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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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イルカさんの水、めっちゃかかった

「はぁ~、楽しかった!」


動物園を満喫した美智果は顔をほんのりと上気させてそう言った.正直言って大変だったけど、この顔が見られたらそれでもう報われた気がする。


夕食の時間まではまだかなりあるけど、小腹が空いてきたので軽食スペースで軽く食べていくことにした。


二人でカルボナーラを食べながら、さっきまで撮っていた写真のチェックをする。改めて見るとピントとか構図とか不満なところがあるけど、美智果の楽しそうな表情がしっかり撮れてるからまあいいか。


「イルカさんの水、めっちゃかかった。気持ち良かった」


「かかったなあ。暑かったからちょうど良かったけどな」


イルカショーの時の写真を見ながら美智果が興奮した感じで話す。また目がキラキラしてて本当にイルカが好きなんだなって思った。他の動物についても熱心に写真を覗き込んでくる。六年生くらいになってくると動物園とか興味を失ってくる子もいると聞くけど、この子はそういう気配もないなあ。


帰りの電車では、さすがに力尽きたのか、動き出した途端に眠り始めた。僕にもたれかかる美智果の重さとか体温とかが心地好い。それを見てると思うんだ。子供は体力がすごいんじゃなくて、夢中になると自分が疲れてるかどうか分からなくなるだけなんじゃないかって。だから体調が悪くても気付かないことがあるのかなとも思ってしまう。


そういうところは大人が気を付けてあげないといけないな。


そんなことを思いながら電車に揺られてると、妻のことを思い出す。この場に彼女がいないこと、彼女に美智果のこの姿を見せてあげられないことが寂しいと、つい思ってしまったりもする。


だけどその想いばかりに捉われてたら、美智果とこうして一緒にいられることの幸せを見落してしまいそうで、それじゃ意味がないとも思うんだ。


家に帰ると、まずお風呂に入った。いつも通りに一緒に入る。電車の中でゆっくり寝たからかもうすっかり元気になった感じもする。


「ありがとう、パパ」


一緒に湯船に浸かってると、美智果が不意にそう言った。


「どういたしまして」


動物園に行ったことだと分かって、僕もそう応えた。


ちゃんと『ありがとう』が言える子だというのが改めて分かって嬉しい。それができる子は、大切にしてもらえる。


それは社会に出てからも強みになると思う。嫌われるよりは好かれるほうがね。でも同時に、好かれようとして演技をするのは、それを見抜かれたら逆効果かなとも思ったりする。


でも今の美智果なら、演技なんてしなくても好きになってくれる人は必ずいると思えるんだ。



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