表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
88/201

二人しかいない大人が手分けしてやる

「うちのおじーちゃんがさあ、『家事と育児は女の仕事だ』ってお母さんのこと怒鳴るんだよ。だから私、おじーちゃん大っ嫌い。ま、お小遣いとかお年玉くれるのはいーけどさ。正直、金づるだよね」


ある日、遊びに来た好美よしみちゃんが隣の部屋でそんなことを話してるのが聞こえてしまった。


「ふ~ん、大変だね」と応えた美智果に僕も『うんうん、確かに』と頷いてしまった。


『家事と育児は女の仕事だ』ってよく聞く言葉だけど、そういうこと言ってる人って物事を一面でしか見てないんだなってすごく思う。なにしろ、昔だってよくよく調べてみたらその家のお母さん一人でやってた訳じゃない筈だしさ。主に女性がしてたのは事実でも、一人でしてた訳じゃないと思うんだよね。


昔は、家に何人も家族がいて、何だかんだとみんなが手伝ってたと思うんだ。でも、今は核家族が基本になって、大人が家に二人しかいないっていうのが普通になってるだろ? だったら二人しかいない大人が手分けしてやるのは当たり前じゃないかなあ


それを、『家事と育児は女の仕事だ』とか言ってお母さんだけに押し付けて、それが合理的だとでも思ってるのかな?


僕は今、仕事も家のことも全部一人でやってるよ。だけどその分、完璧にやろうとはしてない。手が抜けるところは抜くようにしてる。部屋でパンツ一丁なのも、洗濯物を減らす目的もあるんだよな。


料理も完璧なものを用意しようとは思ってない。基本はスーパーのお惣菜と冷凍食品がメインだよ。母性神話とか手作り神話とか母乳神話とかも信じてない。そういうの一切無視しても美智果はこんなに健康でいい子に育ってる。それは僕が、美智果自身のことを見てどうすればいいのかを考えてるからだと思う。


誰かから聞いたマニュアルだけを妄信して『こうしておけば絶対に大丈夫』とか思ってるのって、自分では何も考えてないのと同じだよね。『家事と育児は女の仕事だ』とか言って僕が何もしてこなかったら、今頃、こんなに余裕をもって美智果と二人で暮らしてられてない。『家事と育児は女の仕事だ』なんてマニュアルを無視して<美智果オタク>になったからこそ、あの子の顔を見るだけで気分とか体調が分かるようになったんだよ。


家に何人も家族がいた時代のマニュアルはもう役に立たない。そんな現実を見られないのなら、自分の孫に<金づる>って言われても無理ないって気がする。


前提が変わってるのにそれを無視して昔のやり方を押し付けてくるのって、ただの理不尽だとしか思わない。


『昔のやり方こそ正しい』って思ってる人は、酔っぱらった殿様に思い付きで切腹を申し渡されてそれを受け入れるのかな?


その当時は殿様の言うことは絶対だったけど、今はそうじゃなくなってるよね。自分は切腹とかしなくて済む世の中になってその恩恵に預かってるのに、状況が変わってることを認めないとか、甘えなんじゃないかなあ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