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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
5/201

エロいのはキラい

世間では、父と娘で男女の関係になるというようなネタの漫画とかが多いのは僕もよく知ってるし、散々お世話にもなった。けどね、自分に娘ができると、これが全然、漫画とかとは違うんだ。娘相手にはそういう気分にまったくならない。


それは僕が、この子が生まれた時からずっと、ミルクもおむつも世話してきたからかも知れない。生まれたばかりの頃の柔らかいうんちが割れ目の方にまで入ってしまったりするからそれをちゃんと広げて中まで拭いてあげてたから、正直、見慣れてしまったというのもあると思う。


自分の娘をそういう目で見られるのって、どんだけ普段から面倒見てなかったんだろうなっていうのが実感なんだ。毎日何回も、うんちもおしっこも見てくればそんな目で見られないよ。


この子が物心ついてくる頃にだって、お漏らししてびしょびしょになったパンツも代えてあげたし拭いてあげたし、ロタウイルスに感染した時なんか酷い下痢で布団までうんちまみれになったのをお風呂に入れさせてあげたり、綺麗になったこの子を妻に任せてそのまま風呂場でうんちまみれの子供布団を洗ったりしてきたんだ。


美智果自身、僕がそんな風にしておしっこまみれうんちまみれになって接してきたのを覚えてるから、裸ぐらい何とも思ってないんだよね。


夕食の後は一緒にお風呂だ。もともと、そういうことで一緒に入ることに抵抗がない上に、母親を亡くしてから一人でお風呂に入れなくなったこの子とのお風呂も、ぜんぜん、僕にとっては普通のことだった。ただのスキンシップ以上のものじゃない。


でもさすがに、最近は胸も膨らんできたから、


「胸とか強く触ったら痛いだろ。お父さんにはその辺の加減が分からないから自分で洗ってよ」


とは言ってる。すると渋々、自分で胸とか股間とか洗うんだ。本当は洗って欲しいんだろうなって思う。だけどそれも、美智果が性的にそういうのを望んでる訳じゃないっていうのも見てれば分かる。って言うか、


「エロいのはキラい」


と、最近は言い出してるくらいだし。学校で男子とかがそういうことを口走り出してるらしくて、それが許せないらしい。でもだからこそ、僕とこうやって一緒にお風呂に入って体を洗ってもらうのは、この子にとってはエロいことでは全くないっていうことが分かる。


僕にとって美智果は性の対象にはならないし、美智果にとっても僕は性の対象にならない。親子なら本来、そういうもんなんじゃないのかな。だからそういうフィクションはファンタジーだってすごく感じるし、もし実際にそういうのがあるんだったら、それは他人行儀な親子だと思うんだよね。


僕は、そういうのは嫌だ。



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