表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のVRMMOプレイ日誌  作者: にゃあくん
初めてのヴァーチャルリアリティ
21/45

ダンジョン探索でとても楽しくプレイできたものの、自分のチキンっぷりにちょっと悲しくなった件

「こいつはなかなかシビアだね」


 僕は、その配置を見て呟いた。


「だろ? 俺も将来的には投擲スキルを取って、投げナイフとかやるつもりだったんだが、その前にこいつにぶち当たってな」


 ウッディがそう告げた。


「ギルが【挑発】で一匹ずつ釣ってたんだが、あの中ボス、目もよくてな、こっち向いているときは部屋の中にいたらまず感知される。そうなったら、阿鼻叫喚の大乱戦だ」


 僕はもう一度、小部屋の中を覗き込む。


 部屋の中には、赤いトンボの様なモンスターが7匹配置されている。うち一匹が色違いで、真っ黒でこれが中ボスだろう。むやみに移動はしないのだが、時折向きを変えながら部屋の奥を行き来している。

 中ボスの視線を避けながら中に入れないわけではない。が、急に反転をしたりするので、いつこちらに視線を向けるかわからない状態だ。


「この中に入っての釣りはさすがに厳しいね」


 僕は基本的には慎重派だ。そういうと妹たちはバカも休み休み言えと言う顔をするのだが、僕が大胆に行動する場合ある程度の勝算があるか、あるいは何かでテンションが上がって気が大きくなっている時ぐらいだ。普段はどちらかというと、大胆に動くことをためらって好機を逸することの方が多い。

 覚悟さえ決めれば動ける方だと思ってはいるのだけれどね。


「やれるか?」


「問題ないね。部屋の外からでも射線が通る。大丈夫、任せてもらっていい」


「頼もしいね。それじゃ戦闘場所は、中央道付近だ。中央通路に魔法使いを配置、俺とアシェラは魔法使いの視界を遮らない位置から武器攻撃だ。ギルはモンスターがブレスのような技を使ってもいい様に、モンスターより小部屋側に位置取りだ。範囲攻撃に後衛を巻き込むなよ」


 そう言いながら、実際に戦闘ポジションを指定していく。


「リュートは近接武器は取ってないんだったな。すまねえが、戦闘中は絶対に当たると確信があるとき以外はうたねぇでくれ。お前さんを信用していないわけじゃねぇんだが、誤射ってのはいつ起こるかわからねぇから厄介だからな」


「それは仕方がないさ。僕もここまで弓がひどい仕様だとは思ってもいなかったしね。……前にパーティプレイしたときも、原則釣り専属みたいなもんだったしな」


「すまねぇな。お前さんにもスキル上げさせてやりたいんだが」


 ウッディが済まなそうに言うが、僕は気にしていない。スキル上げもしっかりやらせてもらう気でいる。もちろん、パーティメンバーを危険にさらしかねない〈弓術〉スキルを上げようというわけではない。僕が上げようと思っているのは、〈危険感知〉〈サバイバル〉の二つだ。

 ログイン前に少し調べたのだが、〈危険感知〉スキルは、敵の感知エリアをうまく避けたりすることでスキルアップのための熟練度が入る仕様らしい。逆に言えば、まだこちらを感知していないモンスターに近づくだけでよいという事なのだ。スキル上げの方法が簡単であるため、入手できる熟練度はわずかだそうだが。

 そして、〈サバイバル〉は言うまでもない。【解体】することで熟練度が入る。

 もちろん、獲物へのファーストタッチ、つまり釣り行為での〈弓術〉スキルの上昇は期待している。

 可能なら、〈潜伏〉もだ。スキルゲットしたときは理不尽さとパニックから絶叫したのだけれど、よくよく考えてみたら、〈危険感知〉も〈潜伏〉も僕の考えているキャラクターイメージと乖離しているわけではない。むしろ、それによってイメージが増幅されるというものだ。


