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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
49/201

マジ万策尽きたって感じ~

さて、夏休みのいよいよ終盤に差し掛かったし、宿題の残り、最大の難敵、自由課題に取り掛かるか。


他の宿題は早々に終わらせたけど、これだけはいつも何をするかというのであれこれ考えているうちに遅くなってしまうんだよな。


「美智果~、何か思いついたか~?」


「ぜんぜん~、ムリ~。マジ万策尽きたって感じ~」


だよね~。安定の平常運転だ。


仕方ないので結局は、市販の工作キットに頼ることになる。毎年お世話になってるんだよな。


ここで何か、夢中になれるものを見付けられてたら物語の主人公っぽい感じにもなれるのかもしれないけど、残念ながら僕も美智果も、どこまでも凡人なんだと思い知らされる。でもまあ、世の中の大半の人がこんな感じだろうから、別に心配もしてないけどさ。


特別秀でた才覚を見せて何かをやり遂げるっていうのは確かに格好いいと思う。なるほどドラマティックなんだろう。だけど殆どがそうじゃない、凡庸なモブでしかないっていうのがこの世界だ。


だけどさ。世の中の人の殆どが目立たないモブだからこそ、秀でた才能ってやつが輝くんじゃないのか? そういうのが目立つんじゃないのか? 誰も彼もがすごい人間ばかりだったら、才能ってやつも結局は埋もれてしまうと思う。凡人がいてこその天才なんだ。


だから僕は、自分がモブでしかないことを僻んだりしない。目立たず脚光も浴びず世間の片隅でひっそりと生きて人生を全うすることこそに意義を感じるんだ。


脚光を浴びてる人を羨んで妬んで悪態を吐く人生なんてバカバカしい。自分に尖った才能がないことを、他人には無いものを持ってないことを僻んでウジウジしてなんになるんだ。そんなことで時間を無駄にするなんてもったいない。時間は有限なんだよ? だったら他人にヤキモチ妬いてる時間さえ惜しいじゃないか。その時間を使って自分の人生を楽しもうよ。


僕は、美智果と一緒にいられたらそれで十分。何しろ僕は、<美智果オタク>だからね。この子がどんな風に育っていってどんな人になってくれるのか、それを見てるだけでも楽しくて仕方ない。どんな物語よりもネタよりも、はるかに濃密で見応えがあるよ。


だって、一人の人間の人生そのものを見守るんだよ? 僕と美智果の人生が重なってる部分を六十年だとするならば、五十万時間以上。三十分アニメに換算すると百万話以上を見ることになるんだ。どんな超長編アニメでも敵わない、とんでもないボリュームだ。まあ実際にはその三分の一ほどは寝てるからそこまでじゃないかもしれないけどさ。


だけどそれでも、そんなすごいものに僕は関わってるんだって思うと、震えがくるくらいだよ。



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