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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
24/201

都合のいい存在とは限らない

今、美智果にとって一番の天敵と言うか懸案の相手は、アイドル好きの<リンちゃん>だと思う。


リンちゃんは明るくて活動的でちょっと我が強くてチャラいところもあって、一言で言えばまあ、<ウェーイな感じの子>ってことらしい。うん、僕も苦手なタイプだ。


だから僕も、無理にリンちゃんと仲良くする必要はないと思ってる。ウマが合わない相手って自分だけが努力したってどうにもならない場合が多いっていうのは経験上分かってるし、美智果には、リンちゃんといかに距離を置き無駄なトラブルを回避するかってことを学んでもらわなくちゃね。


リンちゃんみたいなタイプの子も、僕にはその価値は理解できないけど世の中には必要なのかもしれない。自分が好きになれないタイプだからって排除してしまおうとか思わない。


社会っていうのは元々、価値観の違う者同士が折り合いをつけて生きていくことを目的に作られるものだと思う。全員が一つの価値観、一つの目的だけに突き進み機能するのは<社会>って言うより<装置>じゃないかな。そういう意味では、社会っていうのはその成り立ちからして誰か一人にとってだけ都合のいいようには出来てないんだ。


それを考えると、自分にとって何もかも都合のいい社会なんてそもそも存在する筈がない訳で、みんなが何らかの形で我慢して妥協して成立させるものなんだろうな。


『美智果、他人は美智果にとって都合のいい存在とは限らないし、その他人が集まって作ってる社会も美智果にとって都合のいいばかりのものじゃない。それは忘れないでほしい』


最近、僕があの子に対してことあるごとに言い聞かせてる言葉だ。


初めから他人や社会が自分のワガママを聞いてくれる存在じゃないってことを分かってれば、過度な期待をしてそれが上手くいかなかったからって『裏切られた』とか言ってキレる必要もなくなるし、社会の所為にして恨み辛みを募らせる必要もなくなる。


その代わり、僕は美智果の味方だ。だって僕は、あの子をこの世界に送り出した張本人だから。あの子をこの世界に生み出した責任が僕にはあるから。


でも、その責任を負うこと自体が、今は楽しくて仕方ない。あの子の親でいられることが嬉しくて仕方ない。だって僕は人間を育ててるんだよ?。こんなすごいことをやれるなんて、ある意味では奇跡だよ。妻と結婚するまでは僕はそれを手にすることさえなく放棄しようとしてた。『子供なんていらない』って思ってた。


だけど今は、美智果と出会えたことに感謝してる。美智果と出会わせてくれた妻に感謝してる。こんな楽しいこと、危うく見逃すところだったんだもんだなあ。



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