「さて、お試しに一匹やってみようぜ。間違えてボス釣るなよ」


 ウッディの軽い言葉が狩りの始まりだった。

 今回の狩りの目的は、原則的には各プレイヤーのスキル上げである。戦闘効率は二の次であるが、それでも出来るだけパーティ内の呼吸を噛み合わせることが必要だろう。その中で、僕の仕事は、釣り。これに関してはミネアたちのパーティで経験したことが生きるだろう。


「アーツ【潜伏】」


 コマンドワードを唱える。とはいえ、見た目何かが変わるわけではない。実際にはスタミナポイントが少しずつ減っているのだが、自然回復量の方が多いので見た目変わらない。アーツ【潜伏】発動中は、走ることが出来ない。正確に言えば、走ったり攻撃したりすると、アーツの効果が切れるようになっている。


 小部屋の入り口の前に立つと、獲物を物色する。とはいっても中ボス以外はどれも同じだ。ここでの物色とは、仮に避けられたり狙いを外した場合、流れ矢が中ボスに当たらない角度のモンスターを選ぶことを指している。


「それじゃ、いくよ」


 弓を構え、放つ。狙いはあやまたず、端の方をうろついていたトンボの腹に当たる。直撃のはずだが、クォーターヒットと表示された。ダメージも微々たるものだ。

 これは、おそらくは僕のスキルの低さにある。僕のスキルは、このエンパイアエリアに生息するモンスターの中でも大体真ん中くらいのレベルのモンスターと戦うのにちょうどよいレベルに過ぎない。

 このダンジョンは、おそらくはエンパイアエリアでも最大レベルのモンスターが生息していると考えてもよいだろう。だとすると、一つ問題がある。

 それは……


 奴らの攻撃をまともに受けるわけにはいかないという事だ。オーガの体力をもってしても、格上のモンスターに殴られればあっという間にヒットポイントを失う。下手をすると、あっさり死ぬ。


 ミネアたちと一緒にやっていた時のように、休みなく効率よく戦うために、敵を倒すタイミングで新しいモンスターを持ってくるというやり方は危険すぎるという事だ。

 実際、ウッディたちもまた、それぞれの武器や魔法のスキルを上げるために行動しているため、スムーズに倒せるかどうかはわからないこともある。


「お、やっぱり予想していた通り、上手いな。ギル、早めの挑発でタゲを剥がしてやれ」


「おう」


 こうして、戦闘は始まった。


 そういう予感はあったのだが、このメンバー、上手い。何が上手いかというと、とにかく行動が的確すぎるのだ。もちろん、固定パーティということで互いのくせや攻撃能力を把握しているというのも大きいだろう。だが、それを差し引いても、上手いのだ。

 このパーティの目的は、前にも言った通り、スキルアップである。そのため、後衛であるドーラムやオーラもタイミングを見計らって武器で殴りに来る。もちろん、本来の仕事もおろそかにはしない。

 また、後衛が近づくと、タンクのギルボアがヘイトアクションを厚めにすることでがっちりと固定をする。何よりすごいのは、殆ど揺らぎがないことだろう。


 スキルアップが目的である以上、それぞれが上げたいスキルを使用するために行動する。ともすれば、それは戦闘の揺らぎとして不安定要素となりかねない。だが、そういった揺らぎを殆ど見せないのは、パーティの全員が現在の戦闘を主観ではなく俯瞰的に見ることが出来ているからなのかもしれない。

 パーティプレイの経験が浅い僕には彼らの連携がどれだけ優れているのかは感覚的にしかわからないのだけれど、この安定感はすごいとしか言えないだろう。


 僕の方のスキルも恐ろしいほどの勢いで上がっていく。敵が強ければ強いほど、熟練度の入手量も多い。

 一部屋平らげるころには、クオーターヒットではなくハーフヒットとなっていた。


 雑魚を一掃すれば、中ボスとの戦闘である。

 中ボスの名は、「汚染されたドラゴンフライ」

 

