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21 叩きつけてだめならぶち抜いてやる!

「お、ぐぅおぉ……!」

 振り下ろしの一撃を受けて、晃司は跨がっていたバイクもろともに地を跳ねさせられることになった。

 腕や足、胸からは骨折したのではないかと思えるような痛みがある。が、そのやかましいほどに訴える痛みが、朦朧とする晃司の意識を踏みとどまらせてくれているのだ。

 ヘルメットの奥からうめき声を漏らしながら、晃司は頭を振り振り立ち上がる。

 そうして瞬きを繰り返しながら、周りの光景を頭の中に拾っていく。

 レッドビートルは、横転してミラーが折れ曲がり、カウルが凹むなど傷ついてはいる。が、それでもなおフレームにまで届くような、決定的な歪みは見られない。

 またその近くには子どもが一人。逃げ遅れだろうか。腰を抜かした男の子が涙ぐんでへたりこんでいる。足を挟まれている訳でもなく、ケガをしているとしても擦り傷程度だろう。

 そして、見上げるようなクワガタ巨人。

 虫みたいな見た目のくせして、晃司とレッドビートルを虫のように叩き落としてくれたヤツは、振り下ろした腕とは逆の腕を高々と掲げている。

 その先をたどってさらに高く見上げれば、そこには手のひらに灯りみなぎるエネルギーボールが輝いている。

「まずッ!」

 今まさに自分に向けて投げつけられようとしているそれに、晃司はとっさに膝を沈める。

 だが足をたわめて作った力を解き放つ前に、背後へ振り向く。

 そこには先ほど見つけた逃げ遅れの男の子の姿が。

 動けそうにない子どもの事を意識した晃司に、迷いは無い。その場で大の字に体を広げ、虫巨人と子どもとの間を阻む壁になる。

 散々挑発された苛立ちをこめたエネルギー弾。その直撃を受けてしまえば晃司はただではすまないだろう。盾になったところでもろともに消し飛ばされてしまうかもしれない。だがそれでも、晃司に男の子を見捨てて避けるという選択肢は無かった。

 そしてクワガタ巨人が大きく振りかぶり、その手に掴んだ破壊エネルギーの塊を投げ放つ。

「黒部さんッ!!」

 この声が晃司の耳に届いたのは、それとまったくの同時であった。

 妙な乗り物から身を乗り出して、左手を大きく振り回すかがみ。

 そのやってしまえと言わんばかりの仕草を、晃司は視界のすみに捉えて、大きく息を吸い込む。

「オォオラァアッ!!」

 轟く雄叫びと輝き。

 それらを放ちながら晃司は迫るエネルギーの塊へと踏み込む。

 輝きを貫き現れたツルリとした銀色の右掌。

 それはエネルギー弾に真っ向からぶち当たり、その前進を止める。

 直径が地球人の身の丈ほどもあるエネルギーの塊。それが張り手ひとつに押し止められ、拮抗している。

 その内に晃司の姿は右肩から胸、腰からつま先、首から頭へと、脱皮するかのように本来のオルフェインの姿に変身していく。

 やがて全身を宇宙の戦士の姿へと転じると、その目が青い闘志に燃え盛る。

「オォオオッ!」

 続いた気合を境に、それまで釣り合っていたエネルギーボールと張り手との競り合いが傾く。

 オルフェインは押し込んでくるエネルギー弾を掴んで、さらに一歩前に。

 そしてそのまま掴んだ指を狭めていくと、エネルギーの塊もまた縮んでいく。

 エネルギー弾はそうして紙風船を握り潰すかのように小さくなっていくと、やがてオルフェインの手のひらサイズにまで縮み、最後には握り拳の中にスポリと収まる。

 エネルギーボールを抑え込んだオルフェインであるが、しかし息つく間を挟む事なくさらに踏み込む。

 あわせて振り上げた左拳とぶつかったのは、黒光りする外骨格に包まれた平手である。

 止まったエネルギーボールの影で、虫巨人が押し潰そうと降らした腕の動きを読み、迎え撃ったのだ。

 しかし迎え撃ったとはいえ、相手はオルフェインの倍ではきかない巨人。毛の生えた黒光りする腕はわずかに跳ね返ったものの、すぐさまに質量差に物をいわせてのし掛かってくる。

