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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
7/201

おんどれ生きとったんか~い

僕は、子供の頃から漫画やアニメが好きだった。ただ、ガチの<オタク>かと言われるとあまり自信はない。グッズとかには殆ど手を出さないし、リアタイ視聴とかにも拘らない。実況とかもしない。妻と結婚してからしばらくは漫画もアニメも殆ど見なくなったりもした。ゲームはスパロボくらいしかしない。


妻は、ゲームオタクだった。特にドラクエとファイアーエムブレムのガチ勢で、ゲームの出来で機嫌が良くなったり悪くなったりする女性だった。それを風呂上りにマッパで画面にかじりついてやってる姿を可愛いと思ったりしてた。そんなのを可愛いと思う時点で僕の感性もかなりおかしいとは思う。


それでも、命中率一桁パーセントの敵の攻撃が当たって味方ユニットが大ダメージを受けた時なんて、


『ずっこい! めっちゃずっこい!! こっちの一桁は当たらんのに! ありえへん!!』


とか身悶えながらムキになってたところなんか、本当に可愛いと思ったんだ。


だけど、妻が亡くなってからは、ゲームもアニメも避けていた。どうしても、死を連想させる演出が多いから、美智果にあまり見せたくなかったんだ。テレビで人が亡くなったというニュースを見ただけで青い顔をして固まったりしてたから。


でも、一昨年くらいからそういう様子は収まってきて、アニメについては最近はまた、美智果と一緒に見るようになっていた。今、あの子が欠かさず見てるのは、異能の能力を持った海賊少年の冒険譚と、刀剣の付喪神達のアニメだ。どっちも人が傷付いたり命を落としたりする演出があるのに好きで見られるようになってた。深夜アニメも結構楽しんで見てる。『エロはキライ』と言いながら、笑えるエロは楽しいらしい。録画しておいた深夜アニメを、僕の膝に座って一緒に見るのが近頃の日課だったりする。


美智果がパンツ一丁で僕の膝でゲームをしながら録画した深夜アニメを見つつ、二人でアニメに突っ込みを入れながら笑ってる今も、僕は十分に幸せだと感じてた。


人生に辛いことなんて付き物だ。人は遅かれ早かれ死ぬ。だったらこうやってたくさん笑ってられた方がずっと得だと思う。


結婚は人生の墓場という人が多いけど、僕の人生は結婚してからが本番だった。逆にそれまでが墓の中にいるようなものだったと思う。妻と結婚できて美智果とこうしていられて、僕はすごく幸せだ。


そして二人で声を合わせてアニメに突っ込む。


「おんどれ生きとったんか~い!!」


妻のぬくもりにはもう二度と触れることはできないけど、この子のぬくもりは今、こうして感じられるんだ。



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