 ここで、FFOのボスモンスターについて整理しておこう。

 FFOでは、ボスモンスターにはいくつかの種類がある。


 一つ目が、クエストボス。今僕たちが挑んでいるダンジョンのボスもそうだが、固有の名前を持ち、ストーリーにもかかわってくるようなボスモンスターだ。これは、パーティメンバーが該当するクエストを受領して、特定の行動……たとえば特定のポイントに向かうとか、クエストダンジョンの最奥部へいくとかで出現し、戦闘することが出来る。

 

 二つ目が、ポップ型ボスモンスター。これもまた、固有の名前を持つ強力なモンスターだ。強力な武器や防具、アイテムや素材を落とすのが特徴であるが、今のところまだこのタイプは発見されていない。いや、発見されているかもしれないがまだその報告がされていない。プロモーションビデオで何体か紹介されているが、ドラゴンだったり巨大なワームだったりするため、もっと難易度の高いエリアのモンスターだと推測されている。


 三つ目が、僕が以前遭遇したトカゲや兎のボス、通称クランボスだ。これは、特定エリアのモンスターを狩り続けていると抽選で現れるボスモンスターだ。固有の名前を持っているものもあれば、そうでないものもいる。ちなみに僕らが倒した(僕は直接戦っていないけれど)ウサギのクランボスは、モノホーンラビット、一角ウサギとでも訳せるだろうか、そういう名前であったらしい。固有名ではなく、その姿の特徴を名前にしたタイプだ。


 そして、いま僕たちの前にいるタイプ。

 ボスモンスターとしては、どちらかというと弱い部類に入るのではないだろうか。

 実際、現在戦闘が開始されているけれど、取り巻きだった雑魚と大して戦闘力は変わらない。しいて言えばヒットポイントが雑魚より大分高めに設定されていることだろうか。攻撃力や防御力、回避能力などはほぼ変わらないかんじだ。

 この中ボスの特徴は、まわりにいる雑魚モンスターの名前の前に形容詞がつくことだろう。そして、その特異な感知属性と同族リンクの形態であろうか。


 この「汚染されたドラゴンフライ」は、取り巻きの雑魚さえ倒してしまえば、タフなだけであとは雑魚と変わらない強さのモンスターに過ぎないようだ。

 そして、このタフであるという事は、逆に言えばたくさんの回数殴ることが出来るというスキル上げに適したモンスターでもあるという事でもある。

 手持ち武器さえあれば僕も参加したいところなのだけれど、残念ながらそれはない。

 結果、今の戦闘を少し離れたところから観察するにとどまっている。

 やがて、中ボスのヒットポイントも少なくなり、攻撃が激化を始める。これは雑魚モンスターでも起こる戦闘パターンなのだが、タフな分、激化状態も多少長くなる。そのため、彼らは武器を持ち替え、ランクの高い武器で一気に削りきる。


 中ボスを倒したところで、ドロップ品を確認すると魔晶石というアイテムが自動的に個人のカバンに入っていた。これはどうやら全員に入るようになっているようだ。


「魔晶石ってなんだ?」


「武器の魔化強化の素材だな。武器制作の段階で追加素材として使うんだ。それで属性付加などが出来るようになるわけだな」


「へー、それはいいな」


「さぁて、俺としてはここからが本番なんでな。やっぱ、おめぇを誘って正解だったぜ。ここまで安定して殲滅できるとは予想以上だ」


 宝箱を開けるにあたって、幾つかのプロセスがある。

 一つ目が、【罠感知】である。〈罠〉スキルの初期アーツの一つであるらしいのだが、当然、スキルのレベルによって成功失敗があるのだが、基本的には成功する。ただし、確定するわけではない。