 だがオルフェインは作った間隙にその下から逃れるのではなく、腕を掲げて受け止める構えだ。

 案の定、体重のかかった押し潰しに、踏んでいたアスファルトが割れ砕けて足が沈む。

 オルフェインは、かろうじて潰れてこそいないもののその膝は曲がり、腕のみならず肩まで使って支えている形である。

 歯を食いしばり、うめき声を上げてこらえるオルフェイン。だがこのままではいくら力に長けてそれを鍛えてきた戦士であっても、ほどなく潰されるか、埋められてしまうことになるだろう。

「もう大丈夫です! 子どもは保護しましたッ!」

 そんなオルフェインの背中に投げかけられる声。

 声の主であるかがみは、オルフェインの後ろで逃げ遅れの男の子をシンカーに乗せて保護していたのだ。

 そう。オルフェインは何もただ避ける暇無しと判断して支えに入ったのではない。

 かがみたちが逃げ遅れの子を保護して離脱できるようになるまで、クワガタ巨人の注意を引き付けていたのだ。

 そのために、見つけた逃げ遅れを無事逃がすそのためだけに。オルフェインはクワガタ巨人の腕の下にいたのだ。

 つまり、もうこのまま甘んじて地面との間でつっかえ棒をやっている理由はきれいさっぱりに無くなったのである。

「待っていたぜ! この時をなぁあッ!!」

 待ちに待った瞬間の到来に、オルフェインの瞳が燃え盛る。

 それに応じ、足後ろのエナジーベッセルも膨大な光を吐き出し始める。

 全力全開に噴射したエネルギーが渦巻き、その熱量のために空気が揺らいで中心たるオルフェインの姿もまた歪む。

 かかる重みの下で、上向きの推進力を吐き出し続ける姿は、重力を押しのけようとする宇宙ロケットの如く。そしてその結果もまた同じく。やがて天へ向かおうとする力は地へ押しつけようとする力を跳ね返し始める。

「こなくそがぁあッ!!」

 気合ひとつ。のし掛かる虫巨人を、オルフェインはそのまま力でもって押し返す。

 大人と子どもどころか、人とオモチャほどにも違う体格差を覆して、オルフェインはクワガタ巨人をひっくり返してみせる。

 一方でそれをなしたオルフェインは、のし掛かっていた重石が外れたがために勢いあまり、エネルギーの噴射を止めてなお、一直線に高々と空へ駆け上がる。

「ダアッ!? 行きすぎ行きすぎッ!」

 無用な高度と間合いに、オルフェインはかかとのみに絞ったエネルギー噴射と合わせて足を振り回し宙返り。地面に向けてまっ逆さまの姿勢をとるや、足裏から推進力を思いきりに吐き出す。

