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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
13/201

みっちゃ~ん、遊びに来たよ~

「みっちゃ~ん、遊びに来たよ~」


土曜日。昼過ぎに美智果の友達が遊びに来た。同級生の女の子二人だ。一人は、最近、美智果のことを『エロ』って呼ぶこともあるっていう好美よしみちゃん。美智果よりさらにボーイッシュな感じで言動が男の子っぽい子だった。もう一人は真理恵まりえちゃん。こっちは割といかにもな<女の子>って感じでフェミニンな印象もある子だ。


この二人とは小学校入学当時からの友達で、早い段階からうちにしょっちゅう遊びに来てた。と言うか、それぞれ、家に友達を連れてくるのはNGって家庭らしい。だからうちがこの子らのたまり場になってる感じだった。


で、この二人も、美智果と気が合うだけあって割とまあ、変と言うかはっちゃけてる部分があって、好美ちゃんは小学生なのに今はオンドゥル語がマイブームらしいし、真理恵ちゃんはむっつりスケベらしかった。


なんてことを言うと、いかにも薄い本のネタっぽく聞こえるかもしれないけど、残念ながらそんな気配は一ミリもないんだよね。娘の友達に恋心を抱かれるとか、そんなのは現実ではほぼないことだからフィクションのネタになるっていうことだってよく分かる。


かと言って、好美ちゃんや真理恵ちゃんに避けられてるかって言ったらそうでもなかった。二人にとっては単純に<仲のいい友達のお父さん>なんだろうな。特に、真理恵ちゃんはうちでトイレに入る時、水を流さないからおしっこの音も丸聞こえだったりするし、全く意識されてないっていうのがよく分かる。さすがに家で裸族だったりはしないみたいだけど、美智果と似たところが多いっていうことなんじゃないかな。


そんな三人が何して遊んでるかと言ったら、今はネットゲームみたいだ。美智果はノートPCで、好美ちゃんと真理恵ちゃんはそれぞれスマホで同じゲームをやってる。


隣の部屋できゃあきゃあはしゃいでるのが聞こえてくる。


「げ~、またジジイ来た~! うちもういてるって~の! それよりばみちゃん寄こせばみちゃん!」


「ずるいぞ! うちまだ来ないのに~。オンドゥルルラギッタンディスカ~っ!?」


「きゃ~っ! 日本号さま~、ハアハア…!」


だって。楽しそうで結構結構。


最近はよその子を家に上げるのを嫌う親も多いらしいけど、僕は気にしない。子供が行儀良くないのは未熟なんだから当たり前だと思ってる。僕だって行儀なんか全然よくなかった。


ガチで悪いことをするなら黙っていられなくても、ちょっとくらいの悪ふざけなら別に構わないよ。そういうのもお互い様だと思うから。



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