 スキルによる判定の結果は、どういった罠が仕掛けられているかが、確率で示されるのだ。


「なになに? ニードルトラップ65%、ポイズンニードル10%、ポイズンミスト25%、か」


 ウッディがつぶやく。そう、どの罠が仕掛けられているかはまだ分からないのだ。あくまで確率で示される。


「一応、ポイズンミストがリストにあるからな、部屋の外に退避してくれや」


 一応説明しておこう。

 ニードルトラップは、罠解除に失敗したりそもそも解除しなかったりすた場合、針が飛び出してくるトラップだ。毒などもなく、厚手の防具で防げたりするので、トラップとしての危険度は低い。金属鎧を着た戦士に力技で開けさせるというのも有効な手段だったりする。

 ポイズンニードルは、ニードルトラップの上位で、毒矢が飛び出してくる。防具は当然有効だが、ダメージをわずかにでも受ければ、状態異常「毒」になる。毒の強さや性質は、受けてみなければわからないのがこのトラップの厳しいところだ。

 ポイズンミストは、いわゆる毒ガストラップだと思っていいだろう。宝箱から毒ガスが噴き出して、一定範囲内のプレイヤーに「毒」の状態異常をもたらす。


「ま、十中八九ニードルだろうな。ミストトラップが出るには早すぎる」


 次いで行うのが、【罠解除】である。これは、先に判定した【罠感知】で示されたトラップの中から一つを選択し、アーツを発動させることで罠の解除を行う。そういうシステムであるから、基本的に、感知と解除は同じプレイヤーがやることになる。


 【罠解除】は、【罠感知】とは異なり、複数回挑戦が出来るようになっているそうだ。というか、【罠解除】アーツには、基本的に、大成功・成功・失敗・大失敗、の四段階がある。

 大成功が出れば、罠の難易度がどれだけ高くても解除成功となる。成功では、罠を一段階解除したことになる。低レベルの罠ならばそれで解除もできるのだけれど、おそらくもっと先の高レベルダンジョンでは複数回の成功を重ねなければ解除できない罠も出てくるのだろう。

 失敗は、というとこれは実は現状維持となる。罠の発動もなければ、解除もできない。

 ただし、有志の検証や、ウッディ自身の体感からだけれど、失敗を繰り返していると、大失敗する確率が上がってくるようだ。詳しい確率変化などは、今後の検証待ちであるものの、その傾向があることはほぼ確定なのだそうだ。

 そして、大失敗は、罠を発動させてしまったケースである。これもまた有志の検証で、よほどスキル差がない限りは確率は固定されている。だいたい5%で大失敗が起こる。その後、失敗を繰り返すことでこの5%が10%になり、20%とだんだん増えていくことになるらしい。その上がりの幅は現在のところ不明である。検証するに足るだけのデータが集まっていないからだ。

 もちろん、解除すべき罠の選定に失敗すれば、即大失敗扱いだ。

 とは言え、先にも述べた通り、現状致命的な罠があったということはなく、意図的にタンクタイプのプレイヤーに大失敗を起こさせて、罠を作動させることで被害を最小限に留める方法が一般的である。通称、漢解除。


「よし、解除成功」


 何度かの試行の後、ウッディは罠の解除に成功していた。次いで、鍵開けである。

 もちろん、鍵がかかっていないこともあるのだが、罠の掛かっている宝箱はたいてい鍵もかけられている。

 これは〈解錠〉スキルで鍵開けが出来るのだが、もし鍵開けが出来ない場合でも方法がないわけではない。

 そう、テクニックで開けられないならパワーでだ。簡単に言えば、箱を壊すことで鍵開けに代えることが出来る。とは言え、その場合、一定の確率で中のものも壊れてしまうのだが。

 現在、その破損確率も検証中だが、最有力候補なのが、宝箱破壊に使う武器のダメージ値が高ければ高いほど破損率が上がるというものだ。次点は、箱破壊時のオーバーキル度に依存するというもの。

 そういった解析組が、通常ダンジョンに自然配置される宝箱を破壊して回っていることも、ウッディたち盗賊系キャラクターへのスキル上げ被害となっているともいえる。


 ちなみに、破損したアイテムは修理などは出来ないが、該当する職人系スキルによって素材化することが出来るのだが、成功率はあまり高くないため、持ち帰ってもあまり意味がないものとして廃棄処分されることが多いそうだ。


