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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
4/201

パパ、だ~いすき!

世間の男性はきっと、美智果みたいな女の子は毛嫌いするんだろうな。この子にそっくりだった僕の妻も、『絶対結婚できない』って周りから思われてたそうだ。でも、二十代半ばで早々に結婚した。僕と出会ったから。


僕はいわゆる女子力とかには興味なかった。人として合うか合わないかだけが問題だった。そして妻とはそれが合った。だから結婚したんだ。結婚して数年後にこの子が生まれて、僕達は親子三人でとても楽しくやってた。でも現実っていうのは残酷だった。


ガンが判明してから半年ともたなかった。美智果のランドセル姿を見ることなく、彼女は逝ってしまった。


もし、神様とやらがいて運命とやらを決めているんだとしたら、僕はその神様を力いっぱい殴ってやりたいと思ってる。まだまだこれからっていう僕たち家族を引き裂いた凶悪犯だから。だけど、僕には神様の姿は見えないし、当然、殴ってやることもできない。だから僕はそれについては我慢してた。


それに、妻は僕に美智果を残してくれた。この子がいれば、僕はまだ正気でいられる。


そう言えば、美智果が通っている学校の五年にも、僕と同じように奥さんを亡くして父子家庭になった人がいるらしい。しかもその人のところは高校生の娘さんと小五の息子さんの二人のお子さんがいるそうだった。更にそれだけじゃなくて、親戚のお子さんを預かって育ててる人もいるっていう話だった。僕のところだけじゃないんだなと思えて、少し楽になる。


でもそれだけに神様とかいうのは本当に底意地の悪い奴だとも思ってしまえるけどね。


夕食は、美智果を膝に抱いて食べる。と言うか、仕事が一段落するとずっとそんな感じだ。母親に甘えられない分、僕がたっぷりと甘えさせてあげることにしてる。僕の座る座椅子にドカッという感じで座ってくる美智果に、「ぐえっ!」と思わず声が出る。


「美智果も大きくなってきてるんだから、あんまり無茶しないでくれよ~。そのうちお父さん潰れちゃうよ」


僕がそう言うと、美智果は振り向いて、


「パパ、だ~いすき!」


と、満面の笑みで言ってくるんだ。もう、そうされると僕も相貌を崩すしかできないんだよな~。


僕の膝に座ってる時も、美智果はもちろんパンツ一丁だった。でもずっとそんな姿を見てきてるから、今さら何とも思わない。それにこの子がこんな格好をするのは僕の前だけだ。他人の前では決してしない。この子が僕を信頼しきってるっていう証拠だと思ってる。


でなきゃこんなことできないもんな。


あ、ちなみに、この時期は僕もパンツ一丁だ。だからまあ、似た者家族っていうことなんだよね。



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