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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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いつだって自分の気持ちをちゃんと美智果に伝えるんだ

ついつい堅い話になってしないがちになるなあ。でもそれも、自分が親だからかもしれない。自分の子供がこれからどういう世の中で生きていくことになるのか気になってしまうから。


今日は美智果は、学校で行われてるお祭りに行ってる。毎年行われてる恒例のお祭りだ。PTAが主催するお祭りで、さすがに旬のとはいかないけど芸人とかも呼んだりするらしい。屋台と言うか出店と言うかはPTAやPTAに協力してくれてる人達が出してるもので、ノリとしては学園祭とかに近いかな。


学校の敷地内で、しかもPTAも学校関係者もたくさん見守ってるから安心だ。実は、僕も何年か前にPTAとして参加したことがある。その年はPTAの委員をやってたからだ。僕は屋台の方じゃなくて見回り担当だったけど、落し物とか迷子があったくらいで大きなトラブルもなかったし、基本的には学校関係者とその家族と学校の近所の人しか来ないからガラの悪いのとかもいなくて、今年からは子供達だけで行くのを許可した。去年までは僕も一緒に行ってたんだけど、僕はこういう賑やかなの、本当は苦手なんだ。


「今年はお父さん行けないけど、一人でも大丈夫?」


「うん、へーきへーき。ヨッシーとマリーと待ち合わせしてるし。パパはゆっくり仕事しててよ」


実は去年も、美智果一人で行けるかどうか訊いてみた。そしたら、


「え~?…」


っていう反応だった。不安そうな表情で、僕を見つめてた。だから結局、僕も一緒に行くことになった。だけど今年の反応はまるで違った。その変化に、この子の成長を感じる。常に僕の庇護がないと不安だったのが、そうじゃなくなってきてるんだ。


『結婚なんかしな~い。一生、この家にいる~』


今はまだそんなこと言ってるけど、もっと成長すればまた考えも変わるかもしれない。


あの子が僕の下を巣立っていくことを考えると寂しい気持ちになるのは事実だ。できるなら、一生、一緒にいたいと思う。


でも、妻のこともあるように、いつかは別れる時が来る。そしてそれは、決して覆ることのない永遠の別れだ。それに比べたら、巣立ちなんて、会いに行こうと思えば会いに行ける程度のものでしかない。傷付いて飛べなくなったら、傷を癒しに帰ってきてもいい。僕はいつだって歓迎する。


『親の心子知らず』って言葉がある。僕はこの言葉が嫌いだった。でもそれは、親の心を理解しない子供が許せないという意味じゃない。自分の心を子供に理解してもらおうとしない親のことが理解できないからだ。伝える努力を怠っておいて相手に察してもらおうとするなんて、僕は甘えてるとしか思わない。相手に察してもらって当然っていう人とは関わりたくない。


だから僕は、いつだって自分の気持ちをちゃんと美智果に伝えるんだ。



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