 駆け昇った時と同じか、それ以上の勢いでの急降下。

「こいつをくらえぇえええッ!!」

 握ったままの右拳を深く引き、仰向けに倒れて無防備な虫巨人の腹めがけて叩きつける。

 しかしぶつけたのは拳でなく掌。瞬間、虫巨人の甲殻とオルフェインの平手との間でエネルギーが膨れ上がる。

 爆発的に広がった破壊エネルギーはしかし、オルフェインの体を巡るものとは色が異なる。

 ならばこの力はどこから引き出されたものか。

 答えを言ってしまえば、このエネルギーは虫巨人のもの。先ほどオルフェインが握りつぶした、クワガタ巨人の放ったエネルギーボールそのものである。

 種明かしをしてしまえば、オルフェインは受け止めたエネルギー弾を握りつぶして消滅させたのではなく、圧縮して今の今まで握りしめていたのだ。

「お前のモンだぞ! まるっと返すぜッ!」

 手の中に預かっていたモノ。ほんのわずかな取りこぼしもないよう、直に叩き込んでいたそれを、オルフェインはさらに押し込む。

 すると虫巨人の横たわる地面がくぼみを深め、周囲の建物のガラスが割れ、壁にも亀裂が走る。

 そんな周囲の被害に、オルフェインは違和感に燃えるように輝く目を揺らす。

 そんなオルフェインを、横合いから伸びた巨大な爪が鷲掴みにする。

「なッ……んだとッ!?」

 驚き声を上げるオルフェインを、さらに逆側から迫ってきた爪が掴む。

 そうして両手で挟み包むように捕まえられたオルフェインの体は、虫巨人の胸から持ち上げられる。

 身に食い込み刺さるかぎ爪を振りほどこうと、オルフェインは身を捩る。そんな銀の宇宙戦士の姿を、虫巨人の複眼が眺めている。

「んなバカなッ!? こいつ自身のだから多少耐性はあるだろうが、まるで堪えてない!?」

 オルフェインもこの一撃で、エネルギー弾を捕まえた労力に見合うダメージを与えられないかもしれないとは考えていた。

 だがそれでも、破壊エネルギーの爆発の零距離直撃。そんなものを受けていながら、まったくの無傷でいられるはずなどがない。

 扱えるから耐性があるといっても、いくらなんでも限度がある。火を吐ける怪物の肉なので、全く火が通らない。そんなことがあるわけがないのだ。

 しかし、現に虫巨人はまるでダメージを負った様子が無い。

 残念ながら催眠術でも幻でもない、現実。これがオルフェインの前にある現実である。

「このまま捕まったままでなんかなぁあッ!!」

 オルフェインはとにもかくにも脱出しようと、身をよじりエネルギーを噴射する足を振り回して抵抗する。

 その勢いは大幅な体格差のある虫巨人を振り回し、傍らの建物へ左の肩から叩きつける。

 しかしクワガタの巨人は、オルフェインを抑えきれずに浮かび上がった右足を地面に踏み込ませ、重心を落とす。

 捕まえたオルフェインに体が暴れさせられないよう、虫巨人は体を固定。

 対するオルフェインはかぎ爪の牢獄の中から唸り声をあげ、抗おうと上向きの推進力を全開にする。

 だがそれは、残った虫巨人の腕一対がさらに上から掴みかかって抑え込まれてしまう。

「ぐぅうッ!?」

 二対四本。虫巨人の腕力全部を受けて、オルフェインはたまらずうめき声をあげる。

 しかしそれでもあきらめず、裏脚から全力のエネルギー噴射を続ける。

 そんなオルフェインの粘りに、虫巨人は苛立たし気に握力を強め、さらに掴んだ手四つ全てから一斉に破壊エネルギーを放つ。

「がぁああああああああッ!?」

 掴んだ状態からのエネルギー弾丸形成。捕らえたものを破壊エネルギーがスパイクとなって突き刺すこの牢獄は、まさに手心無し。処刑用アイアンメイデンそのものである。

 点で直に撃ち込んだオルフェインに対して、包んでの全身余すところのない直流し。

 食い込んだ爪の隙間からエネルギーがスパークする。その威力にオルフェインは苦悶のあまりに声を上げて身もだえする。

 そのままオルフェインを握り潰しにかかる虫巨人。だがしかしその胸光り輝く何ものかが突き刺さる。

 この一撃の重みに外骨格に覆われた巨体がわずかに揺らぐ。

 その瞬間を逃さず、オルフェインは鋭く呼吸。瞬間的に自身のエネルギーをスパーク。全身から「放出」する。

