいと思うことを、実際に美智果に対して見せて、それを真似するだけでいいようにする。


ね? 簡単だろ? 子供は大人の真似をするんだから、真似をしてもらえばいいんだよ。


好美ちゃんがお祖父ちゃんのことを『金づる』と罵っても、美智果はそれを真似しない。あの子はもう僕の真似をしてるから。


好美ちゃんや真理恵ちゃんがうちに来るのは、一番リラックスできるからだって言ってたらしい。美智果の接し方がリラックスできるのなら、好美ちゃんや真理恵ちゃんも美智果の真似をしてくれるといいなと思ってる。


だって、いい気分になれる方がいいもんな。



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