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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
28/201

ああ、今日は甘えたい気分なんだな

美智果の朝は早い。僕が起こさなくても勝手に起きて、携帯ゲーム機で遊んでたりする。


今はまだマシになったけど、四年生の頃までは下手をするとそれこそ五時くらいには目を覚ましてることもあった。って言うか、外が明るくなり始めると勝手に目が覚めるみたいだ。


普段はなかなか起きないのに遠足の日だけはやたら早起きする子っているらしいけど、美智果の場合はどうやらそれが毎日らしい。


たぶん、この世界が楽しくて寝てるのも惜しいんだと思う。早く起きて遊びたいんだ。その分、夜は早いけどね。十時には寝てる。大晦日の笑ってはいけないバラエティー特番が見たくて夜の十二時まで起きてたりしたら、あの子にとっては大変な夜更かしみたいだな。


とまあそんな感じで今朝も先に起きて何やらもぞもぞしてる気配が伝わってきた。お気に入りのタオルケットを丸めてクッション状にしてその感触を楽しんでるんだと思った。これも美智果お気に入りの遊びの一つだ。玩具で戯れる猫みたいにそのクッションを投げたり転がしたり抱き締めたりしてるのが気配で分かる。その気配を感じてるうちに、僕もだんだんと眠りから覚めてくる。


で、そろそろ目覚ましが鳴るくらいの時間になると僕の腹の上にどっかと座って、


『おっきろ~っっ!!』


とかやってくるんだ。


だけど今日はちょっと違ってた。僕の体の上に乗ってきたのは同じだけど、頭を胸の辺りに乗せて、まるで僕の上に寝るみたいにしてた。


僕は気付いた。


『ああ、今日は甘えたい気分なんだな…』


って。


そうだ。この子は甘えたいと思ったらちゃんと甘えてきてくれる。今も僕の体の上で横になってる。その重みとぬくもりが、僕にとっても気持ちいい。すごく癒されるのを感じる。美智果は僕に甘えることで癒されて、僕は美智果に甘えてもらうことで癒される。


なんというギブアンドテイク。このままずっとこうしていたい……。


なんて思ってたら、おもむろに体を起こして僕のお腹の上で座り直して、


「おっきろ~っっ!! 起きないとドスンドスンするぞ~っっ!!」


だって。


「ひ~、やめてくれ~、お父さん、死んでしまふ~!」


そう言って僕は体を起こした。


「おはよう!」


悪戯っぽく笑いながらそういう美智果に、僕も、


「おはよう」


と笑顔で返す。さらに、


「おはようの、ぎゅ~っ!」


と美智果の体を抱き締めた。すると美智果も僕の胸に顔を押しつけてくる。「ん~っ」って嬉しそうな声も漏れてくる。


こうして僕たちの一日は始まるのだった。



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