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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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私のことをまず助けてよって思う?

「パパ、<勤労の義務>って、お仕事しなさいってことだよね? じゃあ、ニートの人とかってその義務を果たしてないってことなの?」


税金の話の流れで、美智果は次にそんなことを訊いてきた。はっは~、これはなかなか核心をついてくるじゃないか。


「うん、義務を果たしてるか果たしてないかって言ったら確かに果たしてはいないんだと思うけど、ただ、理由があってその義務を果たせない人については、あくまで一時的にだけどそれを猶予してもらえるっていうのも確かにあるんだ」


「ゆうよ…?」


「できるようになるまで待ってもらえるってことだよ。でないと、美智果だって今すぐ働かなきゃいけなくなるよ? 昔はそうやって子供でも働かされたんだから」


「え? そうなの? 子供も働かされてたってのは知ってたけど、私、待ってもらってるってことなの?」


「そういうこと。それがまあ、待ってもらってる期間が長くなっちゃってるっていうのがニートってことかな」


「え~? でもそれって何かズルい気がする…」


「そんなこと言ったって、美智果だって何かの理由で働く気力を失ってニートになる可能性だってあるんだよ? あれは、誰でも陥る可能性のあるものなんだ。もし自分がそうなった時、『ズルい』って言われて納得できるかなあ?」


「…なんかイヤだ……ズルいって言われたらイヤな感じ…」


「だろ? 確かにそういう状態で放っておくのは良くないことかもしれない。でも、一時的にそういうのに陥ることさえ許さないっていうのは、自分で自分の首を絞めることだと思う。自分がそうなった時のことを考えてないし。


そういうのをズルいとか許せないとか言ってる人は、ただ妬んでるだけだよ。自分じゃない誰かが助けられるのが気に入らないだけさ。それってつまり、真っ先に自分のことを助けてほしいっていう甘えの裏返しだとお父さんは思ってる。


美智果は、好美よしみちゃんや真理恵まりえちゃんが何か苦しいものを抱えて力が出ないってなってる時に、好美ちゃんや真理恵ちゃんのことなんか放っておいて私のことをまず助けてよって思う?」


「う~ん…あんまり思わないかな」


「そうか。でもそれは、今の美智果がそれだけ余裕があるからってことだと思う。美智果にそれだけの余裕がなかったら、まず自分を助けてほしいと思うんじゃないかな。他の人が先に助けられるのをズルいとか許せないとか思ってしまうんじゃないかな?


ズルいとか許せないとか言ってる人も、たぶん、そういうことだと思うよ。甘えたいのに甘えさせてもらえてないから妬んだりするんだって、美智果を見てると思うよ」


「ふ~ん……」


分かったような分からないような顔で、美智果は僕を見てたのだった。



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