 そうなれば当然暴発。だがそれでいい。自分を爆弾とすることで、虫巨人の手が作る檻を内から吹き飛ばすのであるから。

 自爆により外れた指の檻。その隙間からこぼれるようにしてオルフェインが落ちる。

 それを逃すまいとクワガタ巨人が掴みにかかる。

 が、対するオルフェインは足からエネルギーを噴射。加速しながらの宙返りでその手から逃れて着地する。

 同時にアスファルトの地面に光り輝く雫が降り注いで水たまりを作る。

 その源はオルフェインの全身に生じた裂け目である。

 頑健な肉体を持つオルフェインであるが、いくらセーブしたとはいえ自爆して無傷で済むわけがない。チカチカと明滅する青い炎の目からも、涙のように輝く血液がこぼれる。

 脱出には成功したものの、深手にたまらず膝をついたオルフェイン。

 虫巨人は動き出さないうちに踏みつぶそうというのか、大きく足を振り上げる。

 だがオルフェインを見下ろしたクワガタ巨人の大あごに、先ほど胸を打ったものと同じ光り輝く何ものかが襲い掛かる。

 虫巨人を大きく揺らしたそれは、空を走ってオルフェインの傍らで止まる。

『ダメージが甚大。撤退を推奨する』

 果たしてオルフェインを助けたのは、レッドビートルであった。

 しかしその外見はこれまでのものとはわずかに異なる。

 赤をベースに銀の線が入ったカウルであるが、銀のラインとベースの赤との間が展開し、白い光を放っている。

「助かった……けど、まだまだ尻尾巻いて逃げるにゃ早いな」

 自分と合わせたような形態になった愛車を支えに立ち上がりながら、オルフェインは強がりを返す。

『しかし現状のダメージでは不利。戦闘継続は愚策であると判断する』

「そんなことは分かってんだよ。ヤツの厄介な防御力のことも、なッ!」

 この場での戦いにこだわる愚を説くレッドビートル。そんな相棒にオルフェインは鋭く返しつつ飛びのく。

 オルフェインとレッドビートルが散開したのに遅れて、虫巨人の爪が戦士とその愛車のいた場所を叩き潰す。

 アスファルトを深々とえぐったその爪には傷ひとつ、焦げ目一つとしてない。オルフェインが自爆でもって強引に振りほどいたにもかかわらずである。

 その前のエネルギーボール返しでも無傷であったこともあわせて見るに、虫巨人の外骨格には、光線技をほぼ無効化できる能力がある。というのがオルフェインの見立てである。

 生半かな打撃を受け付けぬ強靭さに加えて、ほぼ完璧なエネルギー攻撃耐性。はっきり言って絶望的な壁である。

 だがしかし、だからこそ退けない。だからこそオルフェインがここで打ち倒すしかない。

 Gコスモスの主力であるビーム兵器は通用せず、実弾の大砲を使おうにもどれほど撃つ必要があるのか見当もつかない。

 また仮にいまこの場に正式なリュミナイス戦士を呼べたとして、光線技を主体とした彼らにとっては、虫巨人はひどく相性が悪い相手である。

 オルフェインが知る限り、リュミナイス人でこの虫巨人を有利に相手取れるのは自分と師匠くらいなものだ。

 そして師の助けを待っていては、何人の犠牲が出たものか知れたものではない。

「なら、逃げてる場合じゃないだろうがッ!」

 オルフェインはそう叫ぶと、空中でサイドステップ。突き出された虫巨人の腕をかわし、抱えるようにして捕まえる。

 そうして肘にあたる関節の少し先を抱えてすぐさま、柔軟な外骨格による継ぎ目の奥に足を絡ませる。

 体すべてで絡みつくようにして肘関節を抱える形になったオルフェインは、気合をひとつ一斉に背筋を反らす。

 殻つきのカニの脚を食べよう。こういう時にはどうするだろうか。

 硬い外骨格を割って身をほじくり出す、という人もいないこともないだろう。だがそれでも、まずは関節のところから折りちぎろうとするのではないだろうか。

 いまオルフェインがやったのは、まさにそれと同じことだ。

 しかしさすがに巨大な昆虫もどきの怪獣。柔軟な外骨格も強靭で、オルフェインの怪力と技をもってしても、完全にもぎ取るには至らなかった。だが破れた関節からは体液が吹き出し、そのダメージには虫巨人も仰け反るほどにもだえ苦しむ。

