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僕のVRMMOプレイ日誌  作者: にゃあくん
初めてのヴァーチャルリアリティ
22/45

見習いを卒業し成長したキャラクターを堪能する僕と、新たな出会いに関する件

  【サービス開始八日目】


「ああん、もう! ボス強すぎだよ」


 あり得ない、と神楽が僕に怒りをぶつけてきた。土曜日の朝からさっそくログインしてボスに敗退してきたらしい。


「ぜーーーーったい、設定ミスだよ。エンドコンテンツのボスじゃあるまいし、序盤のストーリーボスがこんなに強いなんてありえないよ」


 神楽たちは既に職業を得ているうえに、細分化スキル……神楽の場合、〈剣〉スキルから派生した〈片手剣〉スキルも100に到達しているという。


 人間の集中力には限界がある。特にヴァーチャルリアリティの場合、モンスターと相対した時、通常のゲームと比較して、数倍の疲労があるのではないかと言われ始めているこの頃である。モンスターとの連続した戦闘では10分を超えたあたりからミスが増える傾向が報告されている。ハーフダイブの場合、通常攻撃や回避はオートで判定されるためそこまでではないのだが、フルダイブでのマニュアル戦闘だと攻撃、回避も意識して行動する必要がある。そのため、集中が切れると途端に動きが悪くなることが多い。


 ゲーム自体楽しめている場合なら集中は長く続くのだが、なかなか勝てない相手の場合はそうはいかない。集中力はたやすく途切れる。

 まだまだ先行組とて数戦しかできていないため、弱点などを探っている段階だが、一部の先行組の中には、いったん距離を置いて情報待ちに移行した組もあるらしい。


「落ち着け神楽。何か見落としているんじゃないのか。特定属性に弱いとかそいうのがあるんだろう」


「それでも!」


「まあ、焦るな。昼食をとってこい。そのつもりだったんだろ」


 時計を見ると既に3時を回っている。早朝からログインしていることは知っている。どれだけ長い時間ログインしているんだか。

 いくら両親が寛容だと言っても、それに甘えているとどこかで爆発するぞ。幸いなことだが、今日は両親ともに仕事だ。昼食が不規則になってもとりあえずは大丈夫のはずだ。


「んじゃ、ちゃっちゃと食べてくる」


 神楽はそういうと飛び出して行く。僕は入れ替わりにログインをするのだった。




 さて、今日はとりあえず何をするか。夜にはウッディたちとインスタンスダンジョンでのスキルアップ予定ではあるが、それまでにやっておくことは……

 ここでふと自分がまだ[見習い冒険者]であることを思い出した。神楽やウッディたちとのパーティプレイでレベルは30を超えたため、[見習い冒険者]を[冒険者]へとランクアップできる。このランクアップに関してはほぼ上位互換となるため、可能な限りランクアップはおこなった方がよいらしい。強いてマイナス点があると言えば、[見習い冒険者]には、〈サバイバル〉スキル0がサービス的に付加されていたのがなくなってしまう事だろうか。

 僕の場合、〈サバイバル〉スキルは自前で持っているのでこれはマイナス要素とはなりえないため、実質マイナスはない。なので、まずは冒険者ギルドへ行くことからだな。


 冒険者ギルドでのランクアップ作業はギルドマスターと会話するだけで済む。ちなみにさらに上の[上級冒険者]へのランクアップも[冒険者]レベルを上げることでランクアップ可能であるのだが、そのころには別の職業を得ているケースもあるようだ。


 さて、職業[冒険者]を得ることで、かなりの戦力アップになる。レベルは1になるためHPやMPは減ってしまうがそれを補って余りあるだけのものがある。それは、職業に付随するスキルスロットである。これまでの5つのスキルスロットの他に、職業ごとに対応したスキルをセットできるスロットが存在するのだ。

 [冒険者]であるなら、まず、武器スキル限定スロットが一つ、魔法限定スロットが一つ、防御系スキルスロットが一つ、防具系スキル用スロットが一つ、サバイバル系限定スロットが二つ。計6つのスキルをセットできる。

 当然だが、これらのスキルをセットすることで、スキルごとに設定されたステータスアップが望めるので、レベルは1に戻ってもステータス的には実質アップする。そのため、同じレベル1であっても[見習い冒険者]と[冒険者]とではキャラクターの強さは雲泥の差があるということになる。

 ただし、幾つかの制限もある。その一つが、職業付随のスロットではスキルが成長しないということである。例えば、僕の場合、〈弓術〉スキルを[冒険者]の武器限定スロットにセットした場合、どれだけ弓を使おうとスキルは成長しないのだ。そのため、スキルアップを目的とする場合、武器スロットは空欄にして、初期の5つのスロットの方に〈弓術〉をセットしなければならない。

