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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
12/201

脇の下、こりこりして痛くなってきた

「あ~、脇の下、こりこりして痛くなってきた。生理近いわ~」


今日も、仕事中の僕の後ろでパンツ一丁でゲームをしてた美智果が急にそんなことを言い出した。妻も同じようなことを言ってたのを思い出す。生理が近付くといろんな形で予兆が見られる女性もいるらしいけど、どうやら妻と美智果は体質が似てるんだろうな。


その次の日、


「あ~、もう、やっぱり来たよ~」


美智果はいちいち使い分けるのが面倒臭いってことで、いつも黒い生理用ショーツを穿いてた。他にも可愛いのがあるのに基本的にはいつもそれだった。で、実際に生理が始まると、今度は家では紙おむつ一丁になる。


「メンドクサイしパンツ汚れないからこれでいいでしょ」


だって。正直、下着を汚すことが減ったのは助かってる。


美智果は今でも、経血で汚れた下着を平気で僕に洗わせる。


「いい加減、恥ずかしくないのか~?」


って訊いても、


「別に~」


とのことだった。美智果にとって僕はそういう対象から完全に外れてるんだって分かる。かと言って学校で破廉恥な格好してるかって言ったらそんなこともない。元々、スカート穿かないし髪はショートで男の子に間違われることもあるけど、他人に対しては恥じらいもあるらしい。


それは僕も同じかな。僕にとっても美智果は性的な興味の対象からは外れてて、裸を見たって何とも思わない。その一方で、ネットで拾うエロ画像や動画にはいつもお世話になってる。ちなみに最近の嗜好は素人のイチャラブ動画だ。とまあ、性欲そのものはたぶん、人並みにあるんだと思う。でも、それは美智果に対してはまったく向かない。どうやら僕たちにとってお互いは、女性でも男性でもない<何か>ってことなんだろうな。


なんてことを考えながら、今日も美智果の生理用ショーツを洗ってる。紙ナプキンも使ってる筈なのにどうしてこんなに汚れるんだろうっていうくらいに、毎度毎度血まみれだ。これだったら布ナプキン使ってても同じなんじゃないかと思ったりもする。ふろの残り湯に浸けて血をふやかして、洗濯用固形石鹸をつけて手もみ洗いだ。


でも僕は、それを見てても面倒臭いなあと思うだけで他には何とも思わない。もし、事故や病気で美智果の体が不自由になったりしたらどうせこういうことをすることになるんだし、それを思えばどうってこともない。あの子が赤ん坊の時におしっこもうんちも素手で触ってきた。何を今さらだよ。臭いだって大して気にならない。


別にやらせようとは思ってないけど、僕が年を取って介護が必要になったら、もしかしたら美智果に介護してもらうことになるかも知れない。そういうことも含めて、別にこのくらいは何てことないんだよね。



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