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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
29/201

そうか!、ふにににか~!

自分の子供に懐いてもらえないって嘆く父親がいたりするけど、僕にはそれがピンとこない。それって他人だと思われてるんじゃないのかなあ。たまにしか相手しなかったりするから。


僕は<美智果オタク>だから、仕事が終わって家に帰れば美智果につきっきりだった気がする。仕事で疲れてる?。仕事の疲れなんてアニメ見たりアイドルのライブ映像見たりして癒すだろ?。それと同じだよ。僕の顔を見てニコニコしてる美智果を見てるとそれだけで癒される。仕事の疲れなんか目じゃない。


だから美智果をお風呂に入れるのだって本当は僕の役目だった。四歳くらいになってそろそろ僕と一緒に入るのはやめておいた方がいいかなって話になったから、妻に任せるようになったんだ。その妻が入院して一緒に入れなくなったからまた僕が入れるようになったんだけど、僕と一緒に入ってたことを覚えてたから美智果の方も抵抗がなかったのかもしれない。


赤ちゃんの頃なんてそれこそ、僕が入れてあげた方が大人しく気持ち良さそうにしてた。妻よりも手とか大きい分、安心できたっていうのもあるかも。


ああ、あと、『女の子だから』っていうことで僕の方もすごく気を遣って丁寧に扱うようにはしてたかな。妻はその点、同性同士の気安さからか、見てても『大丈夫かな』って心配になるくらい扱いが雑だったことがあったし。


子育ては母親の仕事だなんて、誰が決めた?。アニメは子供が見るものだなんて誰が決めた?って感じで大人だって見るようになっただろ。子育てだってそれと同じだと僕は思う。こんな楽しいこと、女性にだけ任してるとかもったいない。


美智果がようやく言葉をしゃべりだした頃、僕が、


「美智果はママとパパのどっちが好きかな~?」


って訊いたら、彼女は大きな声で、


「ふににに!」


って応えてくれた。それがどういう意味かは今でも謎だ。でもその様子があんまり可愛すぎて、別にどっちでもよかった。


「そうか!、ふにににか~!」


と、僕は美智果を抱き締めてた。嬉しそうにきゃあきゃあ声を上げる彼女を食べてしまいたいくらいメロメロだった。


体はすっかり大きくなって、自分が「ふににに!」と叫んだことも当然覚えてないけど、僕にとってはあの頃も美智果も今の美智果もそんなに変わってないって思ってる。生意気なことも言うようになっても、この子は今でも僕のことを無条件に信頼し頼ってくれてる。


僕の、この子に対する態度が全て僕に返ってくるんだ。美智果が僕に向ける視線は、僕が美智果に向けてた視線だと思うんだよな。



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