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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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大きな声と大きな力

世の中が悪くなっていってるっていう実感は、僕にはない。どんなに口では大きなこと、立派なことを言ってる人だって、戦国時代の頃の社会の厳しさに放り出されたら泣き言を言わずにいられないと思う。だから<優しい社会>を目指すことは間違いじゃないと思うし、大きな流れとしてはそういう方向に向かってるって感じてる。


もちろん、たまにはものすごく厳しい環境にすぐに適応できる人もいるかもしれないけど、そんな人、十人に一人もいないんじゃないかな。そういうのって、<普遍的>とは言わないよね。むしろ適応できる人の方が例外的な少数派って気がする。


そういう、優秀で立派で鋼のメンタルを持った一部の人が他の人を導くっていうのは、人間の歴史が始まってからずっと試されてきたことじゃないか。だけど、そういう国や社会がこれまで滅びたり衰退したりせずにこられた例は一つとしてないと思うけど?。


<優秀で立派で鋼のメンタルを持った一部の人>っていうのが、常に必ず現れてしかもその立場を先代から正しく引き継ぎできる訳じゃないっていうのは、歴史が証明してると思うんだ。


だから結局、社会の大多数を占める普通の人が普通にやっててほどほどの幸せを掴める社会を目指すことが一番、多くの人が幸せを掴めるようになるんだって僕は思ってる。


一部の、大きな力を持って自分がこの世の中を自由にしたいって思ってる人には都合の悪い考え方かもしれないけどさ。


今はまだ、<普通の人が普通にやっててほどほどの幸せを掴める社会>まで至ってないかもしれない。だから満たされないものを感じて不平不満をこぼしたり、イライラして他人に八つ当たりする人がいるのかもしれない。でもそれだって、道半ばだからこその不具合だって言えるんじゃないかな。


声の大きい、力の強い人に振り回されるのは、僕は嫌なんだ。僕はただ、美智果と一緒に幸せに楽しく暮らしていたいだけなんだ。大変なこと、苦しいことがあるのは仕方ない。家族が事故や病気で突然亡くなるようなことがあるのも仕方ない。生きてる限りはいつかは必ず死ぬから。


だけど、一部の、声の大きい、力の強い人の都合であれこれされるのは納得できない。昔に比べてそういうことがやりにくい世の中になってきてるのは間違いないから、僕は今の世の中の流れを歓迎してる。


不具合については、これからも随時、改善していくように知恵を絞ればいいって思ってる。その為に僕も協力する。僕の娘の美智果は、大きな声と大きな力で他人の人生を踏みにじったりしない。


僕は、そういう人を育てていきたいんだ。



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