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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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秘密を持つようになってきたってことなのかな

「あのね、パパ。今から話すこと聞いても怒らないって約束してくれる…?」


また不意に、美智果がそんなことを言い出した。言いたいことがあるのなら聞くよ。でも。


「う~ん。怒るかどうかは内容次第かなあ」


って正直に言ったら困ったような顔をして、


「え~? じゃあ、話すのやめようかな…」


だって。


「なんだ? 何かやらかしちゃったのか? だったら正直に話した方がまだマシだと思うよ。もし後から、先生とかからバレたらお父さんも怒らない訳にはいかなくなるかもしれないし」


「違うの、そういうのじゃないの」


「違うんだ? じゃあなんだろ。まあでもそれが何であれ、お父さんに話したら怒られるような良くないことだって美智果が自分で分かってて、それで自分で改めていくんなら、別に話さなくてもいいよ」


「う~……」


そう言って美智果は結局、黙ってしまった。一体何を話そうとしてたのか、僕に言ったら怒られるかもしれない内容って何なのか、分からず仕舞いだった。


そうか。この子も親に対してそういう秘密を持つようになってきたってことなのかな。


いずれ気が変わって話してくれるかもしれない。だけど今は秘密にしておきたいならそれでもいいよ。


僕は美智果にとって何でも話せる相手でいたいと思ってる。だけど完全に何一つ秘密がないなんていうのも現実的じゃないと思う。相手が僕だからこそ話せないことだってある筈だ。それを無理に聞き出そうとは思わない。


僕に話したら怒られるようなことだって自覚してるのなら、まだ大丈夫なんじゃないかな。これからさらに、注意深く見守っていかないといけない時期に差し掛かってきたのかもしれない。でもそれ自体が、この子が独立した一人の人格として今まで以上に成長してきてるっていうことの証っていう気もする。


話そうとしてくれるなら、それを聞こうという姿勢はこれからも見せていきたい。僕はこの子の親だから。そういうのを抱え込んで一人で悩んで、だけどそれを抱えきれなくなって爆発して他の誰かに迷惑を掛けたり傷付けたりっていうのは、僕は親としての敗北だと考えてる。他人に当たるくらいなら、僕に当たってくれたらいい。


無関係な他人に被害が出るのは嫌だ。この子をこの世界に送り出してしまったのは僕なんだ。その責任は僕にある。だから万が一の時に被害を受けるのも僕一人でいい。この子をそんな苦しい世界に送り出してしまった責任は僕が負いたい。


この子と一緒にいられる喜びも、この子がもたらすあらゆる苦しみも、まずは僕が受けとめたい。いいとこどりって訳にはいかないってことくらい、この子が妻のお腹にいるのが分かった時に覚悟したことだ。


喜びも苦しみも、すべてがセットなんだから。



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