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美智果とお父さん 作者:京衛武百十
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全裸のママよりマシだも~ん

2011年10月。妻がアラフォーにもならないうちにこの世を去った。ガンだった。結局、何もしてあげられずに逝かせてしまったことを、僕は今でも悔やんでる。だからこそ、この子は、美智果みちかについては大切にしてあげたいと思ってる。

あれから六年。美智果は健やかに朗らかに育ってくれてる。と言うか、うん、まあ、健やかで朗らかなのは間違いないと思う。ただちょっと、そろそろ年頃なんだからもうちょっとこう、自覚したらいいんじゃないかなとは思わなくもない。

なにしろ、今年で十二歳になるというのに、おしゃれには興味ない。恋愛にも興味ない。でもネットのゲームは好き。携帯電話は面倒臭いからいらないと言う。お風呂には一人で入れない。裸族。髪すら自分では梳かない。スカートは好きじゃない。長い髪は好きじゃない。あんこが嫌い。チョコレートはビターしか食べない。甘いものは好きじゃない。他人に媚びるのが嫌い。特に男子に媚びるのが嫌い。自分の服と僕の服を一緒に洗っても文句は言わないけど、その一方で経血で汚れた下着も平気で僕に洗わせる。等々。

いわゆる<女子力>とかいうものを欠片も持ち合わせてないのが、僕の娘の美智果だった。

でも、そんな子でも、僕にとっては世界一可愛い娘なんだ。何物にも代えがたい宝物なんだ。

美智果は妻にそっくりだった。外見も振る舞いも。ただ、ゲーム好きは妻の方がまだ上なのかな。だけど、「バリッ」と大きなおならをぶちかまして「テヘペロ♡」ってやるところなんかはホントそのままだった。

たぶん、僕以外の男性はそんなの許さないんだろうな。でも僕はそういうところも好きだった。自分がちゃんと生身の人間だっていうのを曝け出して気取らない妻が好きだったから結婚したんだ。娘はそんな妻に生き写しだった。

けれど、どんなにそっくりでも美智果は妻じゃない。妻は妻で、美智果は美智果だ。美智果の姿に妻の面影を見出しても、代役でも代用品でもない。僕はただ、彼女を彼女として受け止めたいだけなんだ。

そして今日も、美智果は学校から帰るなり服を脱いでパンツ一丁になっていた。妻はここで全裸になるので、そこだけが僅かに違う点かな。僕に似たのかもしれない。僕も暑い時期は家ではパンツ一丁だから。

「なあ、美智果。おっぱいだって膨らんできてるんだから、さすがにその恰好はそろそろやめた方がいいんじゃないかな」

おっぱいが膨らみ始めた去年から時々そう言うんだけど、そんな僕に彼女は決まって、

「え~?、全裸のママよりマシだも~ん。それにパパだってパンツ一丁だし~」

と、聞く耳を持ってくれないのだった。

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