「よし、開いた」


 宝箱を開けた場合、リーダー権限の一つとして、パーティ共有のドロップボックスに入るか、それとも開けた本人が総取りするかを決めることが出来る。これは、特定のクエストを受けているときにダンジョン内の宝箱の中身が変化してクエストアイテムが手に入るケースがあるためだと僕は考えている。事前に、箱の中身の所有権を決めておくことで問題を回避するためである。


 もちろん、今回の場合はパーティ共有のドロップボックスへと入る。中身は、いくらかのお金出会ったため、自動的に等分割されてそれぞれの所持金へと追加される。これは、おいしいかもしれん。

 大した金額ではないが、このゲーム、基本的にモンスターはお金を落とさない。出来るだけ、ゲーム内で出回るギースの総量を増やさないためだと言われている。


「さて、時間は有限。ガンガン行こうぜ」


 ウッディの言葉に僕たちは頷いた。




 この日、僕たちは見事全ての枝道のモンスターと宝箱の制覇を成し遂げた。大ボスの姿を拝むことは出来なかったが、モンスターのドロップアイテムや宝箱から出た素材アイテムは十分に僕たちの懐を潤すことになった。

 制限時間が過ぎて強制排除された後、僕たちはそれぞれフレンド登録を交わすことにした。


「なあ、リュート。俺たちは近いうちにギルドを立ち上げるつもりなんだが、おめぇも一枚噛まねぇか?」


 別れ際に、ウッディがそう誘ってくれた。それは、とても魅力的なお誘いだったのだけれど、いったん考えさせてもらうことにした。


「フレンド登録もしたから、焦らなくてもいいよ。キミならいつだって歓迎するってこと」


 アシェラさんが笑いながらそう付け加えてくれた。ありがたいことだ。


「それとは別に、明日も付き合ってもらえると嬉しい。時間的には今日と同じくらいの時間になるが」


 ウッディがそう言った。僕としても大歓迎だ。僕が頷くと、みんなが口々に歓迎を表してくれる。

 僕もまた、多分嬉しそうな表情を出していたのかもしれない。

 とても、とても楽しい。


 現実世界では、僕は常に守られる立場だった。

 いや、多分みんながそういった意識を持っていたのではないと思う。だけど、周りの人から見れば僕は弱者で、守ってやらなければならない存在だったのだろう。

 普段は普通にしていても、危険があるとみんな僕を止めた。それが嫌だったというわけではない。彼らが僕のことを心配しているのがわかっていたから。だけど、物足りなかった。

 みんなと一緒に走りたかった。視力補助具で日常生活には問題はなくなり、そう言った傾向は減っていったが、最後の一線では僕は友達と一緒に走れなかった。


 だから、嬉しかった。ウッディたちは僕を対等の存在として見てくれる。

 だけど、それが怖かった。僕は、知ってしまったから。

 僕自身が、みんなと対等の付き合い方をまだ知らないことを。だから、咄嗟に彼らの仲間となる誘いに乗ることが出来なかった。


 気づいたら、現実でも同じだということにも気づいてしまったから。

 壁を作っているのは、僕も、同じだということに。

 友達が僕を対等な存在だとみてほしい。その考えは、僕自身もまた、彼らと対等の存在ではないという意識があったことも示している。


 なんだか、少しだけ先が見えたような気がする。だけど、それを受け入れるには僕は既に僕という存在を固定しすぎていた。だから、もう少し時間が必要なのかもしれない。

 僕が僕であり続けながらも、僕の中の壁を壊していく方法を見つけ出そう。

 そうしたら、きっともっと楽しくなれるのだろう。


 そこへ踏み出す勇気が、まだ僕にはない。僕は僕が思っていたより何倍も臆病だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