 そのため、武器スロットはあまり意味がないのではないか、と当初言われていたのだが、先行組がこの職業に着いたとき、その不安は払しょくされた。

 初期の5つのスロットに複数の武器スキルをセットしていても、ステータスボーナスは装備中の武器スキルのみが適用されていたのだが、職業スロットの場合は違ったのだ。

 例えば[見習い冒険者]が初期の5つのスロットに、〈剣〉と〈槍〉をセットしていたとしよう。そして、剣を持って戦っていた場合、〈槍〉スキルの恩恵は全くないため、実質セットしている意味はなかった。

 だが、そのキャラクターが成長して、[冒険者]になり、職業の武器スロットに〈槍〉スキルをセットして、初期スロットに〈剣〉をセットしたとする。その場合、〈剣〉スキルのレベルに応じたステータスに修正が付くのはもちろんだが、職業スロットの〈槍〉スキルのステータス補正も加えられるのだ。


 とは言え、僕の場合、武器スキルは一つしかもっていないのでそこまで大きな意味があるわけではないのだが、近い将来、〈弓術〉スキルが100に到達すれば、派生スキルとして、〈長弓〉スキルと〈短弓〉スキルが派生すると予測されている。弓使いの数が少なすぎて確定情報が少ないのはお約束的だが。


 とりあえず悩んだ末、5つの成長可能スロットには、〈弓術〉〈回避〉〈危険感知〉〈潜伏〉〈サバイバル〉をセットし、[冒険者]の職業スロットには、サバイバル系のスロットに、〈遠視〉と〈採取〉をセットする。武器系・魔法系・防御系・防具系はとりあえずのところ、空欄だ。実にもったいない。

 〈回避〉を防御系スキルにセットすることも考えたのだが、〈回避〉は出来る限り上げておきたいスキルでもあるので、成長可能スロットへとセットすることにしたのだ。


 さて、これで晴れて[冒険者]となったので、ギルドで依頼を受けることが出来るようになった。ギルド依頼のクエストは、非常に単純なものが多い。特定のアイテムを一定数納品せよ、だとか、何々というモンスターを一定数退治せよ、などというものだ。街の中で発生したクエストが、大なり小なりストーリー性を持っていたのと比べると実に味気ないものだとは思うが、これらのクエストは、日替わりで次々と設定される。ランダム性が強いきらいはあるが、プレイヤー個々に発生するため、結構な稼ぎになるという。実際、妹たちはこれを日課にしているという。

 ただ、一つだけ気を付けなければならないのは、このクエストは基本的に日替わりであるため、現実時間での24時の段階でクリアされてしまう事だ。たとえ達成条件を満たしていても、ギルドまで戻って報告をしなければ失敗になってしまう。失敗しても大きなペナルティはないが、数値を確認できない「名声値」へのマイナスが付くという予想がされている。

 まあ、まだまだ名声値など気にするほど立派なものではないので、デイリークエストを呼び出してみる。


 退治クエスト

 ラビット族退治依頼 ラビット族(強さは問わない)10体 報酬:300ギース

 ウルフ族退治依頼 ウルフ族(強さは問わない)15体 報酬:320ギース


 納品クエスト

 トカゲの皮 10個 報酬:800ギース

 兎の肉 5個 報酬:400ギース


 討伐クエスト

 現在受けることが出来るクエストはありません。


 となっている。納品クエストは実際にはあまり受けがよくないらしい。というのも、販路さえ確保すれば、職人プレイヤーに売った方がより高く売れるからであろう。

 とりあえず、ラビット退治のクエストを受領する。ウルフは単独では狩れる自信がないからだ。もちろん、ウッディたちとのパーティプレイで弓のスキルは上がっていておそらくは倒せるのではないかと思うのだが、さすがに15体倒すのは厳しい気がするのだ。

 既にサービス開始から一週間、街を出たすぐ先のウサギエリアでの芋洗い状態は解消されている。いないわけではないが、射線を確保するのが困難なほどの混雑はもうない。[冒険者]となってレベル1に戻ったので職業レベルを上げるためにも、弱い敵を狩っていくことになろう。


 実際、既に混雑はない。だが、やはり弓使いは敬遠されるのか、少ないながらも厳しい視線が向けられる。必要数を狩ったら移動するのがよいかもしれない。

 そう思いながら、出来るだけ人が少ないところを選び、弓を構える。狙いを定め、放つ。

 既に、このレベルのモンスターならば、よほど激しい動きをしている最中でなければ外す気はしない。多少狙いがずれても、モンスターの回避力と僕の命中力の差がありすぎて、命中補正が高くなるため必然的に命中する。もちろん、万が一のことを考えて、プレイヤーが射線上に入らないように注意することは忘れない。

 ほぼ一撃で仕留めることが出来るため、ものの数分で依頼の数を満たすことが出来た。

 そうなれば、欲も出る。極端な話、2射で倒せるモンスターなら、現状無傷で狩ることが出来るのだ。これはむしろ厄介な状態異常を持つモンスターを狩るのに適しているともいえる。

 僕は久しぶりにトカゲ広場へと足を向けることにした。



 そこで、僕は変わり者の少女と出会うことになる。

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