 もう一度全力で背を反らしたなら、いま組みついた腕は断ちきれるかもしれない。

 だがオルフェインはそのチャンスを抱えた腕と共に躊躇なく手放す。

 直後、オルフェインが潰した腕は手近なコンクリートの建物に突っ込む。

 オルフェインは裏脚のエネルギースラスターを噴かし、飛び散る破片をひらりと回避。

「あいにくと、本命はもっと深いところだぁあッ!」

 眼光猛々しく燃やして、オルフェインは腕を交差。続けて足から爆発的な光を放ち急加速。燃える瞳が見据えた目標との距離を瞬く間に詰める。

「貫けえぇえッ!」

 空を駆け抜けた勢いに乗せて、オルフェインがそのスパークエネルギーみなぎる右手を突き出す。

 虫巨人の外殻にエネルギー攻撃は通じない。にもかかわらず、オルフェインの動きに必殺を疑う躊躇は微塵もない。

 拳でなく、五指を束ねての突き。鋭く研いだ杭にも似たその一撃は真っ直ぐに甲殻を撃つ。

 ここで強靭と分かりきった甲殻に当てるとは、オルフェインは狙いを謝ったのか?

 まさかそんなことはない。オルフェインの本命は最初からただこの一点。胸部外骨格のたった一点だけなのだ。

 果たして、速度、膂力、全てを一点集中した貫手を受けて、強靭な甲殻に亀裂が生まれる。

 レッドビートルで繰り返したぶちかまし。エネルギーボール返し。そうして積み重ねたダメージに、いま最後の楔を打ち込んだのだ。

 それはまさに蟻の一穴。強固な装甲に生じたほころびは、勢い緩まぬ押し込みにみるみるうちに広げられて、致命的な破壊の力をその内側に迎え入れる。

 割れた甲殻から飛び散る体液を浴びながら、オルフェインは肘まで突き入れた右手で筋繊維とおぼしきモノを掴む。

 そして天然装甲を打ち貫いてなおみなぎるエネルギーを、握り手の中で一気に解き放つ。

 外骨格はエネルギー攻撃を受け流し、弾くことができるだろうが、その内側で爆発させれば無事ではすむまい。 そんなオルフェインの目論み通り、甲殻の裂け目から光が漏れ出すとともに、虫巨人の体がびくりと痙攣する。

 破壊エネルギーは筋繊維や体液を伝わり、巨体の全てを焼き焦がしながら駆け巡る。その効果は光線をはじく外骨格に閉じ込められたことで、外へ流れ出ることなく巨人の内部を容赦なく食い荒らしていく。

 流され続ける力に虫巨人は痙攣を続けながらも、その元凶であるオルフェインを除こうと爪を向ける。

 この状態でも抵抗を続けるのはあっぱれな根性と言う他ない。

 しかし、オルフェインが装甲を貫いたところですでに勝敗は決している。

「ボンバァアア……クロォオオオオッ!!」

 オルフェインは叫びながら突き入れていた腕を引き抜き、密着状態から離脱。

 同時に虫巨人の体がひときわ大きく震えて硬直。そして片膝立ちに着地したオルフェインの前で、胸の穴を中心に内側からはじけ飛ぶ。

「どうにか、やったぞ……!」

 肩で大きく息をしながら、オルフェインは虫巨人を葬った右手を拳にして地につける。

 しかし、強く固められたそれが微かに震えているのは、いくつかの命を守ってみせた達成感からばかりではないのだろう。

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